新築の家づくりは、夢と希望に満ち溢れた一大イベントですね。
しかし、その過程では無数の決定を下さなければならず、細かな点まで配慮するのは非常に大変な作業と言えるでしょう。
中でも、多くの人が後から「こうすればよかった」と後悔しがちなのが、キッチンの使い勝手を大きく左右する冷蔵庫のスペースは新築の計画です。
間取りの打ち合わせではリビングや収納など大きな空間に意識が向きがちですが、毎日使う冷蔵庫の設置スペースは、少しの計画不足が日々のストレスに直結してしまうかもしれません。
新築で後悔しないためには、冷蔵庫を置くための寸法、特に幅や奥行き、そして高さを正確に把握することが不可欠です。
さらに、見落としがちな放熱スペースの確保や、使いやすいコンセントの配置も重要なポイントになります。
キッチン全体の家事動線を考えた最適な配置、家族がスムーズにすれ違える十分な通路幅の確保、そして意外な盲点となりがちな搬入経路の確認も、計画段階で済ませておくべきでしょう。
せっかくの注文住宅で、冷蔵庫が通路にはみ出してしまったり、ドアが全開にできずに中の物を取り出しにくかったり、見た目が不格好になってしまったりするのは避けたいものです。
この記事では、冷蔵庫のスペースは新築で失敗しないために知っておくべき全ての情報を、網羅的に、そして分かりやすく解説していきます。
この記事を最後まで読めば、あなたもきっと、デザイン性と機能性を両立した理想のキッチンを実現できるはずです。
- ➤新築で冷蔵庫スペースを決める際の失敗しないチェックリスト
- ➤正確な設置スペースの寸法の測り方と注意点
- ➤放熱を考慮した左右と上の適切なスペース幅
- ➤キッチン動線を最適化する冷蔵庫の配置計画
- ➤使い勝手と安全性に関わるコンセントの位置
- ➤冷蔵庫の搬入経路で確認すべき重要ポイント
- ➤理想のキッチンを実現するための住宅会社選びのコツ
冷蔵庫のスペースは新築で失敗しないための基本寸法
- ➤後悔しないための最低限のチェックリスト
- ➤正確な寸法の測り方とポイント
- ➤冷蔵庫本体より重要な幅のゆとり
- ➤意外と見落としがちな奥行きの確認
- ➤天井までの高さと放熱スペースの計算
後悔しないための最低限のチェックリスト
新築の家づくりにおいて、冷蔵庫のスペース確保は後回しにされがちな項目ですが、実は暮らしの快適さを大きく左右する重要な要素です。
計画段階での少しの油断が、「こんなはずではなかった」という後悔につながるケースは少なくありません。
たとえば、「購入予定の冷蔵庫がスペースに収まらない」「設置はできたが、ドアが壁に当たって全開にできない」「通路にはみ出してしまい、キッチンが狭く感じる」といった失敗談は、残念ながらよく耳にする話です。
このような事態を避けるために、まずは最低限確認しておくべきチェックリストを頭に入れておきましょう。
このチェックリストを一つひとつ確認しながら計画を進めることで、失敗のリスクを大幅に減らすことができます。
特に重要なのは、冷蔵庫本体のサイズだけでなく、設置に必要な「ゆとり」を考慮することです。
このゆとりには、冷蔵庫が発する熱を逃がすための放熱スペースや、ドアをスムーズに開閉するためのスペースが含まれます。
寸法は冷蔵庫本体だけでなく、放熱スペースを含めて考えることが最も重要です。
これを怠ると、冷蔵庫の冷却効率が落ちて電気代が余計にかかったり、最悪の場合は故障の原因になったりすることもあります。
以下に、後悔しないための具体的なチェックリストを挙げますので、設計士やハウスメーカーの担当者との打ち合わせの際に、ぜひ活用してください。
- 設置スペースの寸法(幅・奥行き・高さ)は十分か
- 放熱スペースは左右・上部に確保されているか
