
80平米の注文住宅を建てたいと考えたとき、多くの疑問や不安が頭をよぎるのではないでしょうか。
例えば、80平米とは具体的にどのくらいの広さ、坪数なのか、価格相場はいくらくらいで、詳細な費用内訳はどうなっているのか、といった資金計画に関する悩みは尽きません。
また、理想の暮らしを実現するためには、どのような間取りが良いのか、家族構成に合わせて3LDKや4LDKは可能なのか、2階建てや3階建て、あるいは平屋といった選択肢それぞれのメリットや注意点も知っておきたいところです。
実際に家を建てた人がどのような点で後悔しているのか、失敗しないためのポイントも気になりますね。
そして、家づくりで最も重要なパートナーとなる住宅会社の選び方、特に信頼できるハウスメーカーを見つけるための総額の考え方や、内訳の比較方法も知っておくべき重要な情報と言えるでしょう。
この記事では、80平米の注文住宅を建てる上で知っておきたい全ての情報を網羅的に解説します。
土地探しのポイントから、建築費用の総額、信頼できるハウスメーカー選び、そして理想のプランに出会うために欠かせない相見積もりの重要性まで、あなたの家づくりを成功に導くための知識をお届けします。
- ➤80平米の具体的な広さと坪数のイメージ
- ➤注文住宅の価格相場と詳細な費用内訳
- ➤2階建て・3階建て・平屋それぞれの特徴と間取り
- ➤家族構成に応じた3LDK・4LDKの間取りのポイント
- ➤家づくりでよくある後悔と失敗しないための対策
- ➤信頼できる住宅会社やハウスメーカーの選び方
- ➤理想の家を実現するための相見積もりの重要性
80平米の注文住宅で知っておきたい基本情報
- ➤80平米の広さを坪数でイメージしよう
- ➤気になる価格相場と詳しい費用内訳
- ➤暮らしやすい2階建ての間取りアイデア
- ➤都市部で人気が高い3階建てのメリット
- ➤コンパクトでおしゃれな平屋という選択肢
80平米の広さを坪数でイメージしよう
80平米の注文住宅を検討する第一歩として、まずはその広さを具体的に把握することが大切です。
不動産の広さを示す単位には「平米(㎡)」と「坪」が使われますが、両者の関係を理解しておくと、設計図や物件情報を見る際に非常に役立ちます。
まず、1坪は約3.31平米に相当します。
この換算式を用いると、80平米が何坪になるかを計算できます。
計算式は「80㎡ ÷ 3.31㎡/坪」となり、結果は約24.2坪となります。
つまり、80平米の家とは、およそ24坪強の広さを持つ住まいということですね。
この24.2坪という広さが、どの程度の生活空間を提供するのかをイメージしてみましょう。
例えば、一般的な駐車スペース1台分が約4.5坪(約15平米)なので、その5倍以上の広さがあると考えると、かなりゆったりとした空間であることがわかります。
また、学校の教室の広さが約65平米(約19.6坪)なので、教室よりも一回り広いスペースに、居住空間を設計していくイメージです。
国土交通省が示す「誘導居住面積水準」によると、豊かな住生活の実現に必要とされる住宅の面積の目安が示されています。
都市部における3人家族の場合、目安は75平米、4人家族では95平米です。
この基準から見ると、80平米は3人家族にとってはゆとりのある広さであり、工夫次第で4人家族でも十分に快適な生活が送れる広さであると言えるでしょう。
この広さがあれば、リビング・ダイニング・キッチン(LDK)に加えて、夫婦の寝室、そして子供部屋を1〜2室設けることが十分に可能です。
80平米という数字だけではピンとこなくても、「約24坪」「3〜4人家族が快適に暮らせる広さ」と理解することで、具体的な間取りや暮らしのイメージが膨らんでくるのではないでしょうか。
気になる価格相場と詳しい費用内訳
80平米の注文住宅を建てる際、最も気になるのが「一体いくらかかるのか」という費用面の問題でしょう。
注文住宅の価格は、大きく分けて「本体工事費」「付帯工事費」「諸費用」の3つで構成されており、これらの総額が全体の費用となります。
それぞれの内容を理解し、全体の予算感を掴むことが重要です。
本体工事費
本体工事費は、建物そのものを建てるための費用で、総費用の約70%〜80%を占める最も大きな部分です。
坪単価に延床面積(この場合は約24.2坪)を掛けることで、おおよその目安を計算できます。
住宅金融支援機構の「2022年度フラット35利用者調査」によると、全国の注文住宅の坪単価平均は約99.9万円です。
