積水ハウスの20年点検の費用と内容|保証延長は必要?

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積水ハウスで家を建ててから20年という節目が近づくと、多くの方が積水ハウスの20年点検について考え始めるのではないでしょうか。

この大切な点検を前に、具体的な点検内容や、どれくらいの費用がかかるのか、不安や疑問を感じている方も少なくないでしょう。

特に、点検自体は本当に無料なのか、そして保証を延長するために提案されることが多いユートラスシステムの工事は必須なのか、という点は大きな関心事です。

さらに、外壁塗装や屋根のメンテナンス、シロアリ対策にはどの程度の費用を見込んでおけば良いのか、その目安を知りたいという声もよく聞かれます。

多くのオーナーが、事前に情報を得ようと様々なブログを検索し、体験談を参考にしています。

しかし、情報が多岐にわたるため、結局のところ自分の家にとってこの20年点検が本当に必要なのか、判断に迷うこともあるかもしれません。

この記事では、積水ハウスの20年点検に関するあらゆる疑問に答えるべく、点検の基本的な内容から費用の詳細、保証延長の条件、そして賢い選択をするためのポイントまで、網羅的に解説していきます。

これから点検を迎える方が安心して準備を進められるよう、必要な情報を分かりやすくお届けします。

この記事でわかること
  • ➤積水ハウスの20年点検が本当に無料なのか
  • ➤点検でチェックされる具体的な内容と項目
  • ➤保証延長の鍵となるユートラスシステムの実態
  • ➤シロアリ対策や外壁塗装にかかる費用の目安
  • ➤20年点検を受ける必要性とメリット
  • ➤有償工事を断った場合の保証への影響
  • ➤点検を賢く乗り切るための注意点と知識

 

積水ハウスの20年点検で確認すべき内容と費用

この章のポイント
  • ➤点検は本当に無料で受けられるのか
  • ➤具体的な点検内容とチェック項目
  • ➤保証延長に必要なユートラスシステムとは
  • ➤シロアリ対策の必要性と費用
  • ➤外壁塗装や屋根のメンテナンス費用