- ドアの開閉方向と、全開にできるスペースは考慮されているか
- コンセントの位置と種類(アース付きかなど)は適切か
- キッチン全体の家事動線上に無理なく配置されているか
- 冷蔵庫を置いた状態での通路幅は十分か
- 購入予定の冷蔵庫の搬入経路は確保されているか
これらの項目は、どれか一つでも欠けていると、後々の生活で不便を感じる原因となります。
特に、搬入経路は家が完成してからでは変更が難しいため、設計段階で必ず確認しておくべきです。
これらのチェックリストを基に、慎重に計画を進めることが、理想のキッチンづくりの第一歩となるでしょう。
正確な寸法の測り方とポイント
冷蔵庫スペースの計画において、基本中の基本となるのが「寸法」の確認です。
しかし、ただ漠然と測るだけでは不十分で、正確に計測するためのいくつかのポイントが存在します。
まず、計測に必要なのは「幅」「奥行き」「高さ」の3つの寸法です。
これらを測る際には、メジャーが曲がらないように注意し、必ず床面と平行、壁面と垂直になるように意識しましょう。
特に、新築の建築中や内覧会で計測する際には、図面上の数値だけを鵜呑みにせず、必ず自分の目で実測することが大切です。
建築の過程で、数ミリ単位の誤差が生じることは珍しくないからです。
幅の測り方
幅を測る際は、一箇所だけでなく、床に近い部分、腰の高さ、天井に近い部分の3箇所を測ることをお勧めします。
壁が完全に垂直であるとは限らず、場所によって微妙に寸法が異なる可能性があるためです。
計測した中で、最も狭い数値を基準に計画を立てるのが安全です。
奥行きの測り方
奥行きも同様に、左右の壁際でそれぞれ測ってみましょう。
また、冷蔵庫スペースの奥に巾木(はばき)がある場合は、床面での奥行きと巾木の上での奥行きが変わってきます。
冷蔵庫は床から直接置くため、最も狭くなる床面の寸法を基準にする必要があります。
高さの測り方
高さは、床から天井まで、または冷蔵庫の上に棚や吊戸棚を設置する場合はその下端までを計測します。
この際も、左右や奥など複数箇所で測り、最も低い数値を採用しましょう。
これらの計測を丁寧に行うことで、「入るはずだったのに…」という初歩的なミスを防ぐことができます。
図面の数値を過信せず、必ずメジャーを使って自分の手で実測することが、失敗を避けるための確実な方法です。
また、計測した数値は必ずメモを取り、可能であれば写真も撮っておくと、後から家電量販店で冷蔵庫を選ぶ際に非常に役立ちます。
以下の表は、計測時に確認すべきポイントをまとめたものです。
測定箇所 | 測定のポイント | 注意点 |
---|---|---|
幅 | 上・中・下の3箇所で測定する | 最も狭い数値を採用する |
奥行き | 左右両端で測定し、巾木に注意する | 床面での最も狭い数値を採用する |
高さ | 複数箇所で測定する | 最も低い数値を採用する |
この一手間が、後々の安心感につながるのです。
冷蔵庫本体より重要な幅のゆとり
冷蔵庫スペースの幅を考えるとき、多くの人が購入予定の冷蔵庫本体の幅ぎりぎりで計画してしまいがちです。
しかし、これこそが大きな失敗の元となります。
冷蔵庫を設置する際には、本体の左右に必ず「ゆとり」つまり放熱のためのスペースが必要不可欠なのです。
冷蔵庫は、庫内を冷やすために外部へ熱を放出しています。
この放熱がスムーズに行われないと、冷却効率が著しく低下してしまいます。
結果として、冷蔵庫は常にフルパワーで稼働しようとするため、電気代が余計にかかってしまうのです。
それだけでなく、本体に過度な負荷がかかり続けることで、寿命を縮めてしまう原因にもなりかねません。
では、具体的にどのくらいのゆとりが必要なのでしょうか。