これを基に計算すると、「99.9万円/坪 × 24.2坪 = 約2,418万円」が本体工事費の一つの目安となります。
ただし、坪単価は住宅会社のグレード(ローコスト、ミドルコスト、ハイコスト)や、採用する建材、設備の仕様によって大きく変動します。
ローコスト住宅であれば坪単価50万円台から、ハイグレードな住宅であれば120万円以上になることもあります。
付帯工事費
付帯工事費は、建物本体以外にかかる工事費用で、総費用の約15%〜20%が目安です。
これには、古い建物の解体費用、地盤改良工事費、給排水・ガス管の引き込み工事費、外構(駐車場、フェンス、庭など)工事費、エアコン設置工事費などが含まれます。
土地の状況や周辺環境によって必要な工事が異なるため、個別に見積もりを取るまで正確な金額は分かりにくい部分です。
一般的には、300万円〜600万円程度を見込んでおくと良いでしょう。
諸費用
諸費用は、工事以外に必要な手続きや手数料などの費用で、総費用の約5%〜10%が目安です。
具体的には、不動産取得税や登記費用(所有権保存登記、抵当権設定登記)、住宅ローン契約時の手数料や保証料、火災保険料、印紙税、そして設計事務所に依頼した場合は設計料などが含まれます。
これらの費用も、150万円〜300万円程度は見ておく必要があります。
これらを合計すると、80平米の注文住宅の価格相場は、おおよそ2,800万円〜3,500万円程度が一つの目安となります(土地代は除く)。
もちろん、これはあくまで平均的なモデルケースであり、選択する住宅会社や仕様、土地の条件によって大きく変わることを理解しておきましょう。
- 本体工事費:約2,000万円~2,800万円
- 付帯工事費:約300万円~600万円
- 諸費用:約150万円~300万円
- 総額(土地代除く):約2,450万円~3,700万円
正確な費用を把握するためには、複数の住宅会社から詳細な見積もりを取り、内訳を比較検討することが不可欠です。
暮らしやすい2階建ての間取りアイデア
80平米という限られた面積を最大限に活用し、快適な居住空間を実現するために、2階建ては非常に有効な選択肢です。
1階と2階に床面積を分散させることで、比較的コンパクトな土地にも対応でき、かつ必要な部屋数を確保しやすくなります。
暮らしやすい2階建ての間取りを考える上で、いくつかのポイントを押さえておくと良いでしょう。
リビング階段で開放感を演出
80平米の住宅では、廊下などの移動スペースをいかに減らすかが空間を有効活用する鍵となります。
リビング内に階段を設ける「リビング階段」は、廊下をなくし、その分の面積をLDKや他の居室に割り当てることができるため人気があります。
また、リビング階段は縦方向の抜け感を生み出し、空間を広く見せる効果も期待できます。
家族が自然と顔を合わせる機会が増え、コミュニケーションが活発になるというメリットもあります。
ただし、冷暖房の効率が下がりやすい、音が2階に伝わりやすいといったデメリットもあるため、高気密・高断熱仕様にしたり、階段の入り口にドアを設けたりする工夫も検討しましょう。
水回りを集中させて家事動線を効率化
キッチン、洗面脱衣所、浴室、トイレといった水回りの設備は、できるだけ一箇所にまとめるのがセオリーです。
水回りを集中させることで、配管工事の費用を抑えられるだけでなく、日々の家事動線がシンプルになり、掃除や洗濯などの効率が格段に向上します。
例えば、キッチンから洗面脱衣所、浴室へと一直線で行き来できるような間取りにすると、料理をしながら洗濯機を回し、お風呂の準備をするといった一連の作業がスムーズに行えます。
収納スペースの工夫
80平米の住宅で後悔しがちなのが収納不足です。
各部屋にクローゼットを設けるのはもちろんのこと、デッドスペースを有効活用した収納計画が重要になります。
階段下のスペースは、掃除用具や日用品のストックを置くのに最適なパントリーとして活用できます。
また、玄関にはシューズインクロークを設けることで、靴だけでなくベビーカーやアウトドア用品などもすっきりと片付きます。
壁の厚みを利用したニッチ(飾り棚)や、床下収納なども、空間を圧迫せずに収納量を増やす賢いアイデアです。
これらのアイデアを組み合わせることで、80平米の2階建てでも、家族が快適に暮らせる機能的で開放感のある住まいを実現することができるでしょう。
都市部で人気が高い3階建てのメリット