点検は本当に無料で受けられるのか

積水ハウスの20年点検について、多くの方が最初に抱く疑問は「本当に無料なのか」という点でしょう。

結論から言うと、積水ハウスが実施する20年の定期点検そのものは、無料で受けることができます。

これは、住宅の長期的な維持管理をサポートするというメーカーのアフターサービスの一環として提供されているものです。

点検員が訪問し、建物の状態を目視や簡単な計測でチェックする作業に対して、費用を請求されることはありません。

では、なぜ費用に関する話題が多く出るのでしょうか。

その理由は、点検の結果、必要と判断された補修工事やメンテナンスが有償となるからです。

20年という歳月が経過すれば、住宅には経年による劣化が各所に見られるのが一般的です。

例えば、外壁のシーリングの劣化、屋根の防水機能の低下、シロアリ対策の再施工など、様々なメンテナンスが必要になる可能性があります。

点検員はプロの目でこれらの劣化箇所を洗い出し、住宅の性能を維持するために必要な工事を提案してくれます。

この提案される工事が数十万円から、場合によっては数百万円規模になることがあるため、「20年点検は高額な費用がかかる」というイメージにつながっているわけです。

したがって、「点検は無料、補修は有料」と理解しておくのが正確だと言えます。

積水ハウスとしては、点検をきっかけに自社でのメンテナンス工事を受注したいという意図もあるため、詳しい見積もりが提示されることになります。

もちろん、その見積もり内容に納得できなければ、必ずしもすべての工事を依頼する必要はありません。

しかし、保証の延長を希望する場合には、指定された工事の実施が条件となるケースがほとんどなので、その点は注意が必要です。

この仕組みを正しく理解し、点検報告と見積もり内容を冷静に検討することが、後悔しない選択をするための第一歩となるでしょう。

具体的な点検内容とチェック項目

積水ハウスの20年点検では、専門の点検員が住宅の隅々までチェックを行いますが、具体的にどのような項目が確認されるのでしょうか。

点検は、住宅の資産価値と安全性を長期にわたって維持するために不可欠なプロセスであり、その内容は多岐にわたります。

主に、「建物外部」「建物内部」「床下」「設備」の4つのカテゴリーに分けて点検が進められます。

これらの点検を通じて、建物の劣化状況を正確に把握し、必要なメンテナンスを特定することが目的です。

以下に、主な点検内容とチェック項目を表形式でまとめました。

これにより、点検当日にどのようなことが行われるのか、事前にイメージを持つことができるでしょう。

カテゴリー 主なチェック項目 確認する内容
建物外部 屋根、外壁、シーリング、バルコニー、雨樋 ひび割れ、塗装の色あせ、シーリングの硬化や断裂、防水層の劣化、雨樋の詰まりや破損などを確認します。
建物内部 壁、天井、床、建具 雨漏りのシミ、クロスの剥がれやひび割れ、床のきしみや沈み、ドアや窓の開閉不良などを確認します。
床下 基礎、土台、断熱材、給排水管 基礎のひび割れ、土台の腐食やシロアリの被害(蟻道)、断熱材の脱落、配管からの水漏れの有無などを重点的に確認します。
設備 給湯器、換気システム 給湯器の作動状況や異音、換気システムのフィルターの汚れや換気量のチェックなどを行います。

特に重要なのが、床下の点検と、屋根・外壁といった外部の点検です。

床下はシロアリ被害や構造体の状態を直接確認できる唯一の機会であり、外部は雨水の浸入を防ぐ上で最も重要な部分だからです。

点検員はこれらの項目を一つひとつ丁寧に確認し、写真撮影も行いながら現状を記録していきます。

そして、点検終了後には、撮影した写真を見ながら詳細な報告が行われ、どこにどのような問題があり、どのような対策が必要かについての説明がなされます。

この報告内容と、それに基づいて作成される見積もりをしっかりと確認し、今後のメンテナンス計画を立てることが大切です。

自分の家の状態を客観的に知る、またとない機会と捉えましょう。

 

保証延長に必要なユートラスシステムとは

積水ハウスの20年点検において、保証延長の話とセットで必ずと言っていいほど登場するのが「ユートラスシステム」という言葉です。

これは一体どのようなもので、なぜ保証延長に必要なのでしょうか。

ユートラスシステムとは、積水ハウス独自のシート防水システムの名称で、主にバルコニーや陸屋根(フラットな屋根)の防水処理に用いられています。

塩化ビニル樹脂系のシートを熱で溶かして一体化させることで、高い防水性能と耐久性を実現しているのが特徴です。

積水ハウスの住宅では、このユートラスシステムによって雨水の浸入を防いでいる部分が多くあります。

新築時の保証期間は、この防水性能が維持されることを前提に設定されています。

しかし、20年が経過すると、紫外線や風雨の影響で防水シート自体が劣化し、硬くなったり、接合部が弱くなったりする可能性があります。

もし防水機能が低下すれば、そこから雨水が建物内部に浸入し、構造躯体を傷める原因になりかねません。

そのため、積水ハウスでは20年という節目でこのユートラスシステムの点検・メンテナンス(多くの場合、トップコートの再塗装やシートの部分補修、あるいは全面的な再施工)を推奨しています。

そして、このメーカーが推奨する有料のメンテナンス工事を実施することが、雨漏りを防ぐ「防水性能」に関する保証を、さらに10年間延長するための条件となっているのです。

つまり、ユートラスシステムのメンテナンスを行わなければ、万が一その後に雨漏りが発生しても、保証の対象外となってしまう可能性があるということです。

費用は施工範囲や劣化状況によって異なりますが、数十万円単位になることが一般的です。

高額に感じるかもしれませんが、これは住宅の心臓部である構造体を水から守るための重要な投資と考えることができます。

保証を延長するかどうかはオーナーの判断に委ねられますが、その判断をするためには、ユートラスシステムが住宅の防水においていかに重要な役割を担っているかを理解しておくことが不可欠です。

点検の際には、自宅のどの部分にユートラスシステムが使われているのか、そしてその現状がどうなっているのかを、点検員に詳しく説明してもらうようにしましょう。

シロアリ対策の必要性と費用

住宅の寿命を縮める大きな要因の一つに、シロアリによる被害が挙げられます。

積水ハウスの20年点検においても、シロアリ対策は非常に重要な項目として扱われます。

新築時に行われる防蟻処理の効果は、一般的に5年から10年程度で切れるとされています。

そのため、10年目の点検で一度再施工を推奨されることが多いですが、もし実施していない場合や、効果の持続期間を考慮すると、20年目はシロアリ対策を見直す絶好のタイミングと言えるでしょう。

