目隠しフェンスは感じ悪い？後悔しないための対策と知識

自宅のプライバシーを守るために設置を検討する目隠しフェンス。

しかし、インターネットで検索すると「目隠しフェンスは感じ悪い」という意見を目にすることがあります。

せっかく設置するなら、ご近所との関係を良好に保ちつつ、快適な住環境を実現したいものですよね。

目隠しフェンスがなぜ感じ悪いと思われてしまうのか、その理由には圧迫感や日当たりへの影響、そして隣人トラブルへの懸念など、さまざまな要因が絡んでいます。

また、設置してから後悔しないためには、高さや素材、デザインの選定が非常に重要になります。

対策を講じずに設置してしまうと、費用をかけたにもかかわらず、満足のいく結果が得られないかもしれません。

この記事では、目隠しフェンスは感じ悪いという印象を払拭し、後悔しないための具体的な対策やおしゃれなフェンス選びのコツを詳しく解説します。

隣人への配慮から費用を抑える方法、法律に関する知識まで、あなたの悩みを解決するための情報を網羅的にお届けします。

 

目隠しフェンスは感じ悪いと思われる理由とよくある後悔

圧迫感があり隣人トラブルの原因になる

目隠しフェンスが感じ悪いという印象を持たれる最大の理由の一つは、その圧迫感にあります。

特に、高さがあり、隙間のないデザインのフェンスは、まるで壁のようにそびえ立ち、周囲に威圧的な雰囲気を与えてしまうことがあります。

自分の敷地内であっても、隣接する住宅にとっては、これまで開放的だった空間が急に閉鎖的になるわけですから、良い印象を持たない方もいるでしょう。

この圧迫感が、隣人トラブルの引き金になるケースは少なくありません。

例えば、隣家のリビングの窓のすぐ前に高いフェンスが設置された場合、部屋からの眺めが遮られるだけでなく、常に壁が目の前にあるような息苦しさを感じるかもしれません。

また、風通しが悪くなることや、これまで感じられなかった影が落ちることへの不満から、苦情に発展することもあります。

こうしたトラブルは、一度こじれてしまうと解決が難しく、その後のご近所付き合いに大きな影を落とすことになりかねません。

フェンスを設置する側としてはプライバシー確保という正当な目的がありますが、隣人にとっては生活環境の悪化と受け取られる可能性があることを理解しておく必要があります。

特に、事前の相談や挨拶なしに工事を始めてしまうと、「何か隠したいことがあるのか」「こちらを拒絶しているのか」といった疑念を抱かれ、感情的な対立につながりやすくなります。

プライバシーを守りたいという気持ちと、周囲への配慮のバランスを取ることが、隣人トラブルを避ける上で最も重要なポイントと言えるでしょう。

設置してから後悔するケースとは

目隠しフェンスを設置した後に「こんなはずではなかった」と後悔するケースは、残念ながら少なくありません。

多くの人が直面する後悔のポイントを知ることで、同じ失敗を避けることができます。

まず最も多いのが、圧迫感に関する後悔です。

カタログやサンプルで見たときは素敵に思えても、実際に自宅に設置してみると、想像以上に威圧感があり、庭が狭く感じられたり、家全体が暗い印象になったりすることがあります。

これは、隣家に対してだけでなく、自分自身の住環境にも影響を及ぼす問題です。

次に、メンテナンスの手間を考えていなかったという後悔もよく聞かれます。

例えば、天然木のフェンスはおしゃれで温かみがありますが、定期的な塗装や防腐処理を怠ると、腐食や色褪せが進んでしまいます。

共働きで忙しい家庭などでは、メンテナンスの時間が取れず、数年でみすぼらしい見た目になってしまうこともあります。

費用に関する後悔も深刻です。

初期費用を抑えることだけを考えて安価な素材を選んだ結果、耐久性が低く、数年で交換が必要になり、結果的に高くついてしまったというケースです。

また、デザイン性を重視するあまり、高価なフェンスを選んでしまい、他の外構工事の予算を圧迫してしまったという話も耳にします。

さらに、機能面での後悔も挙げられます。

プライバシーを重視しすぎて完全に視線を遮るデザインにしたところ、風通しが極端に悪くなり、夏場に庭が蒸し風呂状態になってしまった、あるいは、防犯面で死角ができてしまい、かえって不安になったという事例もあります。