これは冷蔵庫のメーカーや機種によって異なりますが、一般的には左右それぞれに0.5cmから2cm程度のスペースが推奨されています。
最新のモデルの中には、放熱設計が改良され、より狭いスペースでも設置可能なものもありますが、一概には言えません。
したがって、最も確実なのは、購入したい冷蔵庫の取扱説明書やメーカーのウェブサイトで、推奨される設置寸法を事前に確認することです。
もし、まだどの冷蔵庫にするか決まっていない場合は、少し余裕を持たせて左右それぞれ2cmから3cm程度のスペースを確保しておくと、将来的な買い替えの際にも選択肢が広がり安心です。
また、幅のゆとりは放熱以外にも重要な役割を果たします。
それは、ドアの開閉です。
冷蔵庫のドアは、90度開くだけでなく、中の棚や引き出しをスムーズに取り出すためには、120度以上開く必要があるモデルも多いのです。
もし、スペースの片側が壁になっている場合、ドアの厚みや取っ手が壁に干渉し、ドアが全開にできなくなる可能性があります。
そうなると、大きな野菜室のケースや製氷機のタンクが取り出せず、掃除ができないといった不便が生じます。
このような事態を避けるためにも、壁側のスペースには特に余裕を持たせた設計が求められます。
冷蔵庫のスペースは新築の計画では、本体サイズ+放熱スペース+ドア開閉スペースをトータルで考える視点が不可欠と言えるでしょう。
意外と見落としがちな奥行きの確認
冷蔵庫スペースの計画において、幅と高さにばかり気を取られ、奥行きの確認を怠ってしまうケースが後を絶ちません。
奥行きが合わないと、冷蔵庫がキッチンカウンターや周辺の収納家具から不格好に飛び出してしまい、キッチンの見た目を大きく損なう原因となります。
せっかく美しくコーディネートされたキッチンも、冷蔵庫だけが前に出っ張っていると、一気に雑然とした印象になってしまうでしょう。
この問題を「冷蔵庫の出っ張り問題」と呼び、新築の後悔ポイントとして常に上位に挙げられます。
奥行きを確認する際に注意すべき点は、冷蔵庫本体の奥行き寸法だけを見てはいけないということです。
まず、多くの冷蔵庫はドアのハンドル部分が本体から数センチ突き出ています。
カタログスペックの奥行き寸法が、ハンドルを含まない数値である場合も多いので、注意深く確認する必要があります。
また、冷蔵庫の背面には、電源コードやアース線を取り回すためのスペース、そして放熱のための空間が必要になる場合があります。
壁にぴったりとつけて設置してしまうと、プラグ部分が圧迫されたり、放熱がうまくいかなかったりする可能性があるのです。
一般的に、壁から5cmから10cm程度のスペースを空けることが推奨されています。
したがって、冷蔵庫スペースに必要な奥行きは、「冷蔵庫本体の奥行き(ハンドル含む)+背面の放熱・配線スペース」を合計して計算しなければなりません。
最近では、キッチン全体のデザイン性を高めるために、「カウンターデプス(Counter Depth)」と呼ばれる奥行きが浅いタイプの冷蔵庫も人気を集めています。
これは、一般的なシステムキッチンのカウンター(奥行き約65cm)と面が揃うように設計されており、設置した際にすっきりと美しいラインが生まれます。
もしキッチンの統一感を重視するのであれば、設計段階からカウンターデプス冷蔵庫の導入を検討し、それに合わせたスペースを確保するのが賢明です。
ただし、奥行きが浅い分、同じ容量でも幅が広くなる傾向があるため、幅の寸法とのバランスを考慮することが重要になります。
冷蔵庫のスペースは新築で美しいキッチンを実現するためには、この奥行きの確認が極めて重要な鍵を握っているのです。
天井までの高さと放熱スペースの計算
冷蔵庫スペースの最後の寸法、それが「高さ」です。
高さの確保も、幅や奥行きと同様に、冷蔵庫の性能を維持し、長持ちさせるために非常に重要となります。