点検では、専門のスタッフが床下に潜り、シロアリが侵入した形跡である「蟻道(ぎどう)」がないか、土台や柱に食害の跡がないかを徹底的にチェックします。

幸いにも被害が確認されなかった場合でも、予防的な観点から防蟻処理の再施工を提案されることがほとんどです。

なぜなら、一度シロアリの被害に遭うと、木材の交換など大規模な修繕が必要になり、結果的に多額の費用がかかってしまうからです。

そうなる前に、予防として薬剤を散布したり、ベイト剤(毒餌)を設置したりしておく方が、はるかに経済的かつ安心だと言えます。

気になる費用ですが、シロアリ対策の方法や建物の面積によって変動します。

一般的に、積水ハウスから提案される防蟻処理の費用は、市場の相場と比較するとやや高めに設定されている傾向があるようです。

費用の目安は以下の通りです。

  1. 薬剤散布(バリア工法):15万円~30万円程度
  2. ベイト工法:年間契約で5万円~10万円程度

薬剤散布は一度の施工で5年程度の効果が期待でき、ベイト工法は定期的な管理が必要となります。

積水ハウスの保証を維持するためには、同社が指定する方法での施工が必要となる場合があります。

しかし、保証にこだわらないのであれば、外部のシロアリ駆除専門業者に相見積もりを取ることで、費用を抑えられる可能性もあります。

ただし、その場合は業者の選定を慎重に行う必要があります。

いずれにせよ、日本の木造住宅にとってシロアリ対策は避けて通れないメンテナンスです。

20年という節目に、家の健康状態を守るための必要な投資として、前向きに検討することをおすすめします。

外壁塗装や屋根のメンテナンス費用

積水ハウスの20年点検で、最も大きな費用がかかる可能性があるのが、外壁塗装と屋根のメンテナンスです。

これらは住宅の美観を保つだけでなく、雨風や紫外線から建物を保護するという非常に重要な役割を担っています。

20年も経過すると、新築時の輝きは失われ、塗装の劣化や汚れ、場合によってはひび割れなどが見られるようになります。

外壁材の種類によってもメンテナンス周期は異なりますが、20年というのは多くの場合で何らかの手入れが必要となる時期です。

特に、外壁のパネル同士の隙間を埋めているシーリング(コーキング)は、ゴム系の素材であるため硬化やひび割れが起こりやすく、この部分の劣化を放置すると雨漏りの原因に直結します。

そのため、外壁塗装を行う際には、古いシーリングを撤去して新しく打ち替える作業も同時に行われるのが一般的です。

屋根に関しても同様で、スレート屋根であれば塗装、瓦屋根であっても漆喰の補修やズレの修正などが必要になることがあります。

これらのメンテナンスにかかる費用は、まさに「高額」と言えるものです。

建物の大きさや形状、使用する塗料のグレードによって大きく変動しますが、一般的な30坪程度の住宅でも、外壁塗装と屋根のメンテナンスを同時に行うと、150万円から300万円程度の費用がかかることも珍しくありません。

以下は、費用の内訳の一例です。

  • 足場の設置費用:20万円~30万円
  • 高圧洗浄:3万円~5万円
  • シーリング工事:20万円~40万円
  • 外壁塗装(塗料代+工賃):80万円~150万円
  • 屋根塗装(塗料代+工賃):30万円~60万円

積水ハウスに依頼する場合、純正の塗料や部材を使用するため安心感はありますが、費用は外部の専門業者に依頼するよりも高くなる傾向があります。

費用を抑えたい場合は、複数の塗装専門業者から相見積もりを取り、内容を比較検討することが有効です。

ただし、その際は積水ハウスの外壁材の特性をよく理解している業者を選ぶことが重要になります。

いずれにしても、建物の寿命を延ばすためには不可欠な工事です。

20年点検を機に、計画的な資金準備を始めることをお勧めします。

 

