
「新築のアパートはやめとけ」という言葉を耳にして、これからのお部屋探しに不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
新しい生活を始めるにあたり、誰もが快適で満足のいく住まいを選びたいと考えるのは当然のことです。
しかし、新築という響きの良さだけで物件を決めてしまうと、後から「こんなはずではなかった」と後悔するケースも少なくありません。
この記事では、なぜ新築のアパートはやめとけと言われるのか、その具体的な理由やデメリットを深掘りしていきます。
家賃の問題から、内見ができないことによるリスク、さらにはシックハウス症候群といった健康面での注意点まで、多角的に解説します。
また、隣人トラブルや防音性能の問題、虫の発生といった、入居してみないとわからないような賃貸物件ならではの悩みについても触れていきます。
ただ不安を煽るだけでなく、新築物件のメリットもきちんとお伝えし、デメリットを回避するための具体的な対策や、賢い物件の選び方までを網羅的にご紹介するのが本記事の目的です。
入居してから後悔しないために、どのような費用がかかり、どんな点に注意すべきか、物件選びのプロの視点から詳しくお伝えします。
新築アパートを検討している方はもちろん、これから賃貸物件を探し始めるすべての方にとって、有益な情報が満載です。
最後までお読みいただくことで、あなたにとって最適な住まいを見つけるための確かな知識が身につくでしょう。
- ➤新築のアパートが「やめとけ」と言われる具体的な理由
- ➤家賃相場や初期費用が割高になる経済的デメリット
- ➤完成前に契約する「内見なし物件」の隠れたリスク
- ➤シックハウス症候群など新築特有の健康への影響
- ➤入居後に発覚しやすい隣人や騒音のトラブル
- ➤新築物件のデメリットを回避するための賢い対策
- ➤後悔しないために本当に選ぶべき物件の条件
新築のアパートはやめとけと言われる理由
- ➤家賃が高い割にメリットが少ない
- ➤建築中で内見できないリスクがある
- ➤シックハウス症候群の健康被害
- ➤意外と多い隣人トラブルの実態
- ➤価値が下がるのに家賃が下がりにくい
家賃が高い割にメリットが少ない
新築のアパートが敬遠される最も大きな理由の一つに、家賃の高さが挙げられます。
新しい物件には、いわゆる「新築プレミアム」と呼ばれる付加価値が上乗せされており、周辺の同条件の築浅物件と比較して、家賃が1割から2割程度高く設定されていることが一般的です。
この新築プレミアムは、誰も足を踏み入れたことのない真新しい空間で生活を始められるという満足感に対する対価と言えるかもしれません。
しかし、冷静に考えると、その差額分の価値が本当にあるのかは疑問が残るところです。
例えば、家賃10万円の物件であれば、1割高ければ11万円、2割なら12万円になります。
月々1万円から2万円の差額は、年間で12万円から24万円という大きな金額になります。
この費用を、最新の設備やきれいな内装のためだけに支払うことが、果たして合理的と言えるでしょうか。
もちろん、最新の設備には魅力的なものが多いです。
オートロックや宅配ボックス、浴室乾燥機といった設備は、今や当たり前のものになりつつあります。
しかし、これらの設備は築年数が5年程度の「築浅物件」でも十分に備わっていることがほとんどです。
築1年の物件と築5年の物件で、生活の利便性にそこまで大きな差が生まれることは稀でしょう。
むしろ、新築物件はまだ管理体制が確立されていなかったり、共用部分の使い方のルールが徹底されていなかったりするケースもあります。
一方で、築浅物件であれば、すでにある程度の期間、住民が生活しているため、管理状態や住人層の雰囲気を事前に把握しやすいというメリットさえあります。
家賃の高さは、初期費用にも影響を及ぼします。
敷金や礼金、仲介手数料などは家賃を基準に算出されるため、元となる家賃が高ければ、当然これらの費用も高額になります。
新生活には何かと物入りですから、初期費用は少しでも抑えたいと考えるのが自然です。
このように、新築アパートの家賃の高さは、月々の支払いだけでなく、入居時の負担増にも直結します。
その金額に見合うだけの特別なメリットを享受できるのか、冷静に比較検討する必要があると言えるでしょう。
建築中で内見できないリスクがある
新築アパートの多くは、建物が完成する前に募集が開始されます。
これは「青田売り」と呼ばれ、入居希望者は、まだ実物が存在しない段階で、間取り図や完成予想図だけを頼りに契約を結ぶことになります。
この「内見ができない」という点が、新築のアパートはやめとけと言われる大きな理由の一つです。
間取り図からは、部屋の広さや形、設備の配置といった基本的な情報は読み取れます。