これらの後悔は、設置前の計画段階で、デザイン、素材、費用、機能性、そしてメンテナンス性といった複数の要素を総合的に検討しなかったことが原因で起こります。

自分の希望だけでなく、長期的な視点や周囲の環境との調和を考えて計画を進めることが、後悔しないフェンス選びの鍵となります。

 

高さが合わないと日当たりが悪化する

目隠しフェンスの設置で特に慎重に検討すべき要素が「高さ」です。

プライバシーを確保したいという思いから、つい高めのフェンスを選びがちですが、この高さが原因で深刻な問題を引き起こすことがあります。

その代表的な問題が、日当たりの悪化です。

自分や隣家の敷地に影を落とし、これまで日光が当たっていた庭や部屋が暗くなってしまうのです。

特に、住宅が密集している地域では、フェンスの高さがわずかに違うだけで、日照条件は大きく変わります。

例えば、隣家の家庭菜園やガーデニングスペースに影を落としてしまい、植物の生育に影響を与えてしまえば、大きなトラブルに発展する可能性があります。

同様に、自分の家の庭やリビングの日当たりが悪くなることも考えられます。

日中の室内が薄暗くなれば、照明をつける時間が増えて電気代に影響しますし、何よりも気分的に滅入ってしまうかもしれません。

冬場には、貴重な太陽の光が遮られることで、室温が上がりにくくなるというデメリットも考えられます。

一般的な目安として、地面から1.8メートル程度の高さがあれば、大人の視線を遮ることができると言われています。

しかし、これはあくまで一般的な基準であり、土地の高低差や隣家の窓の位置などによって、最適な高さは変わってきます。

重要なのは、どの位置からの視線を遮りたいのかを明確にし、必要最小限の高さに設定することです。

また、完全に視線を遮る必要がない場所であれば、上部が格子状になっているデザインや、ポリカーボネートなどの光を通す素材を選ぶといった工夫も有効です。

高さの決定は、メジャーなどを使って現地で入念にシミュレーションを行うことが不可欠です。

可能であれば、専門の業者に相談し、周辺環境を考慮した上で最適な高さを提案してもらうのが良いでしょう。

日当たりは、快適な生活を送る上で非常に重要な要素です。

安易な高さ設定で後悔しないよう、慎重な検討が求められます。

圧迫感をなくすための対策

目隠しフェンスに圧迫感が伴うのは避けられないと思われがちですが、いくつかの工夫を凝らすことで、その印象を大きく和らげることができます。

プライバシーを守りつつ、開放感を損なわないための具体的な対策を紹介します。

デザインで工夫する

最も効果的な対策の一つが、フェンスのデザイン選びです。

完全に視線を遮断する壁のようなデザインではなく、隙間のあるものを選ぶのがポイントです。

例えば、横板と横板の間に適度な隙間を設けた「ルーバータイプ」のフェンスは、視線を遮りながらも風や光をある程度通すため、圧迫感が軽減されます。

また、格子状の「ラティスタイプ」や、細い棒を並べたような「スリットタイプ」も人気があります。

これらのデザインは、向こう側が完全に見えないものの、気配を感じることができるため、閉鎖的な印象になりにくいのが特徴です。

素材で工夫する

素材の選び方も重要です。

光を通さないコンクリートや金属製のパネルは重厚感があり、圧迫感が出やすい傾向にあります。

そこでおすすめなのが、光を透過する素材の活用です。

例えば、すりガラス調の「ポリカーボネート」は、視線をしっかりと遮りつつも、光を取り込むことができるため、フェンスの向こう側が明るくなり、圧迫感を大幅に軽減できます。