積水ハウスの20年点検を賢く乗り切るための知識

この章のポイント
  • ➤そもそも20年点検は本当に必要か
  • ➤他のオーナーのブログから学ぶ注意点
  • ➤有償工事を断る選択肢と保証への影響
  • ➤保証内容と期間を正しく理解する
  • ➤賢い選択で後悔しない積水ハウスの20年点検を

そもそも20年点検は本当に必要か

高額なメンテナンス費用がかかる可能性があると聞くと、「そもそも積水ハウスの20年点検は本当に受けなければならないのか」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。

法律で義務付けられているわけではないため、点検を受けるか受けないかは、最終的にはオーナーの自由な判断に委ねられます。

しかし、結論から言えば、特別な事情がない限り、この20年点検は受けることを強く推奨します

その理由は、大きく分けて3つあります。

第一に、住宅の健康状態をプロの目で正確に診断してもらえる貴重な機会だからです。

普段の生活では気づきにくい床下や屋根裏、外壁の細かな劣化などを専門家がチェックしてくれることで、問題が深刻化する前に発見し、対処することができます。

人間で言えば、定期的な健康診断のようなものであり、これを怠ることで後々大きな病気(=大規模な修繕)につながるリスクを回避できるのです。

第二に、保証延長の権利を維持するためです。

後述しますが、積水ハウスの長期保証(永年保証)は、定期的な点検と、その結果に基づいて推奨される有料メンテナンスを実施することが条件となっています。

もし点検自体を受けなければ、その時点で保証延長の権利を放棄したと見なされ、以降の保証が失効してしまう可能性があります。

第三の理由は、住宅の資産価値を維持することにつながるからです。

定期的にメーカーによる適切なメンテナンスを受けている住宅は、将来的に売却する際にも評価が高くなる傾向があります。

点検と補修の履歴が、その住宅が大切に管理されてきたことの証明となるわけです。

もちろん、点検を受けたからといって、提案されたすべての有料工事を鵜呑みにして契約する必要はありません。

まずは点検で自宅の状態を客観的に把握し、提示された見積もりを元に、どの工事を、いつ、どの業者で行うかをじっくり検討する、というスタンスで臨むのが賢明です。

点検を「工事を契約させられる場」と捉えず、「我が家の状態を知るための健康診断」と捉えることで、その必要性が見えてくるはずです。

他のオーナーのブログから学ぶ注意点

積水ハウスの20年点検を経験した多くのオーナーが、その体験談をブログで公開しています。

これらの実体験に基づいた情報は、これから点検を迎える方にとって非常に参考になります。

実際にどのようなやり取りがあったのか、費用の見積もりはどのくらいだったのか、そしてどのように判断したのかを知ることで、心の準備ができるでしょう。

多くのブログで共通して指摘されている注意点をいくつかご紹介します。

見積もりが高額になることを覚悟しておく

ほとんどのブログで、点検後に提示されるメンテナンス工事の見積もりが予想以上に高額であったと述べられています。

特に外壁塗装、屋根の防水工事(ユートラスシステム)、シロアリ対策がセットになると、合計で200万円から400万円といった金額になることも珍しくありません。

事前にこのことを知っておけば、見積もりを見て冷静さを失うことなく、落ち着いて内容を検討することができるでしょう。

その場で契約を即決しない

点検当日に詳細な説明を受け、その流れで契約を勧められるケースもあるようです。

しかし、高額な契約になるため、その場で即決することは絶対に避けるべきです。

「家族と相談します」「一度持ち帰って検討します」とはっきりと伝え、考える時間を確保することが重要です。

多くの先輩オーナーも、冷静な判断期間を置くことの重要性を強調しています。

相見積もりの重要性

費用を適正化するために、複数のブログで推奨されているのが、外部の専門業者からの相見積もりです。

特に外壁塗装やシロアリ対策は、積水ハウス以外の業者でも高品質な施工が可能です。

同じ工事内容でも、業者によって金額が数十万円単位で変わることもあります。

ただし、保証との兼ね合いがあるため、どの工事を外部に依頼するのかは慎重に判断する必要があります。

