
注文住宅を建てるなら、自分だけの特別な空間を作りたいと考える方は多いのではないでしょうか。
中でも、毎日の身支度を楽しく、そして効率的にしてくれるメイクスペースは、多くの女性が憧れる設備の一つです。
しかし、いざ注文住宅のメイクスペースを計画しようとすると、どこに設置すれば良いのか、どのような間取りが使いやすいのか、収納や照明、コンセントの計画はどうすれば良いのか、といった様々な疑問が浮かび上がることでしょう。
また、おしゃれなデザインにしたいけれど、費用はどのくらいかかるのか、メリット・デメリットをしっかり把握して後悔しない選択をしたい、という悩みも尽きません。
この記事では、注文住宅でメイクスペースを設ける際のあらゆる課題を解決するために、設置場所の選定から具体的な間取りの工夫、失敗しないための収納や照明、コンセント計画、さらにはおしゃれなインテリアを実現するためのアイデアや参考事例まで、網羅的に解説していきます。
洗面所や寝室、リビング、ウォークインクローゼットなど、それぞれの場所に設置した場合の動線や使い勝手を比較し、カウンターの高さや椅子の選び方、鏡の大きさといった細部に至るまで、あなたが後悔しないためのポイントを詳しくお伝えします。
造作家具と既製品の比較や、気になる費用相場についても触れていきますので、理想の注文住宅のメイクスペースを実現するための、具体的なヒントがきっと見つかるはずです。
- ➤注文住宅のメイクスペース設置場所ごとの利点と欠点
- ➤家事や生活の動線を考慮した最適な間取りの考え方
- ➤よくある失敗事例と後悔しないための具体的な対策
- ➤化粧品がすっきり片付く効果的な収納アイデア
- ➤メイクの仕上がりを左右する照明とコンセント計画の重要性
- ➤おしゃれなメイクスペースを実現するためのデザイン事例と費用
- ➤造作家具と既製品のメリット・デメリット比較
注文住宅のメイクスペースで後悔しないための計画術
- ➤設置場所ごとのメリット・デメリットを解説
- ➤家事動線を考えた使いやすい間取りとは
- ➤やってしまいがちな失敗と後悔しない対策
- ➤散らからない化粧品の収納アイデア
- ➤メイクのしやすさを決める照明とコンセント
設置場所ごとのメリット・デメリットを解説
注文住宅のメイクスペースを計画する上で、最も重要と言えるのが「どこに設置するか」という場所の選定です。
毎日のように使うスペースだからこそ、ご自身のライフスタイルや動線に合った場所を選ぶことが、満足度を大きく左右します。
ここでは、人気の設置場所である「洗面所・脱衣所」「寝室」「ウォークインクローゼット」「リビング」の4箇所を取り上げ、それぞれのメリットとデメリットを詳しく解説していきましょう。
それぞれの特徴を理解し、ご自身にとって最適な場所を見つける参考にしてください。
洗面所・脱衣所
洗面化粧台と兼ねる、あるいは隣接して設けるパターンは、最も一般的でイメージしやすいでしょう。
スキンケアからメイクまでの一連の流れをスムーズに行えるのが最大のメリットと言えます。
水が使えるため、化粧品の汚れやメイク道具の手入れがしやすいのも嬉しいポイントですね。
一方で、家族と使用時間が重なってしまう可能性がある点はデメリットかもしれません。
朝の忙しい時間帯に家族が洗面所を使っていると、落ち着いてメイクができないという状況も考えられます。
また、湿気がこもりやすい場所でもあるため、化粧品の保管には注意が必要になるでしょう。
スキンケアからメイクまでの一連の流れを重視する方にとっては、非常に合理的な選択肢と言えます。
寝室
寝室にメイクスペースを設けるメリットは、プライベートな空間で落ち着いて身支度ができる点です。
朝起きてから着替え、そしてメイクまでを寝室内で完結させることが可能になります。
家族の目を気にすることなく、自分だけの時間を過ごせるのは大きな魅力ではないでしょうか。
また、スキンケア用品やコスメをドレッサー周りにすっきりと収納しやすく、インテリアの一部としておしゃれな空間を演出しやすいのも特徴です。
デメリットとしては、メイクの際に手を洗いたい場合や、汚れたパフを洗いたい場合などに、わざわざ洗面所まで移動しなければならない点が挙げられます。