また、温かみのある木目調の樹脂フェンスや、アルミ形材でも明るい色を選ぶことで、軽やかな印象を与えることが可能です。

色で工夫する

フェンスの色選びも、圧迫感に大きく影響します。

黒やダークブラウンなどの暗い色は、重厚で引き締まって見える反面、威圧感を与えやすい色でもあります。

圧迫感を避けたい場合は、白やアイボリー、シルバー、明るい木目調などの膨張色や明度の高い色を選ぶと良いでしょう。

特に、住宅の外壁の色と合わせることで、フェンスが家の一部として馴染み、一体感が生まれてすっきりとした印象になります。

植物との組み合わせ

無機質なフェンスに、植物を組み合わせるのも非常に効果的です。

フェンスの足元に植栽を施したり、ツル性の植物を這わせたりすることで、フェンスが背景に溶け込み、ナチュラルで優しい雰囲気を演出できます。

プランターやハンギングバスケットを飾るだけでも、印象は大きく変わります。

これらの対策を組み合わせることで、目隠しフェンスは感じ悪いというイメージを払拭し、機能性とデザイン性を両立させた、快適な空間づくりが可能になります。

素材選びで変わる家のデザイン

目隠しフェンスは、単にプライバシーを保護するための設備ではありません。

家の外観、いわゆる「ファサード」を構成する重要なデザイン要素の一つです。

どの素材を選ぶかによって、家全体の印象は大きく変わります。

素材ごとの特徴を理解し、自宅のデザインに合ったものを選びましょう。

アルミ形材

最も一般的で、多くの住宅で使用されているのがアルミ形材のフェンスです。

軽量で耐久性が高く、錆びにくいためメンテナンスが非常に楽なのが最大のメリットです。

カラーバリエーションも豊富で、直線的でシャープなデザインは、モダンな住宅と非常に相性が良いです。

ただし、無機質で冷たい印象になりがちなため、温かみを重視するデザインの家には合わない場合もあります。

樹脂（人工木）

天然木の質感を持ちながら、天然木特有の腐食や色褪せ、シロアリの心配がないのが樹脂製のフェンスです。

人工木とも呼ばれ、定期的な塗装などのメンテナンスが不要なため、近年非常に人気が高まっています。

温かみのあるデザインは、洋風の家から和風の家まで幅広くマッチします。

天然木に比べると初期費用は高めですが、長期的なメンテナンスコストを考えれば、コストパフォーマンスに優れた素材と言えるでしょう。

天然木

天然木ならではの風合いと温もりは、他の素材にはない魅力です。

時間とともに色合いが変化し、味わい深くなっていくのも特徴です。

ナチュラルな雰囲気の庭や、カントリー調の住宅にぴったりです。

ただし、最大のデメリットはメンテナンスの手間です。

美しさを保つためには、1〜3年ごとに保護塗料を塗り直す必要があります。

この手間を惜しまない、木が好きだという方におすすめの素材です。

スチール・アイアン

鋳物のようなデザイン性の高いものが多く、エレガントで高級感のある雰囲気を演出できるのがアイアンフェンスです。

視線を完全に遮るのではなく、デザインの間から向こう側が見えるものが多いため、圧迫感が少ないのも特徴です。

洋風の住宅や、クラシックなデザインの建物によく合います。

素材自体が重く、錆びやすいというデメリットがありましたが、最近では錆びにくい加工が施されたアルミ鋳物なども増えています。

このように、フェンスの素材はそれぞれに異なる特徴と魅力を持っています。

家の外壁やドア、窓サッシの色などとトータルでコーディネートすることで、統一感のある美しい外観を実現できます。

目隠しフェンスは感じ悪い印象を与えないための対策

おしゃれなフェンスを選ぶコツ

目隠しフェンスを「感じ悪い」ものにしないためには、機能性だけでなく、デザイン性を重視し「おしゃれ」に見せることが重要です。

いくつかのコツを押さえるだけで、フェンスは家の外観を引き立てる素敵なアイテムに変わります。

建物や外構との一体感を意識する

最も大切なのは、家本体や門扉、アプローチ、庭などの外構全体との調和を考えることです。

フェンスだけが浮いてしまわないように、テイストを合わせましょう。

例えば、モダンでシンプルなデザインの家なら、直線的なラインが美しいアルミ形材のフェンスが似合います。

ナチュラルな雰囲気の家なら、木目調の樹脂フェンスや植栽と組み合わせやすいデザインが良いでしょう。

色選びも同様で、家の外壁や窓サッシ、玄関ドアの色と系統を合わせると、統一感が生まれて洗練された印象になります。

異素材を組み合わせる

フェンス全体を同じ素材で作るのではなく、異なる素材を組み合わせることで、デザインに変化が生まれ、おしゃれな印象になります。

例えば、基本はアルミ形材のフェンスにしつつ、一部に木目調のパネルや、光を通すポリカーボネートのパネルをアクセントとして取り入れるといった方法です。