しかし、実際にその空間で生活する上で重要となる要素の多くは、図面だけでは決してわかりません。
例えば、日当たりの良さはその代表例です。
「南向きバルコニー」と書かれていても、目の前に高い建物があれば、期待していたほどの採光は得られないかもしれません。
窓からの眺望も同様で、実際に自分の目で見てみないと、開放感があるのか、隣の建物の壁しか見えないのかは判断できません。
また、コンセントの位置や数、収納スペースの実際の奥行きや使い勝手といった細かな点も、内見でなければ確認が難しい部分です。
「ここに棚を置こう」と考えていても、コンセントが邪魔で置けなかったり、クローゼットの扉の開き方が想定と違って使いにくかったりすることもあり得ます。
さらに、図面では伝わらないのが「空気感」や「生活動線」です。
天井の高さや梁の有無による圧迫感、玄関からキッチン、リビングへと続く動線のスムーズさなどは、実際にその場に立って初めて体感できるものです。
内見ができないということは、これらの確認をすべて省略し、いわば賭けで契約するようなものなのです。
もし、入居当日に初めて部屋を見て、「イメージと全く違う」と感じたとしても、すでに契約は成立しています。
そこから契約をキャンセルすることは非常に困難であり、多額の違約金が発生する可能性もあります。
たとえ不満があったとしても、その部屋で生活を始めなければなりません。
このようなリスクを冒してまで、誰も住んだことのない部屋にこだわる必要があるのか、慎重に考えるべきです。
特に、周辺環境の騒音や匂いといった要素は、曜日や時間帯を変えて複数回現地を訪れてみないとわからないことも多いです。
内見が可能な物件であれば、そうした周辺環境のチェックも念入りに行えますが、建築中の物件ではそれも叶いません。
新築物件の契約は、多くの不確定要素を抱えたまま、重要な決断を迫られる行為であることを理解しておく必要があります。
シックハウス症候群の健康被害
新築の住まいで起こりうる健康問題として、「シックハウス症候群」が知られています。
これは、建材や家具、接着剤などから放散されるホルムアルデヒドやトルエンといった揮発性有機化合物(VOC)が原因で引き起こされる、さまざまな健康上の不調の総称です。
新築のアパートは、まさにこれらの化学物質が最も多く室内に放散される環境にあります。
症状は人によってさまざまですが、主に以下のようなものが挙げられます。
- 目がチカチカする、涙が出る
- 鼻水、鼻づまり、くしゃみ
- 喉の乾燥、痛み、咳
- 頭痛、めまい、吐き気
- 皮膚のかゆみ、湿疹
これらの症状は、風邪やアレルギーと間違われやすく、原因が住まいにあるとは気づきにくいのが特徴です。
しかし、家にいる時間が長くなると症状が悪化し、外出すると楽になる、といった傾向が見られる場合は、シックハウス症候群の可能性が疑われます。
現在の建築基準法では、シックハウス症候群対策として、ホルムアルデヒドを発散する建材の使用制限や、24時間換気システムの設置が義務付けられています。
このため、一昔前の物件に比べれば、リスクは大幅に低減されていると言えます。
しかし、法律で規制されている化学物質はごく一部であり、規制対象外の化学物質が原因で不調をきたす可能性は依然として残っています。
また、24時間換気システムが設置されていても、それを正しく使用していなければ効果はありません。
電気代を気にして換気扇を止めてしまったり、給気口を閉じてしまったりすると、室内の化学物質濃度は高まってしまいます。
特に、化学物質に過敏な方や、小さなお子様、アレルギー体質の方がいるご家庭では、新築物件は慎重に検討すべき選択肢と言えるでしょう。
入居前に、使用されている建材について不動産会社に確認したり、完成後に室内空気測定を依頼したりすることも可能ですが、そこまで手間と費用をかけるのであれば、初めから築年数が少し経過した物件を選ぶ方が賢明かもしれません。
建物が完成してから数ヶ月から1年ほど経過すると、建材から放散される化学物質の量は大幅に減少します。
健康という何にも代えがたいものを守るためにも、新築特有の健康リスクについては、十分に理解しておく必要があります。
「新しいからきれい」というイメージの裏に、こうした危険性が潜んでいることを忘れてはなりません。
意外と多い隣人トラブルの実態
新築アパートを選ぶ際、「入居者が一斉にスタートするから、どんな人が住んでいるかわからない中古物件より安心」と考える方がいるかもしれません。
しかし、実際にはこれが裏目に出ることがあります。
新築のアパートはやめとけと言われる背景には、この「隣人ガチャ」とも言える不確実性の高さが存在します。