積水ハウスの保証を維持したい工事と、そうでない工事を切り分ける視点が求められます。

点検員とのコミュニケーション

点検員の方に、疑問点を遠慮なく質問することの大切さも多くのブログで語られています。

なぜこの工事が必要なのか、今すぐやらなければどうなるのか、保証との関係はどうなっているのかなど、納得できるまで説明を求める姿勢が大切です。

これらのブログから得られる情報は、あくまで個人の体験談ですが、共通する注意点には耳を傾ける価値があります。

事前に情報収集を行い、シミュレーションしておくことが、積水ハウスの20年点検を賢く乗り切るための鍵となります。

有償工事を断る選択肢と保証への影響

積水ハウスの20年点検後、提示された有償工事の見積もりが高額だった場合、「この工事を断ることはできるのだろうか」と考えるのは当然のことです。

結論として、提案された有償工事を断るという選択は可能です。

工事の契約はあくまでオーナーの任意であり、積水ハウス側が強制することはできません。

経済的な事情や、工事の必要性に納得できないなど、様々な理由で断るケースは実際に存在します。

しかし、ここで最も注意しなければならないのが、工事を断った場合の「保証」への影響です。

積水ハウスが誇る「永年保証」システムは、定期的な点検と、その結果に基づいてメーカーが必要と判断した有料メンテナンスを実施することを条件に、保証が延長されていく仕組みになっています。

したがって、メーカーが「保証を維持するために必須」と指定した工事(例えば、構造躯体の保証に関わるシロアリ対策や、雨漏り防止の保証に関わる防水工事など)を断った場合、その部分に関する保証は20年で満了となり、延長されません。

具体的にどのような影響があるのか、例を挙げてみましょう。

  • 防水工事(ユートラスシステム等)を断った場合:
    以降、バルコニーや屋根から雨漏りが発生しても、その補修費用は全額自己負担となります。
  • 防蟻工事(シロアリ対策)を断った場合:
    その後、シロアリ被害によって土台や柱の交換が必要になっても、保証の対象外となります。

このように、工事を断るという選択は、将来的なリスクを自分で引き受けることを意味します。

もちろん、すべての工事が保証に直結するわけではありません。

例えば、美観の回復が主な目的である外壁の再塗装などは、保証延長の必須項目ではない場合もあります。

そのため、点検員に対して、「どの工事が、どの部分の保証延長に必須条件となっているのか」を一つひとつ明確に確認することが極めて重要です。

その上で、保証を失うリスクと、工事にかかる費用を天秤にかけ、総合的に判断する必要があります。

保証を維持するために積水ハウスに依頼する工事と、費用を抑えるために外部業者に依頼する工事、そして今回は見送る工事、というように、優先順位をつけて賢く仕分ける視点が求められるでしょう。

保証内容と期間を正しく理解する

積水ハウスの20年点検を考える上で、根幹となるのが「保証制度」への理解です。

「永年保証」という言葉の響きから、一度建てれば未来永劫すべてが無償で保証されると誤解している方もいるかもしれませんが、実際はそうではありません。

この保証制度を正しく理解することが、適切な判断を下すための前提となります。

まず、積水ハウスの保証は、大きく分けて「初期保証」と「延長保証」の2段階で構成されています。

初期30年保証

現在、積水ハウスでは主要な構造部分や雨水の浸入防止部分に対して、業界でもトップクラスの「初期30年保証」を提供しています(※契約時期により内容は異なります)。

つまり、20年目の時点では、まだこの初期保証の期間内であるということです。

ただし、この保証が適用されるのは、あくまで通常の使用における製造・施工上の欠陥(瑕疵)が原因で不具合が生じた場合です。

経年劣化による性能低下は、保証の対象外となります。

20年点検で指摘される項目の多くは、この経年劣化に該当するため、その補修が有償となるわけです。

延長保証(永年保証)

そして、初期保証期間が満了する30年目以降も保証を継続できるのが「延長保証」の仕組みです。

これが「永年保証」と呼ばれるもので、10年ごとの定期点検と、その際に必要と判断された有料メンテナンス工事を実施し続ける限り、建物が存在する限り保証を延長できるという制度です。