また、寝室の広さによっては、ベッドや他の家具との兼ね合いで十分なスペースを確保するのが難しい場合もあるかもしれません。
ウォークインクローゼット
ウォークインクローゼット(WIC)内にメイクスペースを設けるスタイルも人気が高まっています。
最大のメリットは、洋服選びからアクセサリー選び、そしてメイクまで、身支度のすべてを一つの空間で完結できることです。
朝の準備が非常に効率的になり、時短につながるでしょう。
また、独立した空間なので、リビングや寝室のインテリアテイストを気にせず、自分の好きなデザインにしやすいのも魅力です。
しかし、ウォークインクローゼットには窓がないケースも多く、その場合は照明計画が非常に重要になります。
自然光が入らない環境では、メイクの色味が分かりにくくなる可能性があるため、昼白色のライトを設置するなどの工夫が必要です。
十分な換気設備がないと、湿気やホコリが溜まりやすい点にも注意が必要でしょう。
リビング
家族が集まるリビングの一角にメイクスペースを設けるという選択肢もあります。
メリットは、家族の様子を見ながら、あるいはテレビを見ながらなど、「ながらメイク」ができる点です。
特に小さなお子様がいるご家庭では、子どもの様子を確認しながら自分の身支度ができるため、安心感があるのではないでしょうか。
また、家事の合間など、ちょっとした隙間時間にサッとメイク直しができるのも便利です。
デメリットとしては、来客時に化粧品などが見えてしまうため、常に整理整頓を心がける必要がある点が挙げられます。
また、リビングは家族の共有スペースであるため、化粧品の匂いが気になったり、プライベート感が確保しにくかったりする可能性も考慮しなければなりません。
設置場所 | メリット | デメリット |
---|---|---|
洗面所・脱衣所 | ・スキンケアからメイクまでがスムーズ ・水が使えて便利 ・掃除がしやすい |
・家族と使用時間が重なる ・湿気で化粧品が劣化しやすい ・落ち着かない可能性がある |
寝室 | ・プライベート空間で落ち着ける ・着替えからメイクまでが完結 ・インテリアとして楽しめる |
・手を洗うのに移動が必要 ・スペースの確保が難しい場合も ・寝るだけの部屋が狭くなる |
ウォークインクローゼット | ・身支度のすべてが完結し効率的 ・生活感が出にくい ・独立した空間としてデザイン可能 |
・自然光が入りにくい ・湿気やホコリが溜まりやすい ・換気計画が重要 |
リビング | ・家族の様子を見ながらメイクできる ・家事の合間に使いやすい ・開放感がある |
・来客時に見えてしまう ・プライベート感が少ない ・化粧品の匂いが広がりやすい |
家事動線を考えた使いやすい間取りとは
注文住宅のメイクスペースを成功させるためには、デザイン性だけでなく、日々の生活における「動線」を考慮した間取り計画が不可欠です。
動線とは、家の中を人が移動する経路のことで、これがスムーズであるほど、暮らしやすい家と言えます。
メイクスペースの計画においては、特に「家事動線」と「身支度動線」の2つを意識することが重要になります。
これらを考慮することで、単にメイクをするだけの場所ではなく、暮らし全体を豊かにする機能的なスペースとなるでしょう。
朝の身支度動線をシミュレーションする
まず、ご自身の朝の行動を具体的にシミュレーションしてみましょう。
例えば、「起床 → トイレ → 洗顔 → スキンケア → メイク → 着替え → 朝食 → 歯磨き」といった一連の流れを思い浮かべてください。
この流れの中にメイクスペースを組み込むことで、無駄な動きが少なくなり、忙しい朝の時間を有効に活用できます。
もし、スキンケア後すぐにメイクをするスタイルであれば、洗面所の近くにメイクスペースがあると便利です。
一方で、着替えてから全体のバランスを見てメイクをしたい方であれば、ウォークインクローゼット内に設けるのが合理的と言えるでしょう。
自分の行動パターンを正確に把握し、その動線上にメイクスペースを配置することが、使いやすさの第一歩です。