ブロック塀の上にフェンスを設置する場合は、ブロックの色や質感とフェンスの素材感の相性を考えることも大切です。

異素材の組み合わせは、単調になりがちなフェンスのデザインにリズムと奥行きを与えてくれます。

高さを変えてリズミカルに見せる

敷地のすべてを同じ高さのフェンスで囲ってしまうと、単調で圧迫感のある印象になりがちです。

そこで、視線を遮りたい場所は高く、そうでない場所は低くするなど、フェンスの高さに変化をつけることを検討してみましょう。

例えば、リビングの窓の前だけは高さ1.8mの目隠しタイプにし、それ以外の部分は高さ1.2mのメッシュフェンスにするなどです。

これにより、圧迫感が軽減されるだけでなく、外観にリズミカルな動きが生まれます。

照明や植栽で演出する

フェンスそのもののデザインに加えて、照明や植栽を効果的に使うことで、おしゃれさは格段にアップします。

フェンスの足元にグランドカバーを植えたり、アッパーライトで夜間にフェンスを照らし上げたりすると、昼間とは違った幻想的な雰囲気を楽しむことができます。

お気に入りのプランターを置いたり、ハンギングバスケットを飾ったりするだけでも、フェンスは素敵なガーデニングの背景に変わります。

これらのコツを参考に、ぜひご自宅に合ったおしゃれなフェンスを選んでみてください。

費用を抑えつつ満足度を上げるには

目隠しフェンスの設置は、決して安い買い物ではありません。

だからこそ、できるだけ費用を抑えたいと考えるのは当然のことです。

しかし、単に価格の安さだけで選んでしまうと、耐久性やデザイン性に問題があり、結果的に「安物買いの銭失い」になってしまう可能性があります。

ここでは、費用を賢く抑えながら、満足度の高いフェンスを実現するためのポイントを解説します。

素材選びを工夫する

フェンスの費用は、素材によって大きく異なります。

一般的に、スチール製のメッシュフェンスが最も安価で、次いでアルミ形材、樹脂（人工木）、天然木、アルミ鋳物（アイアン調）の順に高くなる傾向があります。

予算を抑えたい場合は、比較的安価なアルミ形材や、部分的にメッシュフェンスを取り入れるなどの工夫が有効です。

ただし、初期費用だけでなく、メンテナンスにかかる長期的なコストも考慮することが重要です。

例えば、天然木は初期費用が安くても、数年ごとの再塗装費用がかかります。

一方で、樹脂フェンスは初期費用が高めですが、メンテナンスがほぼ不要なため、トータルコストでは安くなる場合もあります。

必要な場所にだけ設置する

敷地全体を完全に囲うのではなく、プライバシーを確保したい場所に限定して目隠しフェンスを設置するのも、費用を抑える賢い方法です。

例えば、隣家のリビングや窓から見える範囲、道路からの視線が気になる部分にだけ、高さのある目隠しタイプを設置し、それ以外の場所は安価なメッシュフェンスにしたり、既存のブロック塀を活かしたりするのです。

どこからの視線を、どの程度遮りたいのかを明確にすることが、無駄なコストを削減する第一歩です。

DIYを検討する

もしDIY（Do It Yourself）の経験やスキルがあるなら、自分でフェンスを設置することで、施工費用を大幅に節約することができます。

ホームセンターなどでは、DIY向けのフェンスキットも販売されています。

ただし、フェンスの設置には、基礎の作成など、正確性と強度が求められる作業が含まれます。

特に、台風などの強風に耐えられるよう、基礎をしっかりと作らなければ、倒壊の危険性もあります。

自信がない場合は、無理をせず専門業者に依頼するのが賢明です。

複数の業者から相見積もりを取る

専門業者に依頼する場合は、必ず複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」を行いましょう。

同じような内容の工事でも、業者によって費用は大きく異なることがあります。

2〜3社から見積もりを取り、価格だけでなく、提案内容や担当者の対応、保証の有無などを比較検討することが重要です。

相見積もりを取ることで、適正な価格を把握できるだけでなく、より信頼できる業者を見つけることにも繋がります。

これはフェンス設置に限らず、理想の家を建てる際に住宅会社を選ぶ場合も同じで、複数の会社から提案を受けることが、自分に合ったプランに出会うための最も確実な方法と言えるでしょう。

隣人への挨拶と配慮のポイント

目隠しフェンスの設置が原因で起こる隣人トラブルを避けるために、最も重要と言っても過言ではないのが、隣人への事前の挨拶と配慮です。

法律上、自分の敷地内にフェンスを建てることに問題はありませんが、隣人の生活環境に少なからず影響を与える可能性がある以上、コミュニケーションを怠るべきではありません。