中古物件や築浅物件であれば、すでに入居者がいるため、不動産会社の担当者に住民層について尋ねたり、共用部分の使われ方(ゴミ置き場や駐輪場など)を見たりすることで、ある程度アパート全体の雰囲気を推測することができます。
しかし、新築物件は全員が新規の入居者です。
そのため、隣にどのような生活サイクルの人が越してくるのか、まったく予測ができません。
自分が日中活動するタイプでも、隣人が夜勤で昼夜逆転の生活を送っているかもしれません。
そうなると、昼間の掃除機の音やテレビの音が、相手の睡眠を妨害してしまい、思わぬトラブルに発展する可能性があります。
逆もまた然りで、夜中のドアの開閉音や足音が気になって眠れない、ということも起こり得ます。
特に、アパートの場合はマンションに比べて構造的に音が響きやすい傾向にあります。
木造や軽量鉄骨造のアパートでは、最新の防音技術が採用されていたとしても、重量鉄骨造やRC(鉄筋コンクリート)造のマンションほどの遮音性は期待できません。
隣人の話し声やテレビの音、さらには上の階の足音や物を落とす音などが、想像以上に響いてくることがあります。
これが一度気になり始めると、精神的なストレスは計り知れません。
また、生活音だけでなく、ゴミ出しのルールを守らない、共用廊下に私物を置くといったマナー違反も、トラブルの火種となります。
新築物件では、まだコミュニティが形成されておらず、管理組合のルールも浸透していないため、こうした問題が起きやすい側面があります。
誰かが注意するわけでもなく、無法地帯のようになってしまうケースも考えられます。
一度こじれてしまった隣人関係を修復するのは非常に困難です。
毎日顔を合わせる相手と気まずい関係になるのは、大きな精神的苦痛を伴います。
「隣に誰が住んでいるかわからない」というリスクは、新築物件が抱える大きなデメリットの一つなのです。
この点において、すでにある程度のコミュニティが形成され、住人の様子がわかる既存物件の方が、安心して生活を始められると言えるかもしれません。
価値が下がるのに家賃が下がりにくい
不動産の世界では、「新築」というブランド価値は、入居したその瞬間に失われると言われています。
あなたが鍵を受け取り、玄関のドアを開けた瞬間から、そのアパートは「新築」ではなく「中古(築浅)」物件になるのです。
これは、新車がディーラーから公道に出た瞬間に中古車となり、価値が下がるのと同じ理屈です。
物件の資産価値は、築年数の経過とともに確実に下落していきます。
しかし、ここで問題となるのが、あなたが支払う「家賃」です。
一般的に、一度契約した賃貸物件の家賃は、契約期間中に見直されることはほとんどありません。
つまり、物件の価値は時間とともに下がっていくにもかかわらず、あなたは「新築プレミアム」が上乗せされた高い家賃を、契約更新のたびに支払い続けることになるのです。
例えば、あなたが退去した後、同じ部屋が次の入居者のために募集される際には、おそらくあなたが入居した時よりも安い家賃が設定されるでしょう。
大家さんや管理会社も、築年数が経過した物件を新築時と同じ家賃で貸し出せるとは考えていないからです。
それにもかかわらず、住み続けている既存の入居者に対して、わざわざ家賃を値下げする提案をしてくれる大家さんは稀です。
もちろん、契約更新のタイミングで家賃交渉を行うことは可能です。
周辺の類似物件の家賃相場を調べ、「現在の家賃は相場より高い」という根拠を示せば、交渉に応じてもらえる可能性はあります。
しかし、これはあくまで交渉事であり、必ずしも成功するとは限りません。
特に人気のあるエリアや物件では、大家さん側も「あなたが退去しても、すぐに次の借り手が見つかる」という強気な姿勢でいることが多く、交渉は難航しがちです。
結果として、多くの人は「引っ越すのも面倒だし、手間をかけて交渉するくらいなら…」と、割高な家賃を払い続けることになってしまいます。
これは、経済的な観点から見ると、非常に「損」な状態と言えます。
最初から築年数が2〜3年経過した築浅物件を選んでいれば、新築プレミアムが剥落した適正な家賃で入居でき、このような家賃の「高止まり」に悩まされることもありません。
新築アパートを選ぶということは、最も価値が下落するタイミングで、最も高い家賃を負担するという選択であることを理解しておく必要があります。
長期的な視点でコストパフォーマンスを考えた場合、決して賢い選択とは言えないかもしれません。
新築のアパートはやめとけと後悔しないための対策
- ➤後悔しないための物件選びのコツ
- ➤損をしないための家賃交渉術
- ➤入居前にチェックすべきカビ対策
- ➤虫の発生源と効果的な駆除方法
- ➤新築のアパートはやめとけという意見も参考に賢く選ぼう
後悔しないための物件選びのコツ