他の家事との連携を考える
メイクスペースの利用は、朝の身支度だけとは限りません。
日中のちょっとしたメイク直しや、夜のスキンケアなど、様々な場面で利用することが考えられます。
例えば、洗濯物を干したり畳んだりする家事動線の近くにメイクスペースがあれば、家事の合間にサッとスキンケアをするといった使い方が可能です。
また、玄関の近くに設ければ、帰宅後すぐにメイクを落としたいというニーズに応えることができますし、来客前に身だしなみを最終チェックするのにも便利でしょう。
このように、他の家事や生活シーンとの連携を考慮することで、メイクスペースの利用価値はさらに高まります。
間取り図を見ながら、ご自身が家の中をどのように動き回るかを具体的にイメージし、最適な配置を検討することが大切です。
家族構成やライフスタイルの変化も見越して、将来的な使いやすさも考えておくと、より後悔のない計画となるのではないでしょうか。
やってしまいがちな失敗と後悔しない対策
憧れの注文住宅のメイクスペースを設けたにもかかわらず、「実際に使ってみたら不便だった」という後悔の声は少なくありません。
せっかくのスペースを最大限に活かすためには、先輩たちの失敗談から学び、同じ轍を踏まないように対策を講じることが重要です。
ここでは、メイクスペースでよくある失敗例を挙げ、その後悔を未然に防ぐための具体的な対策について解説します。
計画段階でこれらのポイントを押さえておけば、理想的で使いやすい空間を実現できるでしょう。
細部にまで目を配ることが、満足度を高める鍵となります。
失敗例1:収納が足りず物があふれる
最も多い失敗の一つが、収納計画の甘さです。
化粧品は、基礎化粧品からメイクアップ用品、ヘアケア用品、美容家電まで、意外と数が多く、大きさも様々です。
当初の想定よりも物が増えてしまい、カウンターの上がごちゃごちゃになってしまった、というケースは後を絶ちません。
対策としては、まず自分が現在持っている化粧品の量をすべて把握し、さらに将来的に増えることを見越して、余裕を持った収納量を確保することが大切です。
引き出しの深さや数、棚の奥行きなどを、手持ちのアイテムに合わせて計画しましょう。
背の高いボトル類や、ドライヤーなどの美容家電をどこにしまうのか、具体的に決めておくことが失敗を防ぐコツです。
失敗例2:照明が暗くてメイクがしにくい
デザイン性を重視するあまり、照明計画がおろそかになり、いざメイクをしてみたら顔に影ができて色がよく見えない、というのもよくある失敗です。
特に、天井からのダウンライトだけだと、顔に影が落ちやすくなります。
対策としては、顔の正面から光を当てられるように、鏡の横や上にブラケットライト(壁付け照明)などを設置することをおすすめします。
このとき、太陽光に近い色味である「昼白色」のライトを選ぶと、メイクの仕上がりが自然になり、外出先での見え方とのギャップが少なくなります。
さらに、調光機能(明るさを調節できる機能)が付いていると、シーンに合わせて明るさを変えられて便利です。
失敗例3:コンセントの位置と数が不便
ドライヤーやヘアアイロン、スチーマー、スマートフォンの充電など、メイクスペース周りでは意外と多くの電源を必要とします。
コンセントの数が足りなかったり、位置が使いにくかったりすると、毎日の身支度がストレスになってしまいます。
対策としては、最低でも2口以上のコンセントを、カウンターのすぐ上など、使いやすい位置に設置することです。
ドライヤーなどの消費電力が大きいものと、他の機器を同時に使う可能性も考えて、専用回路にしておくと安心でしょう。
コードが絡まらないように、カウンター下にコードを隠せるような工夫をするのも良いアイデアです。
- 収納計画の甘さによる物の散乱
- 不適切な照明によるメイクのしにくさ
- コンセント不足や位置の不便さ
- カウンターの高さや奥行きが合わない
- 掃除のしにくい素材やデザインの選択
散らからない化粧品の収納アイデア
使いやすく、そして常におしゃれな状態をキープできる注文住宅のメイクスペースを実現するためには、収納計画が鍵を握ります。
