ハウスメーカーの大工手間を理解して損しない家づくりを

家づくりを検討している方にとって、工事費用の中でも特に気になるのが大工さんにかかる人件費です。

ハウスメーカーの工事費に含まれる大工手間は、契約形態や地域によって大きく異なるため、あらかじめその仕組みを知っておくことがとても重要です。

大工の手間請けとはどういう契約なのか、大工さんの1日の日当はいくらが相場なのかなど、正確な情報を知らずに契約してしまうと後悔につながることもあります。

また、一条工務店のように高性能住宅を扱うメーカーでは坪単価が高くなりがちである一方、タマホームのようなローコスト住宅では比較的低く抑えられています。

この記事では、ハウスメーカーでの大工の給料体系や手間請けの相場についてもわかりやすく解説していきます。

納得できる家づくりのために、ぜひ最後までご覧ください。

 

 

 

 

ハウスメーカーでの大工手間の仕組みと実情

 

大工の手間請けとは何か？仕組みを解説

大工の仕事には「常用」と「手間請け」という二つの契約形態があります。

常用とは、一定の日当で大工さんが雇われる形式で、会社員に近い働き方です。

一方で手間請けとは、仕事の成果に対して報酬が支払われる形態です。

例えば「この家一軒を〇〇万円で仕上げてほしい」といったように、完成までの責任を一括して請け負います。

この手間請け方式では、施工日数が短ければ短いほど大工の実質的な日当が高くなります。

逆に、丁寧な仕事をして工期が長くなると収入は減ってしまいます。

このため、スピード重視の作業が優先されやすく、見えない部分の施工品質にばらつきが出る可能性もあります。

もちろん、全ての大工さんが雑な仕事をするわけではありませんが、効率を優先しないと利益が出にくいというのが手間請けの現実です。

また、手間請けでは道具代、交通費、保険料などの経費も自己負担となるため、単価が高くても手取りは少なくなることもあります。

このように、手間請けは自由度が高い反面、自己責任も大きい働き方だと言えるでしょう。

大工さんの1日の日当はどれくらいか？

大工さんの1日の日当は地域やスキル、現場によって大きく異なります。

例えば、東京や神奈川などの都市部では2万5千円から3万5千円程度が相場とされています。

一方で、地方のエリアでは1万5千円から2万円前後という地域もあります。

また、経験年数が長く技術力のある大工さんは、日当も高く設定されていることが多いです。

ただし、ここで注意しなければならないのは、日当の中に含まれるコストです。

大工さんは個人事業主であることが多く、自分で保険料や税金、道具代、ガソリン代などを賄わなければなりません。

つまり、3万円の手間をもらっていても、実際に手元に残るのはそれよりかなり少なくなることがあります。

また、半日だけの仕事であっても「1人工」として日当が支払われることが一般的です。

これは、残りの半日で別の仕事が入らない可能性が高く、機会損失が生まれるからです。

こういった背景から、大工さんの日当は高いように見えても、実質的には適正価格だと考えるべきです。

大工さんの努力や責任の重さを考慮すると、この金額が高すぎるとは言えません。

手間請けの相場はどう決まるのか？

手間請けの相場は、主に「坪単価」と「地域性」、そして「工事内容の難易度」によって決まります。

坪単価とは、施工面積1坪あたりに対して支払われる金額のことです。

住宅の構造や仕様によって作業時間や技術の必要度が異なるため、同じ坪数でも手間のかかり方は大きく違ってきます。

そのため、シンプルな建売住宅であれば坪単価は2～3万円程度で設定されることが多いですが、フルオーダーの注文住宅では5万円を超えるケースもあります。

さらに、無垢材を使用したり、特殊な造作が多い住宅では6万円以上になることもあります。

また、地域ごとに物価や人件費が違うため、同じ30坪の住宅でも関東と九州では大工手間に1.5倍ほどの差が出ることも珍しくありません。

そして、繁忙期には手間請けの単価が上がる傾向があり、逆に閑散期には価格が抑えられることもあります。

相場を調べる際には、複数の施工会社から一括で見積もりを取ることが非常に有効です。

比較をすることで、自分の希望する施工内容に対して適正な価格を見極めることができます。

ハウスメーカーの大工の給料体系とは

ハウスメーカーに所属する大工の給料体系は、会社の雇用形態によって大きく異なります。

大手ハウスメーカーでは、社員として雇用されている「社員大工」と、業務委託の「手間請け大工」が存在します。

社員大工は、固定給が支払われ、社会保険や厚生年金などの福利厚生が整っています。

そのため、安定した収入を得ながら技術を磨くことができ、会社の教育制度を活用してスキルアップも目指せます。

一方で、自由度は低くなり、業務内容や勤務時間などに制限があるのが特徴です。

それに対し、手間請けの大工は個人事業主としての働き方になるため、働いた分だけ収入が増えます。

工期を短くして多くの現場をこなせば、月収で100万円を超えることも可能です。

しかし、保険や税金、道具代なども全て自己負担であり、事故や病気の際には収入がゼロになるリスクもあります。

また、ハウスメーカーによってはコスト削減を目的に、手間単価が抑えられている場合もあるため、注意が必要です。

給料の高さだけに注目するのではなく、安定性や将来性、働き方の自由度などを総合的に考慮することが重要です。

ハウスメーカーの大工手間を正しく理解することで、より納得のいく家づくりが可能になります。

ハウスメーカーにおける大工手間の比較と注意点

 