ここでは、円滑なご近所付き合いを維持するための具体的なポイントを紹介します。

工事の前に必ず挨拶に行く

フェンスの計画が固まり、工事業者が決まったら、工事が始まる前に必ず隣接する家の住民へ挨拶に伺いましょう。

理想的なタイミングは、工事開始の1週間〜10日ほど前です。

挨拶の際には、菓子折りなどを持参すると、より丁寧な印象になります。

伝えるべき内容は以下の通りです。

大切なのは、一方的に決定事項を伝えるのではなく、相談するという姿勢で話すことです。

「このようなフェンスを考えているのですが、ご迷惑になりそうな点はございませんか？」と一言添えるだけで、相手の受け取り方は大きく変わります。

隣人の意見にも耳を傾ける

挨拶に伺った際に、隣人から日当たりや圧迫感に関する懸念を示されることもあるかもしれません。

その場合は、相手の話を真摯に聞き、可能な範囲で計画に反映させる姿勢を見せることが重要です。

例えば、「日当たりが心配」ということであれば、フェンスの高さを少し下げる、上部を光を通す素材にするなどの代替案を検討し、再度相談に伺うといった対応が求められます。

もちろん、すべての要望に応える必要はありませんが、相手の懸念に寄り添い、共に解決策を探るという態度が、信頼関係を築く上で不可欠です。

越境しないように注意する

フェンス本体やその基礎が、隣の敷地にはみ出してしまう「越境」は、絶対に避けなければならないトラブルです。

工事を始める前に、必ず土地の境界線を明確にしておきましょう。

境界標が見当たらない、あるいは不明確な場合は、土地家屋調査士などの専門家に依頼して、境界を確定させる必要があります。

工事は、必ず境界線の内側で行うように、工事業者にも徹底してもらいましょう。

これらの配慮を事前に行うことで、目隠しフェンスは感じ悪いという印象を抱かれることなく、お互いが気持ちよく暮らせる環境を維持することができます。

DIYのメリットと注意点

外構工事の費用を抑える方法として、目隠しフェンスのDIY（Do It Yourself）を検討する方も増えています。

専門業者に依頼するよりもコストを大幅に削減できる可能性がある一方で、いくつかの注意点を理解しておかないと、思わぬ失敗やトラブルにつながることもあります。

DIYのメリット

最大のメリットは、やはり費用の節約です。

業者に依頼した場合にかかる施工費（人件費）が不要になるため、材料費だけでフェンスを設置できます。

一般的に、施工費は総額の3〜5割程度を占めるため、その分を節約できるのは大きな魅力です。

また、自分の好きなデザインや素材を自由に選べるのもDIYの楽しさの一つです。

既製品のフェンスキットだけでなく、木材を自分で加工して、世界に一つだけのオリジナルフェンスを作ることも可能です。

自分の手で作り上げたフェンスには愛着が湧き、家づくりの良い思い出にもなるでしょう。

DIYの注意点

一方で、フェンスのDIYには専門的な知識と技術が求められます。

特に重要なのが「基礎」の工事です。

フェンスは、常に風雨にさらされるため、その荷重や風圧に耐えられるだけの強固な基礎が必要です。

基礎の施工が不十分だと、フェンスが傾いたり、台風などの強風で倒壊したりする危険性があります。

フェンスが倒壊して隣家や通行人に被害を与えた場合、その責任はすべて設置者である自分自身が負うことになります。

また、水平・垂直を正確に出して柱を立てる作業も、慣れていないと非常に難しいものです。

少しのズレが、フェンス全体の歪みにつながり、見た目が悪くなるだけでなく、強度にも影響します。

さらに、DIYにはかなりの時間と労力がかかります。

週末だけの作業では、完成までに数週間から数ヶ月かかることも珍しくありません。

作業に必要な工具を揃えるための初期投資も必要になります。

DIYは大きな達成感と費用の節約というメリットがありますが、リスクも伴います。

少しでも不安がある場合や、高さのあるフェンスを設置する場合は、安全性を最優先し、プロの業者に依頼することをおすすめします。

法律や境界線に関する知識

目隠しフェンスを設置する際には、個人の好みや隣人への配慮だけでなく、法律や条例、そして土地の境界線といった、客観的なルールについても正しく理解しておく必要があります。