化粧品は種類も形もバラバラで、数も増えがちなアイテムだからこそ、計画段階でしっかりとした収納アイデアを取り入れておくことが大切です。
ここでは、散らかりがちなメイクスペースをすっきりと保つための、効果的な収納アイデアをいくつかご紹介します。
「見せる収納」と「隠す収納」を上手に使い分け、自分にとって最適な収納スタイルを見つけましょう。
引き出し収納を使いこなす
カウンターの下に引き出しを設けるのは、収納の基本であり最も効果的な方法の一つです。
ポイントは、仕切り板やトレーを積極的に活用して、引き出しの中を細かく区切ることです。
アイシャドウパレット、リップスティック、ブラシ類など、アイテムの種類ごとに定位置を決めることで、どこに何があるか一目瞭然になります。
これにより、忙しい朝でも探す手間が省け、スムーズにメイクを始めることができます。
引き出しの深さも重要です。
化粧水ボトルやヘアスプレーなど、背の高いものを立てて収納したい場合は、深めの引き出しを一段設けておくと非常に便利です。
逆に、アイシャドウなどの細かいものは浅い引き出しの方が見渡しやすく、取り出しやすいでしょう。
ミラーキャビネットで「隠す収納」
鏡の裏側が収納スペースになっているミラーキャビネットは、特に洗面所などスペースが限られている場合に有効な収納方法です。
頻繁に使うスキンケア用品や整髪料などを収納しておけば、カウンターの上を常にすっきりと保つことができます。
扉を閉めれば生活感を隠せるため、急な来客時でも安心です。
選ぶ際には、収納するものの高さに合わせて棚板の高さを調整できるタイプがおすすめです。
また、奥行きが深すぎると奥のものが取り出しにくくなるため、収納したいアイテムを考慮して適切な奥行きの製品を選びましょう。
「見せる収納」でおしゃれに演出
デザイン性の高いコスメや、お気に入りの香水瓶などは、あえて「見せる収納」を取り入れることで、メイクスペースをおしゃれなインテリア空間へと格上げできます。
例えば、壁に小さなニッチ(飾り棚)を設けたり、ガラス製のシェルフを取り付けたりするのがおすすめです。
透明なアクリルケースやデザイン性の高いトレーを活用するのも良いでしょう。
ただし、「見せる収納」は、無計画に行うと雑然とした印象になりがちです。
飾るアイテムを厳選し、色やテイストを揃えるなど、統一感を出すことがおしゃれに見せるコツです。
ホコリが溜まりやすいというデメリットもあるため、こまめな掃除が必要になることも覚えておきましょう。
メイクのしやすさを決める照明とコンセント
どれだけ素敵なデザインの注文住宅のメイクスペースを作っても、照明とコンセントの計画が不十分では、その使いやすさは半減してしまいます。
特に照明は、メイクの仕上がりを大きく左右する非常に重要な要素です。
また、現代の身支度に欠かせない美容家電を快適に使うためには、適切な位置と数のコンセントが必須となります。
ここでは、後悔しないために押さえておきたい照明とコンセント計画の基本について、具体的なポイントを交えて解説します。
この2つの要素にこだわることで、あなたのメイクスペースは格段に機能的で快適な場所になるでしょう。
照明計画の三原則:「場所」「色」「明るさ」
メイクスペースの照明を計画する際には、3つの重要な原則があります。
第一に「場所」です。
天井のシーリングライトやダウンライトだけでは、頭上からの光で顔に影ができてしまいます。
これを防ぐためには、鏡の両脇や上部など、顔の正面から光が当たる位置に照明を設置することが鉄則です。これにより、ムラなく顔全体を照らし、正確なメイクが可能になります。
第二に「色」です。
照明の色温度には「電球色」「温白色」「昼白色」などがありますが、メイクには太陽光に近い自然な光である「昼白色」が最も適しています。
電球色のようなオレンジがかった光の下でメイクをすると、実際よりも薄化粧に見えてしまい、屋外に出たときに厚化粧に見えてしまうことがあるため注意が必要です。
第三に「明るさ」です。
十分な光量を確保することはもちろんですが、調光機能(明るさを調整できる機能)を取り入れることを強くおすすめします。