地価の高い都市部において、限られた敷地面積で最大限の居住空間を確保する方法として、3階建ての注文住宅が人気を集めています。
80平米の延床面積を確保しようとする場合、土地の面積が狭い(狭小地)ケースでは、2階建てでは難しくても3階建てにすることで実現可能になることがあります。
3階建てには、都市部の住宅事情に適した多くのメリットが存在します。
限られた土地を有効活用できる
最大のメリットは、何と言っても土地の有効活用です。
例えば、建築基準法で定められた建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)が50%の土地の場合、80平米の家を2階建てで建てるには、各階40平米ずつと考え、最低でも80平米(約24.2坪)の土地が必要です。
しかし、3階建てにすれば、建築面積を約27平米に抑えることができるため、約54平米(約16.3坪)の土地でも建築が可能になります。
これにより、駅近などの利便性が高いエリアでも、土地購入の選択肢が広がります。
眺望や採光を確保しやすい
住宅が密集しがちな都市部では、隣家との距離が近く、1階や2階の日当たりや風通しが悪くなりがちです。
3階建てにすることで、上層階は周辺の建物の影響を受けにくくなり、良好な眺望や十分な採光、風通しを確保しやすくなります。
特に、LDKを2階や3階に配置する間取りは人気があります。
日当たりの良い開放的な空間で家族団らんの時間を過ごせるだけでなく、道路からの視線を気にせずプライバシーを確保できるという利点もあります。
多様な空間活用が可能
3階建てはフロアごとに空間の役割を明確に分けやすいという特徴があります。
例えば、1階をビルトインガレージや玄関、水回りに、2階を家族が集まるLDKに、3階をプライベートな寝室や子供部屋にする、といったゾーニングが可能です。
また、屋上を設けてルーフバルコニーとして活用すれば、都会にいながらにして、バーベキューやガーデニングを楽しめるプライベートな屋外空間を手に入れることもできます。
一方で、3階建てには階段の上り下りが増えるため、老後の生活を考えるとエレベーターの設置を検討する必要があるかもしれません。
また、構造計算が複雑になるため建築コストが割高になる傾向がある点も注意が必要です。
これらのメリットとデメリットを十分に理解した上で、ライフスタイルや土地の条件に合わせて検討することが、都市部での快適な住まいづくりに繋がります。
コンパクトでおしゃれな平屋という選択肢
ワンフロアで生活が完結する平屋は、世代を問わず根強い人気を誇ります。
80平米の注文住宅を考える際、平屋はコンパクトながらも非常に機能的で、おしゃれな住まいを実現できる魅力的な選択肢です。
階段のない暮らしがもたらすメリットは、想像以上に大きいものがあります。
生活動線と家事動線のシンプルさ
平屋の最大の魅力は、生活動線のシンプルさです。
すべての部屋がワンフロアに収まっているため、部屋から部屋への移動がスムーズで、上下階の移動という負担が一切ありません。
これは、重い洗濯物を持って階段を上り下りする必要がないなど、日々の家事効率を大幅に向上させます。
掃除もワンフロアで済むため、ロボット掃除機が活躍しやすいのも嬉しいポイントです。
LDKを中心に各部屋を配置すれば、家族が自然と顔を合わせる機会が増え、コミュニケーション豊かな暮らしが実現できます。
バリアフリーで将来も安心
階段がない平屋は、本質的にバリアフリーな構造です。
小さなお子様がいる家庭では、階段からの転落事故の心配がありません。
また、自分たちが年を重ねたときにも、段差のない暮らしは身体的な負担が少なく、安心して長く住み続けることができます。
将来的なリフォームの必要性が少ないという点も、経済的なメリットと言えるでしょう。
構造的な安定性とデザインの自由度
平屋は2階建てや3階建てに比べて建物全体の高さが低く、重心も低いため、地震や台風などの自然災害に対して構造的に安定しているという利点があります。
また、上階の重さを支える必要がないため、比較的自由に間取りを設計できます。
勾配天井を採用して開放的な大空間を演出したり、大きな窓を設けて庭との一体感を楽しんだり、コの字型やL字型の中庭を設けてプライベートなアウトドア空間を創り出すなど、デザインの自由度が高いのも平屋ならではの魅力です。
必要な土地の広さ
ただし、80平米の平屋を建てるには、それ相応の広い土地が必要になる点は注意が必要です。