その理由は、やはり「放熱」にあります。
暖かい空気は上へと昇る性質があるため、冷蔵庫が発した熱の多くは、本体の上部から放出されます。
この上部スペースに十分なゆとりがないと、熱がこもってしまい、冷却効率の低下や故障の原因となるのです。
必要な上部スペースの寸法は、メーカーや機種によって異なりますが、一般的には5cmから10cm以上が推奨されています。
これを無視して天井や棚にぴったりとつけて設置してしまうと、常に冷蔵庫が無理をしている状態になり、電気代の増加や寿命の短縮に直結します。
新築の際に、冷蔵庫の上のスペースを有効活用しようと、吊戸棚や収納棚を設置するケースは非常に多いでしょう。
もちろん、デッドスペースを減らす素晴らしいアイデアですが、その際には必ず冷蔵庫の放熱スペースを確保した上で棚の高さを決める必要があります。
棚を設置する場合は、冷蔵庫本体の高さに加えて、最低でも10cmの放熱スペースを確保した位置から取り付けるように設計しましょう。
そうすることで、将来的に冷蔵庫を買い替える際に、少し背の高いモデルにも対応できるというメリットも生まれます。
最近の冷蔵庫は、大容量化に伴い高さが180cmを超えるモデルも珍しくありません。
現在の身長の低い冷蔵庫に合わせて棚を作ってしまうと、次の買い替えで選択肢が極端に狭まってしまう可能性があるのです。
また、高さの確認では、冷蔵庫本体の「脚」の部分も見落とせません。
多くの冷蔵庫には、設置場所の微妙な傾きを調整するためのアジャスター脚がついています。
このアジャスターで高さを調整することも考慮に入れて、少し余裕を持った高さ設定をしておくと安心です。
さらに、忘れてはならないのが、設置作業そのものです。
冷蔵庫をスペースに入れる際には、少し斜めにしたり持ち上げたりする動作が必要です。
高さが本当にぎりぎりだと、設置作業が困難になったり、壁や床、冷蔵庫本体を傷つけてしまったりするリスクが高まります。
冷蔵庫のスペースは新築の計画では、放熱、将来の買い替え、そして設置作業のしやすさという3つの観点から、高さにも十分なゆとりを持たせることが求められるのです。
冷蔵庫のスペースは新築計画で考えるべき周辺環境
- ➤使い勝手を左右するコンセントの位置
- ➤キッチン動線を考えた最適な配置とは
- ➤人がすれ違うための通路幅を確保する
- ➤搬入経路の確認は契約前に済ませる
- ➤まとめ:理想の冷蔵庫のスペースは新築時に決まる
使い勝手を左右するコンセントの位置
冷蔵庫の設置スペースを考える際、寸法ばかりに目が行きがちですが、同じくらい重要なのが「コンセントの位置」です。
コンセントの位置一つで、日々の使い勝手や安全性、さらにはメンテナンスのしやすさが大きく変わってきます。
新築の計画段階であれば、コンセントの位置は比較的自由に決められるため、最適な場所をしっかりと検討しておくべきです。
一般的に、冷蔵庫用のコンセントは、冷蔵庫本体の背面に隠れる位置に設置されることが多いでしょう。
見た目がすっきりするというメリットはありますが、この配置にはいくつかのデメリットも潜んでいます。
最大のデメリットは、コンセントの抜き差しが非常に困難になることです。
冷蔵庫は一度設置すると動かすのが大変な家電です。
雷が鳴っている時に一時的にプラグを抜きたくても、あるいは長期間家を空ける際に節電のために電源を切りたくても、重い冷蔵庫を動かさなければならないのは大きな負担となります。
また、コンセントとプラグの間にホコリが溜まると、湿気などを原因として発火する「トラッキング現象」という火災のリスクも指摘されています。
背面にコンセントがあると、このホコリの掃除がほとんどできなくなり、安全上の懸念が残ります。