普段のメイクは明るい光で、夜のスキンケアの時間は少し明るさを落としてリラックスするなど、シーンに合わせて光の環境をコントロールできると、スペースの快適性が格段に向上します。
コンセント計画のポイント:「数」と「位置」
コンセント計画で考えるべきは「数」と「位置」です。
まず「数」ですが、ドライヤーやヘアアイロンを使いながら、スマートフォンの充電もしたい、という状況は頻繁に起こり得ます。
そのため、最低でも2口、できれば3〜4口のコンセントがあると安心です。
将来的に美容家電が増える可能性も考慮して、少し多めに計画しておくと良いでしょう。
次に「位置」です。
コンセントは、カウンターの上に設置するのが一般的で使いやすいでしょう。
ヘアアイロンなど、コードが短い製品を使う場合でも、無理なく接続できます。
また、カウンター下に設けて、充電器などを常時挿しておき、カウンターの上はすっきりと見せるという方法もあります。
この場合、コードを通すための穴をカウンターに開けておくと、配線が邪魔にならずスマートです。
ドライヤーなどの消費電力が大きい家電を使うことを想定し、他の部屋の電気と干渉しないよう、専用回路を設けておくと、ブレーカーが落ちる心配がなく、より快適に使えます。
おしゃれで快適な注文住宅のメイクスペース実例
- ➤かかる費用とコストを抑えるポイント
- ➤参考にしたいおしゃれなデザイン事例5選
- ➤造作と既製品どちらを選ぶべきか
- ➤理想を叶えるためのインテリアのコツ
- ➤まとめ:世界に一つの注文住宅のメイクスペースを
かかる費用とコストを抑えるポイント
注文住宅にメイクスペースを設ける際、多くの方が気になるのが「費用」ではないでしょうか。
どのくらいの予算を見ておけば良いのか、また、できるだけコストを抑えつつ理想の空間を実現するにはどうすれば良いのか、知っておきたいポイントはたくさんあります。
メイクスペースにかかる費用は、その仕様や規模によって大きく変動しますが、主な内訳は「カウンターや棚などの家具費用」と「照明やコンセントなどの電気工事費用」です。
ここでは、費用の目安と、コストを賢く抑えるための具体的な方法について解説します。
メイクスペースの費用相場
メイクスペースの費用は、選択する仕様によって大きく異なります。
例えば、ハウスメーカーや工務店にカウンターや収納をオリジナルで製作してもらう「造作」の場合、使用する木材の種類やデザインの複雑さにもよりますが、一般的に10万円~30万円程度が目安となることが多いです。
一方で、家具店などで販売されている既製品のドレッサーを設置する場合は、数万円から購入可能なものもあります。
これに加えて、照明器具の購入費や設置費、コンセントの増設費などの電気工事費用が別途2万円~5万円程度かかることを見込んでおくと良いでしょう。
したがって、全体としては、シンプルなものであれば10万円前後から、造作でこだわりの空間を作る場合は30万円以上になることもあります。
コストを抑えるための工夫
理想を追求しつつも、予算には限りがあるのが現実です。
コストを抑えるためのポイントをいくつかご紹介します。
- IKEAや無印良品などを活用する: カウンターや棚、引き出しユニットなどを、IKEAや無印良品といった比較的安価でデザイン性の高いブランドの製品で組み合わせる方法です。大工工事で壁にカウンターを固定してもらうだけで、造作家具のような雰囲気を演出しつつ、コストを大幅に削減できます。
- シンプルな形状にする: 造作家具を依頼する場合でも、デザインをできるだけシンプルにすることで費用を抑えられます。複雑な曲線や装飾を避け、直線的なデザインにするだけで、加工の手間が省け、価格が安くなる傾向があります。
- 施主支給を検討する: 鏡や照明器具、椅子など、工務店を通さずに自分で購入して支給する「施主支給」も有効な手段です。インターネットやインテリアショップで好みのものを安く見つけることができれば、コストダウンにつながります。ただし、取り付け費用が別途必要になるか、保証の対象外になることもあるため、事前に工務店との確認が必要です。
これらの方法を組み合わせることで、予算内で満足度の高いメイクスペースを実現することが可能になります。