建ぺい率50%の土地であれば、単純計算で160平米(約48.4坪)の敷地面積が求められます。
さらに、駐車場や庭のスペースも考慮すると、もう少し余裕が必要になるでしょう。
そのため、平屋は比較的土地価格の安い郊外エリアで検討されることが多い選択肢ですが、その暮らしやすさとデザイン性は、検討する価値が十分にあります。
後悔しない80平米の注文住宅の計画ポイント
- ➤家族構成に合わせた3LDKの間取り
- ➤4LDKも実現可能にする間取りの工夫
- ➤実際にあった後悔の事例から学ぶ
- ➤信頼できる住宅会社の選び方とは
- ➤理想の80平米の注文住宅は相見積もりで
家族構成に合わせた3LDKの間取り
80平米の注文住宅において、3LDKは最もポピュラーでバランスの取れた間取りの一つです。
夫婦と子供1〜2人という、3〜4人家族に最適なプランと言えるでしょう。
限られた面積の中で、家族全員が快適に過ごせる3LDKを実現するためには、いくつかのポイントを押さえた間取り計画が重要になります。
まず、空間の広がりをどう演出するかという点が挙げられます。
LDK(リビング・ダイニング・キッチン)は、家族が最も多くの時間を過ごす場所です。
80平米の場合、LDKには最低でも16畳程度の広さを確保したいところです。
空間を広く見せるために、LDKと隣接する和室や洋室の間仕切りを引き戸にするという工夫があります。
普段は引き戸を開け放って一体的な大空間として使い、来客時や必要に応じて閉じることで、柔軟な空間活用が可能になります。
次に、各居室の広さの配分です。
3LDKは、LDKの他に3つの個室がある間取りを指します。
一般的には、夫婦の主寝室と子供部屋2つという構成が考えられます。
主寝室は6〜8畳、子供部屋はそれぞれ4.5〜5畳程度が目安となります。
子供が小さいうちは、2つの子供部屋を壁で仕切らずに広い一つの部屋として使い、成長に合わせて間仕切り壁を設置できるようにしておくと、ライフステージの変化に柔軟に対応できます。
収納計画も3LDKの間取りを成功させるための重要な要素です。
各部屋にクローゼットを設けるのはもちろん、家族全員のものをしまえるファミリークローゼットを設けると、衣類の管理が一箇所で済み、各部屋がすっきりと片付きます。
玄関のシューズインクロークやキッチンのパントリーなど、適材適所の収納を計画することで、80平米という限られた空間でも、物が溢れることなく快適な暮らしを維持することができるでしょう。
これらのポイントを踏まえ、家族のライフスタイルや将来設計についてじっくりと話し合いながら、最適な3LDKの間取りを検討していくことが大切です。
4LDKも実現可能にする間取りの工夫
「80平米の広さで4LDKは実現できるのだろうか」と考える方も少なくないでしょう。
結論から言うと、工夫次第で十分に可能です。
夫婦と子供2人に加えて、親との同居や、書斎・趣味の部屋を確保したい場合など、部屋数を重視する家族にとって、4LDKは魅力的な選択肢となります。
ただし、快適な4LDKを実現するためには、いくつかの設計上の工夫が不可欠です。
廊下面積を最小限にする
最も重要なポイントは、廊下などの非居住スペースを極力なくすことです。
廊下は部屋と部屋をつなぐためだけの動線であり、面積あたりの利用価値は高くありません。
LDKを家の中心に配置し、そこから各部屋へ直接アクセスできるような間取りにすると、無駄な廊下を削減できます。
これにより生まれた余剰スペースを、居室や収納に割り当てることができます。
各部屋のサイズをコンパクトに
部屋数を増やす分、一つ一つの部屋の広さはコンパクトになります。
例えば、子供部屋は4.5畳、主寝室は6畳程度が目安となるでしょう。
部屋の広さが限られる場合、家具の配置が重要になります。
作り付けのデスクやベッド、収納を計画することで、スペースを有効に活用し、狭さを感じさせない工夫が可能です。
また、縦の空間を活かすロフトベッドなども、子供部屋で人気の高いアイデアです。
多目的に使えるスペースを設ける
4LDKといっても、常に4つの個室が必要とは限りません。
例えば、LDKに隣接する一つの部屋は、普段はリビングの一部として広く使い、来客時には仕切って客間として利用する、といった使い方が考えられます。
また、スキップフロア(中2階)を設けて書斎やキッズスペースとして活用する方法も、空間に変化と楽しさをもたらし、実質的な部屋数を増やす効果があります。