20年点検は、この保証を30年目以降も延長していくための、いわば中間チェックポイントとしての重要な意味合いを持っています。

ここで推奨されるメンテナンス(特に構造・防水関連)を行わないと、30年で保証が打ち切られてしまう可能性があるのです。

保証される対象部位も重要です。

保証は建物のすべての部分に適用されるわけではありません。

  1. 構造躯体と雨水の浸入防止部分:最も重要な保証対象。延長の条件が厳しい部分。
  2. 設備機器や内外装:保証期間が短い(1~2年程度)か、そもそも対象外の部分。

したがって、「保証を延長する」という言葉が、具体的に「どの部分」の保証を指すのかを正確に把握する必要があります。

高額なメンテナンス費用は、この最も重要な部分の安心を将来にわたって買い続けるための保険料、と考えることもできるでしょう。

保証書やアフターサービス基準などを改めて確認し、自分の家の保証内容と期間、そして延長の条件を正確に理解しておくことが不可欠です。

賢い選択で後悔しない積水ハウスの20年点検を

これまで見てきたように、積水ハウスの20年点検は、単なる建物のチェックに留まらず、その後のメンテナンス計画や保証の継続、そして多額の費用が絡む、住宅オーナーにとっての一大イベントです。

後悔しないためには、感情やその場の雰囲気に流されることなく、冷静かつ賢明な判断を下す必要があります。

この記事の総まとめとして、賢い選択をするためのポイントを整理します。

まず最も大切なのは、情報収集を怠らないことです。

この記事や他のオーナーのブログなどを参考に、点検の内容、費用の相場、保証の仕組みといった基本的な知識を事前に頭に入れておきましょう。

知識は、業者との対等なコミュニケーションを可能にし、不要な工事や割高な契約を防ぐための武器となります。

次に、点検当日は、提示された報告と見積もりの内容を徹底的に確認することです。

「なぜこの工事が必要なのか」「今すぐやらなければどのようなリスクがあるのか」「どの工事が保証延長の必須項目なのか」といった点を、曖昧さがなくなるまで質問し、書面で回答をもらうくらいの姿勢で臨むことが望ましいです。

そして、提示された見積もりを鵜呑みにせず、必ず相見積もりを取得することをお勧めします。

特に外壁塗装やシロアリ対策などは、外部の優良な専門業者に依頼することで、品質を維持しつつ費用を大幅に削減できる可能性があります。

その際には、保証を継続するために積水ハウスに依頼すべき工事と、外部に発注しても問題ない工事を、冷静に切り分ける視点が重要になります。

最終的な判断は、ご自身のライフプランや経済状況と照らし合わせて行うべきです。

これからも長くこの家に住み続けるのか、将来的な売却も視野に入れているのかによっても、かけるべきメンテナンス費用の考え方は変わってくるでしょう。

家づくりにおいては、新築時だけでなく、こうした長期的な視点でのメンテナンス計画が非常に重要になります。

これから理想の家を建てることをお考えの方は、建築を依頼するハウスメーカーを選ぶ際に、初期費用だけでなく、こうした長期的なメンテナンス費用や保証制度についても、複数の会社から提案を受け、比較検討することが、将来にわたって満足度の高い家づくりにつながるということを覚えておくと良いでしょう。

この記事のまとめ
  • ➤積水ハウスの20年点検自体は無料で受けられる
  • ➤点検後の補修やメンテナンス工事は有償となる
  • ➤点検では外壁や屋根、床下など建物の劣化を総合的にチェック
  • ➤保証延長にはユートラスシステムなど指定の防水工事が条件になる
  • ➤外壁塗装や屋根のメンテナンスは数百万単位の費用がかかることも
  • ➤シロアリ対策は建物の寿命を守るために重要なメンテナンス
  • ➤20年点検は建物の健康診断として受ける価値が非常に高い
  • ➤点検を断ると保証延長の権利を失う可能性がある
  • ➤提示された有償工事を断ることは可能だが保証に影響が出る
  • ➤どの工事が保証延長の必須条件か明確に確認することが重要
  • ➤事前にブログ等で情報収集し高額な見積もりを想定しておく
  • ➤点検当日に契約を即決せず必ず検討する時間を設ける
  • ➤外部業者との相見積もりで費用を比較検討するのが賢明
  • ➤理想の家を建てるには複数の注文住宅会社からの提案が不可欠
  • ➤家づくりは初期費用と長期メンテナンスの両面で比較することが大切

 

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