どこにお金をかけ、どこでコストを削減するか、優先順位を明確にして計画を進めることが大切です。
参考にしたいおしゃれなデザイン事例5選
注文住宅のメイクスペースを計画する上で、具体的なデザインのイメージを膨らませることは非常に重要です。
おしゃれな事例を参考にすることで、自分の好みや目指したい空間の方向性が明確になります。
ここでは、テイストの異なる5つのおしゃれなデザイン事例をご紹介します。
カウンターの素材や壁紙、照明、椅子の選び方など、それぞれの事例からインテリアのヒントを見つけて、あなたの理想のメイクスペース作りに役立ててください。
事例1:ホテルライクなモダンテイスト
高級ホテルのパウダールームを思わせる、洗練されたモダンスタイルのメイクスペースです。
光沢のある白いカウンターに、大きな一枚鏡を組み合わせるのが定番のデザインです。
壁にはグレーやベージュ系のアクセントクロスや、質感のあるタイルなどを用いると、空間に深みと高級感が生まれます。
照明は、鏡の両脇にスタイリッシュなデザインのブラケットライトを配置し、女優ミラーのような雰囲気を演出します。
椅子は、スリムな金属フレームのレザー調スツールなどが好相性です。
生活感を徹底的に排除し、非日常的で特別な空間を目指したい方におすすめのスタイルです。
事例2:温かみのある北欧ナチュラルテイスト
木の温もりを活かした、明るく居心地の良い北欧ナチュラルスタイルのメイクスペースです。
カウンターにはオークやアッシュなどの無垢材や、木目調の化粧板を使用します。
壁は白を基調とし、アクセントとしてペールトーンのブルーやグリーンの壁紙を取り入れるとおしゃれです。
鏡は、フレームに木を使ったものや、円形など柔らかなフォルムのものを選ぶと、空間に優しさが加わります。
椅子も、カウンターと素材を合わせた木製のスツールや、ファブリック座面のものが馴染みます。
自然光をたっぷりと取り入れ、観葉植物などを飾ると、よりナチュラルでリラックスできる雰囲気になるでしょう。
事例3:シンプルで機能的なミニマルテイスト
無駄な装飾を一切省き、機能性を追求したミニマルなスタイルのメイクスペースです。
カウンターは壁と一体化するような白やグレーのシンプルな板で構成し、収納はすべて扉付きのキャビネットや引き出しに収め、外から物が見えないようにします。
「隠す収納」を徹底することで、常にすっきりと片付いた空間を保つことができます。
鏡はフレームレスのものを選び、照明も天井に埋め込むダウンライトのみにするなど、存在感を消す工夫をします。
究極のシンプルさの中に、素材の質感や緻密に計算されたディテールが光る、上級者向けのスタイルと言えるでしょう。
事例4:エレガントなフレンチシックテイスト
曲線的なデザインや装飾的な要素を取り入れた、上品で可愛らしいフレンチシックなメイクスペースです。
猫脚のドレッサーや、モールディング(壁の装飾)を施した壁が特徴です。
色は、白やアイボリー、グレイッシュなピンクなどを基調とし、優雅な雰囲気を演出します。
鏡は、アンティーク調の装飾が施されたオーバル形のものなどがぴったりです。
照明には、小さなシャンデリアやガラスシェードのペンダントライトを選ぶと、空間が一気に華やかになります。
椅子は、ベルベット素材の布張りスツールなど、少しクラシカルでエレガントなものを選ぶと、世界観が統一されます。
事例5:インダストリアルなカフェ風テイスト
古材やアイアン、モルタルなどを組み合わせた、無骨でかっこいいカフェ風のメイクスペースです。
カウンターには、足場板などの古材を使用したり、モルタルで仕上げたりすると雰囲気が出ます。
壁は、コンクリート打ちっぱなしや、サブウェイタイル、レンガ調の壁紙などがマッチします。
鏡のフレームや棚のブラケットには、黒いアイアンを取り入れるのがポイントです。
照明は、裸電球のようなペンダントライトや、工業製品のようなデザインのスポットライトなどが似合います。
個性的で、自分だけの隠れ家のような空間を作りたい方に人気のスタイルです。
造作と既製品どちらを選ぶべきか