これらの工夫を凝らすことで、80平米という限られた面積の中でも、機能的で快適な4LDKの注文住宅を建てることは十分に可能です。
家族のライフスタイルをよくシミュレーションし、どのスペースを優先するかを明確にしながら、設計者と相談を進めることが成功の鍵となります。
実際にあった後悔の事例から学ぶ
夢のマイホームである注文住宅ですが、実際に住み始めてから「こうすればよかった」と後悔する声が聞かれるのも事実です。
特に80平米という限られた空間では、一つ一つの選択が住み心地に大きく影響します。
ここでは、先輩たちが経験したリアルな後悔の事例を学び、自身の家づくりに活かしていきましょう。
収納が足りなかった
最も多く聞かれる後悔の一つが「収納不足」です。
設計段階では十分だと思っていても、実際に生活を始めると、季節家電や思い出の品、増え続ける子供のおもちゃなどで、あっという間に収納スペースが埋まってしまいます。
「各部屋のクローゼットをもう少し大きくすればよかった」「玄関にシューズインクロークを作っておけば、ベビーカーの置き場所に困らなかったのに」「パントリーがあれば、キッチンがすっきりしたはず」といった声は後を絶ちません。
対策としては、現在の持ち物の量を正確に把握し、さらに将来増える分も見越して、余裕を持った収納計画を立てることが重要です。
ウォークインクローゼットや小屋裏収納など、まとまった収納スペースを確保することも検討しましょう。
コンセントの位置と数が不便
「ここにコンセントがあれば…」という後悔も非常によくある事例です。
家具の配置を決めてからコンセントの位置を考えないと、「ベッドの頭でスマホを充電できない」「掃除機をかけるたびに延長コードが必要」「ダイニングテーブルでホットプレートを使いたいのに、コンセントが遠い」といった不便が生じます。
生活動線や家具のレイアウトを具体的にシミュレーションし、必要な場所に適切な数のコンセントを計画することが大切です。
最近では、USBポート付きのコンセントも人気があります。
生活動線・家事動線が悪い
間取り図の上では気づきにくいのが、動線の問題です。
「洗濯機のある脱衣所から物干しバルコニーまでが遠くて、毎日の洗濯が苦痛」「帰宅して、リビングを通らないと2階の自室に行けないため、子供の友人が来ると落ち着かない」など、日々の小さなストレスが積み重なる原因になります。
朝起きてから夜寝るまでの一日の動きや、買い物から帰ってきてからの動きなど、具体的な生活シーンを思い浮かべながら間取りをチェックすることが、動線の失敗を防ぐポイントです。
これらの後悔事例は、どれも計画段階での「詰め」の甘さが原因であることが多いです。
自分たちの暮らしを徹底的に見つめ直し、設計担当者と密にコミュニケーションを取りながら、細部にまでこだわって計画を進めることが、後悔のない家づくりに繋がります。
信頼できる住宅会社の選び方とは
80平米の注文住宅というプロジェクトを成功に導くためには、パートナーとなる住宅会社選びが最も重要と言っても過言ではありません。
住宅会社には、全国展開する大手ハウスメーカーから、地域に密着した工務店、独創的なデザインを得意とする設計事務所まで、様々なタイプが存在します。
それぞれの特徴を理解し、自分たちの理想や予算に合った会社を見極めることが大切です。
ハウスメーカーと工務店の違い
まず、代表的な選択肢であるハウスメーカーと工務店の違いを知っておきましょう。
- ハウスメーカー:広範囲に事業を展開しており、ブランド力があります。住宅の品質が規格化されており、安定しているのが特徴です。モデルハウスやカタログが充実しているため、完成形をイメージしやすいというメリットがあります。一方で、仕様がある程度決まっているため、設計の自由度は工務店に比べて低い傾向にあり、広告宣伝費などが上乗せされるため価格は比較的高めです。
- 工務店:地域に根ざした経営を行っている会社が多く、その土地の気候や風土をよく理解しています。ハウスメーカーに比べて設計の自由度が高く、施主の細かい要望にも柔軟に対応してくれるのが魅力です。また、大手のような広告費や開発費がかからないため、同等の仕様であれば比較的コストを抑えられる傾向にあります。ただし、会社によって技術力やデザイン力に差があるため、見極めが重要になります。
選ぶ際のチェックポイント
どのタイプの会社を選ぶにしても、以下の点は必ずチェックしましょう。
実績と施工事例:自分たちが建てたい家のイメージに近い施工事例が豊富にあるかを確認します。