そこでお勧めしたいのが、コンセントを冷蔵庫本体の上部、手が届く範囲の壁に設置する方法です。
冷蔵庫の高さが180cm程度だとすると、床から190cmから200cmくらいの高さにコンセントがあれば、冷蔵庫を動かさずに簡単に電源のオンオフができます。
これなら、掃除も楽に行えますし、緊急時にもすぐに対応可能です。
コンセントの種類にも注意が必要です。
冷蔵庫は水気のあるキッチンで使う電化製品であり、漏電のリスクに備えてアース線の接続が推奨されています。
そのため、設置するコンセントはアース端子付きのものを選ぶのが基本です。
安全性とメンテナンス性を考慮し、コンセントは冷蔵庫の上部など、手が届きやすく、かつ目立ちにくい位置に設置するのが理想的です。
さらに、冷蔵庫は24時間365日稼働し続ける家電であり、消費電力も比較大きいため、他の家電製品と共用しない「専用回路」にしておくと、ブレーカーが落ちる心配が減り、より安心して使用できます。
冷蔵庫のスペースは新築の電気配線計画において、このコンセントの位置と種類は、忘れずに指定しておきたい重要なポイントの一つです。
キッチン動線を考えた最適な配置とは
冷蔵庫の設置場所は、単にスペースが空いているからという理由で決めるべきではありません。
キッチンの「家事動線」を深く考慮して配置を決定することが、毎日の料理を快適で効率的なものにするための鍵となります。
家事動線とは、キッチンで作業する人が移動する経路を線で結んだものです。
この動線が短く、シンプルであるほど、作業効率が良く、疲れにくいキッチンとされています。
キッチンにおける主要な作業のポイントは、「冷蔵庫(食材を取り出す)」「シンク(洗う・下ごしらえする)」「コンロ(加熱調理する)」の3つです。
この3点を結んだ三角形を「ワークトライアングル」と呼び、この三角形の3辺の合計が3.6mから6.0mの範囲に収まっていると、理想的な動線とされています。
このワークトライアングルを意識して冷蔵庫の配置を考えてみましょう。
配置パターンの例
- シンクの横に配置
冷蔵庫から食材を取り出し、すぐにシンクで洗って下ごしらえができるため、非常にスムーズな動線が生まれます。最も合理的で人気の高い配置の一つです。 - キッチンの入り口付近に配置
買い物から帰ってきて、すぐに食材を冷蔵庫にしまえるというメリットがあります。また、料理中以外に家族が飲み物を取りに来る際にも、調理スペースの奥まで入ってくる必要がないため、動線が交錯しにくいという利点もあります。 - パントリーの近くに配置
常温保存の食材をストックしておくパントリーと冷蔵庫が近いと、食材の管理や出し入れが一度にできて便利です。
一方で、避けるべき配置もあります。
例えば、コンロの真横に冷蔵庫を置くのはお勧めできません。
コンロの熱が冷蔵庫に伝わり、冷却効率を下げてしまう可能性があるからです。
また、ワークトライアングルが大きくなりすぎると、無駄な移動が増えてしまいます。
逆に小さすぎても、作業スペースが窮屈に感じられるかもしれません。
あなたの料理のスタイルや、家族のライフスタイルを想像しながら、最もスムーズに動ける冷蔵庫の配置を見つけることが重要です。
たとえば、調理中にダイニングにいる家族から飲み物を頼まれることが多いなら、キッチンの入り口付近が良いかもしれません。
まとめ買いをして一度にたくさんの食材をしまうことが多いなら、パントリーの近くが便利でしょう。
冷蔵庫のスペースは新築の計画段階で、図面の上で自分の動きをシミュレーションしてみることで、最適な配置が見えてくるはずです。
人がすれ違うための通路幅を確保する
冷蔵庫の配置を考える上で、本体の寸法や動線と同じくらい大切なのに見落とされがちなのが、「通路幅」の確保です。