注文住宅でメイクスペースを設ける際、カウンターや収納をどのように準備するかは大きな選択肢の一つです。
選択肢は大きく分けて、大工さんや家具職人さんに家の寸法に合わせてオリジナルで製作してもらう「造作家具」と、家具店やインテリアショップで販売されている「既製品」の2つがあります。
それぞれにメリットとデメリットがあり、どちらが良いとは一概には言えません。
ご自身の予算や、デザインへのこだわり、設置したい場所の条件などを総合的に考慮して、最適な方法を選ぶことが大切です。
ここでは、造作と既製品の特徴を比較し、どちらがあなたにとって適しているかを判断するための材料を提供します。
両者の違いを正しく理解することが、後悔のない選択につながります。
項目 | 造作家具 | 既製品 |
---|---|---|
デザインの自由度 | ◎ 非常に高い。 サイズ、素材、色、形をミリ単位で指定でき、空間に完璧にフィットさせられる。 |
△ 限られる。 既存のデザインやサイズの中から選ぶ必要がある。 |
コスト | △ 高くなる傾向がある。 材料費に加えて、設計費や職人さんの人件費がかかるため。 |
◎ 比較的安価。 大量生産により、高品質なものでも手頃な価格で見つけやすい。 |
統一感 | ◎ 出しやすい。 床材や建具など、家の他の部分と同じ素材や色で製作できるため、空間全体に統一感が生まれる。 |
△ 合わせにくい場合も。 家の内装と完全に一致するデザインを見つけるのは難しいことがある。 |
納期・手間 | △ 時間がかかる。 設計の打ち合わせから製作、設置まで、ある程度の期間が必要。 |
◎ 早くて手軽。 在庫があればすぐに手に入る。選んで購入するだけなので手間が少ない。 |
耐震性 | ◎ 高い。 壁や床に直接固定するため、地震の際に倒れてくる心配がない。 |
△ 対策が必要。 置き家具になるため、別途、壁に固定するなどの地震対策が必要。 |
こんな人には「造作」がおすすめ
・設置したい場所にぴったり収まる家具が欲しい方
・壁から壁まで、隙間なくカウンターを設置したい方
・インテリアに強いこだわりがあり、素材やデザインを細かく選びたい方
・家の内装と完全に調和した、統一感のある空間を作りたい方
・耐震性を重視し、安全な空間を確保したい方
こんな人には「既製品」がおすすめ
・できるだけコストを抑えてメイクスペースを作りたい方
・将来的に模様替えや引っ越しの可能性があり、家具を移動させたい方
・デザインに強いこだわりはなく、標準的な機能があれば満足な方
・打ち合わせなどの手間をかけず、手軽にドレッサーを設置したい方
最近では、IKEAなどの既製のキャビネットに、造作の天板を組み合わせる「ハーフ造作」という方法も人気です。
両方の良いところ取りができる選択肢として、検討してみるのも良いでしょう。
理想を叶えるためのインテリアのコツ
注文住宅のメイクスペースを、単なる身支度の場所から、心ときめくお気に入りの空間へと昇華させるためには、機能性だけでなく、インテリアへのこだわりが欠かせません。
壁紙や床材といったベースの部分から、主役となる鏡や椅子、そして空間を彩る小物に至るまで、トータルでコーディネートすることで、理想の雰囲気を創り出すことができます。
ここでは、あなたのメイクスペースをワンランクアップさせるための、インテリアのコツをいくつかご紹介します。
少しの工夫で、空間の印象は大きく変わるものです。
主役になる鏡(ミラー)を選ぶ
鏡はメイクスペースの機能的な中心であると同時に、インテリアの印象を決定づける重要なアイテムです。
選び方一つで、空間の雰囲気がガラリと変わります。
例えば、フレームのないシンプルな四角い鏡は、モダンでミニマルな空間にマッチします。
一方で、ゴールドやシルバーの装飾的なフレームが付いた鏡を選べば、クラシカルでエレガントな雰囲気を演出できるでしょう。
また、ウッドフレームの鏡ならナチュラルで温かみのある印象に、アイアンフレームならインダストリアルでクールな印象になります。
作りたい空間のテイストを決め、それに合わせて鏡のデザインを選ぶことが、インテリア成功の第一歩です。
座り心地とデザインを両立する椅子(スツール)