これらを知らないまま工事を進めてしまうと、後から違反を指摘されて撤去を求められたり、深刻なトラブルに発展したりする可能性があります。

建築基準法に関する注意点

一般的に、高さが2メートルを超えるブロック塀などを造る場合は、建築基準法に基づき、建築確認申請が必要になることがあります。

しかし、アルミ製や木製のフェンスの場合は、ブロック塀とは扱いが異なり、建築物とみなされないケースがほとんどです。

ただし、自治体によっては独自の条例でフェンスの高さや構造に制限を設けている場合があるため、一概には言えません。

特に、防火地域や準防火地域、景観地区などに指定されているエリアでは、使用できる素材やデザインに制限があることもあります。

計画段階で、一度お住まいの市区町村の建築指導課などに問い合わせて、地域のルールを確認しておくと安心です。

民法と日照権

隣地との関係については、民法が関わってきます。

例えば、民法第235条では、「境界線から1メートル未満の距離において、他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側を設ける者は、目隠しを付けなければならない」と定められています。

これは、隣人から目隠しの設置を求められた場合の根拠となり得ます。

一方で、フェンスを設置することで隣地の日当たりを著しく阻害し、隣人の生活に大きな不利益を与える場合は、「日照権の侵害」として損害賠償やフェンスの撤去を求められる可能性もゼロではありません。

どの程度の日照阻害が「受忍限度を超える」と判断されるかは、ケースバイケースですが、トラブルを未然に防ぐためにも、日当たりへの配慮は不可欠です。

最も重要な「境界線」の確認

法律問題の中でも、最もトラブルになりやすいのが「境界線」です。

フェンスやその基礎が、たとえ1センチでも隣の敷地にはみ出して設置されていると、それは「所有権の侵害」にあたります。

工事を始める前には、必ず土地の境界を示す「境界標（境界杭）」が現地に存在するかを確認してください。

もし境界標が見当たらない、または位置が不明確な場合は、絶対に自己判断で工事を進めてはいけません。

法務局に保管されている地積測量図などの資料を確認したり、土地家屋調査士に依頼して、隣地所有者立ち会いのもとで境界を確定させる「境界確定測量」を行う必要があります。

費用はかかりますが、将来的なトラブルを避けるためには不可欠な手続きです。

これらの法律やルールは、安全で快適な住環境を維持するために存在します。

面倒に感じるかもしれませんが、後悔しないためにも、しっかりと確認するようにしましょう。

目隠しフェンスは感じ悪いという印象をなくす総括

これまで、目隠しフェンスは感じ悪いと思われてしまう理由と、その印象を払拭するための様々な対策について解説してきました。

圧迫感や日当たり、隣人との関係など、考慮すべき点は多岐にわたりますが、ポイントを押さえて計画的に進めることで、プライバシーを守りつつ、家の外観を向上させる素晴らしい設備となり得ます。

重要なのは、フェンスを単なる「目隠し」として捉えるのではなく、住まいと暮らしの一部として総合的にデザインするという視点です。

なぜフェンスが必要なのか、誰からの視線をどこで遮りたいのかという目的を明確にすることから始めましょう。

そして、高さ、デザイン、素材、色といった要素を、圧迫感をなくし、隣人への配慮を忘れずに選んでいくことが大切です。

特に、ルーバータイプやスリットデザイン、光を通す素材などを選ぶことで、閉鎖的な印象は大きく和らぎます。

また、工事前の隣人への挨拶と相談は、良好なご近所付き合いを維持するために不可欠なプロセスです。

費用面では、必要な場所にだけ設置を限定したり、複数の業者から相見積もりを取ったりすることで、賢くコストを管理することができます。

これらのステップを丁寧に進めることで、「感じ悪い」どころか、住まいに愛着をもたらし、ご近所からも好意的に受け入れられるフェンスを実現できるはずです。

最終的に、理想のフェンス選びは、理想の家づくりそのものに繋がっていきます。

家全体のデザインや機能性、そして予算とのバランスを考えながら、最適な答えを見つけることが求められます。

そのためには、一つの会社だけの提案に頼るのではなく、複数の専門家、つまり複数の住宅会社から提案を受け、比較検討することが非常に有効な手段となります。

相見積もりを通じて、自分たちの価値観に合ったプランや、信頼できるパートナーに出会うことができるでしょう。

目隠しフェンスの計画をきっかけに、ぜひご自身の住まい全体について、改めて考えてみてはいかがでしょうか。