キッチンは、一人で黙々と作業する場所であるとは限りません。
夫婦で一緒に料理をしたり、子どもがお手伝いをしたり、あるいは配偶者が後ろを通ってパントリーへ向かったりと、複数人が同時にキッチン内にいる場面は意外と多いものです。
そんなとき、通路幅が狭いと、すれ違うたびに体を横にしたり、「ちょっと通るよ」と声をかけたりする必要があり、これが日々の小さなストレスとして積み重なっていきます。
また、通路が狭いと、冷蔵庫のドアを開けたときに人が通れなくなってしまったり、屈んで下の段の物を取っているときに他の人が通れなかったりといった不便も生じます。
では、快適なキッチンを実現するためには、どのくらいの通路幅が必要なのでしょうか。
一般的に、キッチンでの作業に最低限必要とされる通路幅は、約80cmから90cmとされています。
これくらいの幅があれば、一人が作業するには十分なスペースです。
しかし、二人以上がキッチン内ですれ違うことを想定するならば、理想的には120cm程度の通路幅を確保することが推奨されます。
120cmあれば、一人が作業をしていても、もう一人がその後ろをスムーズに通り抜けることができます。
注意すべきは、この通路幅を「どこからどこまで」で測るかという点です。
通路幅は、壁から壁までの距離ではありません。
キッチンカウンターの端から、向かい側にある冷蔵庫や食器棚の「最も手前に来る部分」までの距離で考えなければなりません。
特に冷蔵庫は、本体だけでなくドアの取っ手部分が数センチ出っ張っているため、そのハンドルの一番手前を基準に通路幅を計算する必要があります。
これを忘れて壁面からの距離で設計してしまうと、実際に家具や家電を設置した後に「思ったより通路が狭い」という事態に陥ってしまいます。
冷蔵庫のスペースは新築の設計図を見るときには、家具配置後の有効な通路幅がどれくらいになるのかを、メジャーを片手に具体的にイメージすることが失敗を防ぐコツです。
少し贅沢にスペースを取るように感じるかもしれませんが、このゆとりが、日々の暮らしの快適さと安全性に大きく貢献してくれるのです。
搬入経路の確認は契約前に済ませる
せっかく完璧な冷蔵庫スペースを設計し、最新の理想的な冷蔵庫を選んだとしても、その冷蔵庫が設置場所まで無事に届けられなければ、すべての計画は水の泡となってしまいます。
これが、家づくりにおける最大の落とし穴とも言える「搬入経路」の問題です。
「家は完成したのに、買った冷蔵庫が入らない」という悲劇は、決して他人事ではありません。
このような事態を避けるためには、冷蔵庫の購入契約前、そして可能であれば家の設計が固まる前の段階で、搬入経路の寸法を徹底的に確認しておく必要があります。
確認すべきポイントは、玄関から冷蔵庫の設置場所までのすべての通り道です。
- 玄関ドアの幅と高さ
まず最初の関門です。冷蔵庫本体の寸法+梱包材の厚みを考慮しても、余裕をもって通過できるか確認します。 - 廊下の幅
特に、廊下の途中に曲がり角がある「クランク」部分は要注意です。冷蔵庫を斜めにしたり回転させたりしないと通れない場合が多く、最も搬入が難しい箇所の一つです。 - 室内ドアの幅と高さ
リビングやキッチンへの入り口です。ドアノブが邪魔にならないか、ドアを外せば通れるかなども確認します。 - 階段の幅と形状
2階にキッチンがある場合は、階段の幅、天井高、そして踊り場のスペースが重要になります。直線階段か、折り返し階段かによっても難易度が大きく変わります。 - 天井の高さ
廊下や階段の途中で、梁(はり)などが出ていて天井が低くなっている箇所がないか確認します。
これらの箇所を計測する際は、冷蔵庫本体の寸法(幅・奥行き・高さ)に、梱包材の厚みとしてプラス10cm程度の余裕を見ておくと安全です。