椅子は、メイクスペースで過ごす時間の快適さを左右する大切な要素です。
毎日座るものだからこそ、座り心地にはこだわりたいところです。
しかし、デザイン性も決して無視できません。
カウンターの下にすっきりと収まる背もたれのないスツールタイプは、スペースを有効活用でき、空間を広く見せる効果があります。
素材も、ファブリック、レザー、ベルベット、木製、アクリルなど様々です。
空間のアクセントカラーとして、あえて鮮やかな色の椅子を選んだり、異素材の椅子を置いてミックススタイルを楽しんだりするのもおしゃれです。
長時間座ってメイクやスキンケアをすることが多い方は、背もたれ付きのコンパクトなチェアを選ぶと、体が疲れにくいでしょう。
壁紙(クロス)で空間を演出する
メイクスペースの背面や側面の壁に、アクセントクロスを取り入れるのは、手軽に空間の雰囲気を変えられるおすすめのテクニックです。
部屋全体の壁紙は白やベージュなどのベーシックな色にしておき、メイクスペースの周りだけ、お気に入りの色や柄の壁紙を貼ることで、その一角が特別な空間として際立ちます。
例えば、ダマスク柄や花柄を選べばエレガントな印象に、ストライプ柄ならモダンでスタイリッシュな印象になります。
また、タイル調やコンクリート調、木目調など、素材感を表現した壁紙も人気があります。
小さな面積であれば、少し大胆なデザインに挑戦しやすいのもアクセントクロスの魅力です。
自分の好きな世界観を、壁紙で表現してみてはいかがでしょうか。
まとめ:世界に一つの注文住宅のメイクスペースを
これまで、注文住宅のメイクスペースを計画する上での様々なポイントについて詳しく解説してきました。
理想のメイクスペースを実現するためには、まずどこに設置するかという「場所」の選定が非常に重要です。
洗面所、寝室、ウォークインクローゼット、リビングなど、それぞれの場所が持つメリット・デメリットを正しく理解し、ご自身のライフスタイルや家事動線に合った最適な場所を見つけることが、後悔しないための第一歩となります。
そして、具体的な計画を進める上では、収納、照明、コンセントといった機能的な側面をおろそかにしてはいけません。
手持ちの化粧品の量を把握し、余裕を持った収納計画を立てること、顔に影ができにくい適切な照明を設けること、そして美容家電を快適に使える数のコンセントを確保することが、日々の使いやすさに直結します。
また、おしゃれで心ときめく空間にするためには、インテリアへのこだわりも不可欠です。
造作家具と既製品のどちらを選ぶか、費用とのバランスをどう取るか、そして鏡や椅子、壁紙といった要素をどのようにコーディネートするか。
これらの選択の一つひとつが、あなただけの特別な空間を創り上げていきます。
この記事でご紹介した数々のアイデアや注意点、そしておしゃれな事例を参考にしながら、機能性とデザイン性を両立させた、世界に一つだけの注文住宅のメイクスペースを実現してください。
計画の段階から楽しむことが、満足度の高い家づくりにつながるはずです。
- ➤注文住宅のメイクスペースは場所選びが成功の鍵を握る
- ➤洗面所は動線が良いが家族との利用時間が競合しやすい
- ➤寝室はプライベート感が高いが水回りが遠いのが難点
- ➤WIC内は身支度が完結するが照明と換気の工夫が必須
- ➤リビングはながらメイクに便利だが来客時の配慮が必要
- ➤自分の生活動線をシミュレーションして間取りを考える
- ➤収納不足は最も多い失敗例で余裕を持った計画が重要
- ➤照明は顔正面から当てる昼白色のライトが基本
- ➤コンセントは最低2口以上を使いやすい位置に設置する
- ➤費用は造作か既製品かで大きく変わり10万円から30万円以上が目安
- ➤コストを抑えるにはIKEA等の活用やシンプルなデザインが有効
- ➤おしゃれな空間にはホテルライクや北欧風などのテーマ設定がおすすめ
- ➤造作家具は統一感とフィット感が魅力だがコストは高め
- ➤既製品は手軽で安価だがデザインの自由度は低い
- ➤鏡や椅子などのインテリア要素が空間の印象を大きく左右する
- ➤注文住宅のメイクスペース作りは機能とデザインの両立が大切