特に80平米前後の住宅の実績が多い会社であれば、限られた空間を有効活用するノウハウを蓄積している可能性が高いです。
担当者との相性:家づくりは、担当者と二人三脚で進めていく長い道のりです。
こちらの要望を真摯に聞いてくれるか、専門家として的確なアドバイスをくれるか、そして何よりも信頼できる人柄であるかを見極めましょう。
少しでも違和感や不安を感じるようであれば、担当者の変更を申し出るか、他の会社を検討する勇気も必要です。
経営状況の安定性:着工後に会社が倒産してしまうといった最悪の事態を避けるため、経営が安定している会社を選ぶことが重要です。住宅完成保証制度に加入しているかも確認しておくと、より安心です。
アフターサービスと保証:家は建てて終わりではありません。
引き渡し後の定期点検や、万が一の不具合に対応してくれる保証制度が充実しているかどうかも、長く安心して住むためには欠かせないチェックポイントです。
これらのポイントを総合的に判断し、複数の会社を比較検討することが、信頼できるパートナーを見つけるための最善の方法です。
理想の80平米の注文住宅は相見積もりで
ここまで80平米の注文住宅に関する様々な情報を見てきましたが、理想の家づくりを成功させるための最も重要なアクション、それは「相見積もり」を取ることです。
相見積もりとは、複数の住宅会社に同じ要望を伝え、それぞれから設計プランと見積もりを提案してもらうことを指します。
このプロセスは、単に価格を比較するためだけのものではなく、自分たちに最適な一社を見つけ出すための、極めて重要なステップなのです。
なぜ、相見積もりがそれほどまでに大切なのでしょうか。
第一に、価格の適正さを見極めることができるからです。
一社だけの見積もりでは、その金額が高いのか安いのか、妥当なのかを判断する基準がありません。
複数の会社から見積もりを取ることで、工事項目ごとの相場観が養われ、各社の価格設定を客観的に比較できます。
これにより、不当に高い契約をしてしまうリスクを避け、納得感のある価格で家を建てることが可能になります。
第二に、自分たちでは思いつかなかったような、優れた設計プランに出会える可能性が飛躍的に高まります。
80平米という限られた空間をどう活かすか、そのアイデアは設計者によって千差万別です。
ある会社は収納力を重視したプランを、別の会社は開放感を優先したプランを提案してくるかもしれません。
また別の会社は、家事動線に徹底的にこだわった驚くようなプランを提示してくれる可能性もあります。
複数の提案を比較検討することで、それぞれの良いところを取り入れたり、自分たちの本当の要望に気づかされたりするなど、プランがより洗練されていきます。
一社との打ち合わせだけでは、その会社の提案がベストだと信じてしまいがちですが、それでは視野が狭くなってしまいます。
そして第三に、会社の姿勢や担当者の能力を比較できるという大きなメリットがあります。
同じ要望に対して、どれだけ真剣に考えてプランを作成してくれたか、こちらの質問にどれだけ的確に答えてくれるか、その対応には会社の体質や担当者の熱意が如実に表れます。
家づくりは、会社との長い付き合いの始まりです。
心から信頼でき、安心して任せられるパートナーを見つけるためにも、複数の会社と実際にやり取りをしてみる経験は不可欠です。
理想の80平米の注文住宅を建てるという目標を達成するためには、最初の手間を惜しまず、少なくとも3社程度の相見積もりを取ることを強くお勧めします。
それが、後悔のない家づくりへの最も確実な道筋となるでしょう。
- ➤80平米は約24.2坪で3~4人家族向けの広さ
- ➤注文住宅の総額は土地代別に2800万円からが目安
- ➤費用は本体工事費・付帯工事費・諸費用で構成される
- ➤2階建ては限られた土地で部屋数を確保しやすい
- ➤3階建ては都市部の狭小地で空間を最大化できる
- ➤平屋は動線が良くバリアフリーで将来も安心
- ➤3LDKは80平米で最もバランスの取れた間取り
- ➤廊下を減らす工夫で4LDKの実現も可能になる
- ➤後悔しないためには収納やコンセント計画が重要
- ➤生活動線を具体的にシミュレーションすることが大切
- ➤住宅会社にはハウスメーカーや工務店などがある
- ➤施工実績や担当者との相性を見極める必要がある
- ➤家づくりの成功は信頼できる会社選びにかかっている
- ➤複数の会社を比較する相見積もりが最も重要
- ➤相見積もりで価格の適正化と最適なプランが見つかる