家電量販店の配送業者や引越し業者は、搬入経路の事前下見サービスを行っていることが多いので、不安な場合はプロの目で確認してもらうのが最も確実です。
もし、通常の経路からの搬入が難しいと判断された場合、窓やバルコニーからクレーンを使って吊り上げて搬入するという方法もあります。
しかし、これには当然ながら追加で数万円単位の特殊作業料金が発生しますし、家の立地条件によってはクレーン車が入れないこともあります。
冷蔵庫のスペースは新築の計画では、こうした予期せぬ出費やトラブルを避けるためにも、搬入経路の確認は「念のため」ではなく「必須事項」として、できるだけ早い段階で済ませておくことが賢明な判断と言えるでしょう。
まとめ:理想の冷蔵庫のスペースは新築時に決まる
ここまで、冷蔵庫のスペースは新築で失敗しないための様々なポイントを解説してきました。
適切な寸法の確保から、放熱スペースの重要性、コンセントの位置、キッチン動線、そして搬入経路の確認まで、考慮すべき点は多岐にわたります。
これらの要素は、どれか一つが欠けても、日々の暮らしに不便やストレスをもたらす原因となり得ます。
理想のキッチン、そして理想の住まいを実現するためには、こうした細部にまでこだわった丁寧な計画が不可欠です。
そして、これは冷蔵庫のスペースに限った話ではありません。
家づくり全体において、同じことが言えるのです。
一つの住宅会社から提案された間取りやプランが、一見すると完璧に見えるかもしれません。
しかし、そのプランが本当にあなたの家族にとって唯一無二の最適解なのでしょうか。
もしかしたら、別の会社であれば、もっと家事動線が優れた間取りや、同じ予算でより高品質な設備を導入できるプラン、あるいはあなた自身も気づいていなかったような斬新なアイデアを提案してくれるかもしれません。
最高の家づくりを実現するための最も確実な方法は、複数の住宅会社から相見積もりを取り、それぞれの提案をじっくりと比較検討することです。
相見積もりを取ることで、各社の設計思想の違いや得意な工法、デザインの傾向を知ることができます。
また、詳細な見積もりを比較することで、コストの内訳が明確になり、どこに費用がかかっているのか、どこを削れるのかを客観的に判断できるようになります。
何より、複数の担当者と話をすることで、心から信頼でき、末永く付き合っていけるパートナーとなる会社を見極めることができるでしょう。
冷蔵庫のスペースという一つのテーマを深く考えることが、結果的に家づくり全体の成功につながっていきます。
ぜひ、今回ご紹介した知識を活用して、後悔のない家づくりを進めてください。
そして、その第一歩として、複数の住宅会社にあなたの夢を語り、最高の提案を引き出すことから始めてみてはいかがでしょうか。
- ➤新築の冷蔵庫スペースは後悔しやすい重要ポイント
- ➤寸法は幅・奥行き・高さを複数箇所で実測するのが基本
- ➤放熱スペースは左右と上に必ず5cmから10cm確保する
- ➤ドアの開閉角度を考慮して壁からの距離を決める
- ➤奥行きはカウンターと揃えるとキッチンが美しく見える
- ➤コンセントは手が届く高さに設置すると安全で便利
- ➤冷蔵庫はアース付きの専用回路に接続するのが理想
- ➤キッチン動線を考えた配置が毎日の家事を楽にする
- ➤通路幅は120cmあると家族がすれ違っても快適
- ➤搬入経路は玄関から設置場所まで契約前に必ず確認
- ➤失敗を防ぐには家の設計段階での綿密な計画が重要
- ➤理想の家づくりは一つのプランだけでは見つからないことが多い
- ➤複数の住宅会社から提案を受けることが成功への近道
- ➤相見積もりで自分たち家族に合った最適なプランが見つかる
- ➤コストやデザインを多角的に比較して後悔のない会社を選ぶ