一条工務店における大工の坪単価の目安

一条工務店は、高断熱・高気密を強みにした高性能住宅を提供していることで知られています。

そのため、大工工事に求められる施工精度は非常に高く、細かい作業や丁寧な施工が必要とされます。

こうした背景から、一条工務店の大工の手間単価は比較的高めに設定されている傾向があります。

一般的には、坪単価で4万5千円〜6万円ほどが目安となっており、家の仕様や地域によってはそれ以上になることもあります。

例えば、床下断熱や樹脂サッシなど、性能に直結する部材の施工には正確性が求められ、手間が大きくかかるためです。

また、一条工務店ではプレカット工法を採用しているものの、現場での細部調整や造作工事は大工の技術力に依存しています。

このため、他のローコストメーカーと比較すると、作業日数も長くなる傾向にあります。

その結果、手間請け契約をする大工にとっては、単価が高い分、作業量も多く責任も重くなります。

相場より高めの坪単価であっても、その分だけ技術と時間が要求されるため、必ずしも「割が良い仕事」とは限りません。

依頼者側としては、坪単価が高い理由を理解し、金額だけで判断せず施工内容にも目を向けることが大切です。

タマホームでの大工の日当の実態とは

タマホームは「ローコスト住宅」の代表格として、全国展開しているハウスメーカーです。

その特徴として、あらかじめ設計や部材が規格化されており、工事を効率的に進めやすいという点が挙げられます。

このような背景があるため、大工の手間単価は比較的抑えられており、日当ベースで考えると1日2万円〜2万5千円前後が相場とされています。

これは建売住宅や量産型の住宅に多い価格帯であり、一定のスピードで作業ができる熟練の大工にとっては回転率の良い仕事となります。

ただし、施工のスピードを求められるため、作業精度や見えない部分の仕上がりに対する要求は比較的低めになる傾向があります。

このことは、短期間で完成させることを前提に工期が組まれていることとも関係しています。

タマホームで働く大工の多くは手間請け契約であり、1棟を30日前後で完成させることが求められるケースが多いです。

つまり、月に1〜2棟の工事をこなすことで、手取りとしては50万円〜60万円ほどを得ることが可能になります。

一方で、スピード重視の施工体制の中では、じっくり丁寧な作業を希望する職人には不向きな現場とも言えるでしょう。

依頼者としては、工期や価格だけでなく、どのような施工が行われるのかにも目を向けることが重要です。

地域ごとに異なる大工手間の価格差とは

大工手間の価格は、地域によって大きく異なるという特徴があります。

これは地元の物価や人件費、職人の数、需要のバランスなどが影響しているためです。

例えば、東京や横浜などの都市部では生活コストが高いため、大工の人件費も自然と高くなります。

そのため、1日あたりの手間代が2万5千円〜3万5千円になることも珍しくありません。

一方で、九州や東北などの地方では1日1万5千円〜2万円程度というケースもあります。

ただし、地方だからといって必ずしも安いというわけではなく、最近では東北地域で手間単価が上昇している例もあります。

これは、若手職人の減少や建築需要の集中などが背景にあります。

また、同じ工事内容でも、積雪地域や台風被害の多い地域などでは、構造的な工夫や強度のある施工が求められ、手間が増える分コストも上がる傾向があります。

地域性に加え、季節によっても手間単価は変動します。

繁忙期には単価が上がることが多く、閑散期には値下がりすることもあります。

そのため、適正な価格を知るためには、一括見積もりサービスなどで複数の業者から見積もりを取るのが効果的です。

価格だけでなく、工期や施工内容も比較することで、納得できる大工選びにつながります。

ハウスメーカーの大工手間で後悔しない選び方

ハウスメーカーの大工手間を見極めることは、家づくりで後悔しないための重要なポイントです。

なぜなら、見積もりに含まれる大工手間の価格は、建築費用の中でも大きな割合を占めているからです。

まず第一に、見積もりを1社や2社に限定せず、複数社から一括で取得することが大切です。

これにより、手間単価の相場や工事内容の違いを比較することができます。

見積書をよく見ると、「木工事一式」とだけ書かれていることもありますが、詳細な内訳が記載されたものほど信頼できます。

また、極端に手間代が安い場合は、施工スピードを優先している可能性があるため、見えない部分の仕上がりや耐久性に注意が必要です。

一方で、相場より高い場合には、その理由や施工の質について丁寧に説明してくれる業者かどうかを見極めましょう。

口コミや過去の施工事例も確認すると、その業者の実力や対応力が見えてきます。

さらに、「タウンライフ家づくり」のような無料一括見積もりサービスを使えば、有名ハウスメーカーのプランや価格を一度に比較することができます。

これにより、後から「こんなに費用がかかるとは思わなかった」と後悔するリスクを大きく減らせます。

大工手間をきちんと把握しておくことは、家づくり全体の満足度を左右する重要な要素なのです。