これまで新築アパートのデメリットについて詳しく見てきましたが、それらのリスクを理解した上で、それでも新築やそれに近いきれいな物件に住みたいと考える方も多いでしょう。
そこで重要になるのが、後悔しないための賢い物件選びのコツを知ることです。
新築のアパートはやめとけという意見を鵜呑みにするのではなく、その背景にあるリスクを回避する方法を考えましょう。
築5年以内の「築浅物件」を狙う
最もおすすめしたいのが、新築にこだわらず、築5年以内の「築浅物件」を視野に入れることです。
築浅物件は、新築プレミアムが剥がれ落ち、家賃が適正価格に落ち着いている場合が多いです。
それでいて、内外装のきれいさや設備のグレードは新築とほとんど遜色ありません。
むしろ、すでに入居者がいるため、管理状態や住人層の雰囲気を事前に確認できるというメリットがあります。
内見が可能なため、日当たりや眺望、周辺環境などを自分の目で確かめられるのも大きな利点です。
建物の構造を必ずチェックする
アパートの住み心地を大きく左右するのが、建物の構造です。
特に隣人トラブルの多くは騒音が原因であるため、遮音性の高い構造の物件を選ぶことが重要になります。
一般的に、遮音性は以下の順で高くなります。
木造 < 軽量鉄骨造 < 重量鉄骨造 < RC(鉄筋コンクリート)造
木造アパートは家賃が安い傾向にありますが、音が響きやすいというデメリットがあります。
音に敏感な方は、少なくとも重量鉄骨造、できればRC造の物件を選ぶと安心です。
不動産情報サイトの物件概要欄には必ず構造が記載されているので、忘れずにチェックしましょう。
内見時のチェックポイント
内見は、後悔しない物件選びの最大のチャンスです。
以下のポイントを重点的に確認しましょう。
- 壁の厚さを確認する:壁を軽く叩いてみて、コンコンと軽い音がする場合は壁が薄い可能性があります。
- 窓の性能をチェックする:二重サッシや複層ガラスが採用されているか確認します。防音だけでなく、断熱性にも大きく影響します。
- 換気設備を確認する:24時間換気システムの給気口や排気口の位置、浴室乾燥機の有無などをチェックし、湿気がこもりにくい構造か見極めます。
- 共用部分の清潔さ:ゴミ置き場や廊下、階段などがきれいに管理されているかは、管理会社の質と住人のマナーを測るバロメーターになります。
これらのコツを押さえることで、新築物件が抱える多くのデメリットを回避し、満足度の高い住まいを見つけることが可能になります。
新築という言葉だけに惑わされず、総合的な視点で物件を評価することが、後悔しないための鍵と言えるでしょう。
損をしないための家賃交渉術
「新築物件は家賃交渉ができない」と思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。
交渉の余地はゼロではないため、損をしないためにも、ダメ元で試してみる価値はあります。
また、交渉の対象は家賃本体だけでなく、初期費用の一部であることもポイントです。
交渉しやすい項目を知る
家賃そのものの値下げは、大家さんの収入に直結するため、最もハードルが高い交渉と言えます。
特に、同じ建物内に複数の部屋があるアパートの場合、一部屋だけ家賃を下げると他の入居者との公平性が保てなくなるため、敬遠される傾向にあります。
そこで狙い目となるのが、家賃以外の費用です。
- 礼金:大家さんへのお礼として支払う費用で、法的な根拠が薄いため交渉しやすい項目です。「礼金なし」にできれば、初期費用を大幅に抑えられます。
- フリーレント:入居後、一定期間(0.5〜1ヶ月分が相場)の家賃が無料になるサービスです。大家さんにとっては、家賃を下げずに空室期間を埋められるメリットがあるため、交渉に応じてもらいやすいです。
- 仲介手数料:不動産会社に支払う手数料です。法律で上限は「家賃の1ヶ月分+消費税」と定められていますが、下限はありません。不動産会社によっては交渉の余地があります。
これらの項目を交渉することで、実質的に初期費用を大きく節約することが可能です。
交渉のタイミングと伝え方
家賃交渉に最適なタイミングは、「入居の申し込みをする直前」です。
内見を終え、入居の意思が固まった段階で、「この条件であれば、すぐに契約したいのですが…」という形で切り出すのが効果的です。
不動産会社や大家さんにとっても、契約寸前の顧客を逃したくないという心理が働くため、交渉が有利に進みやすくなります。
また、交渉を有利に進めるためには、時期も重要です。
不動産業界の繁忙期である1月〜3月は、黙っていても入居希望者が現れるため、交渉は難しくなります。
逆に、閑散期である6月〜8月は、空室を早く埋めたいという貸主側の事情があるため、交渉の成功率が高まります。
伝え方としては、高圧的な態度ではなく、あくまで「お願い」という形で、低姿勢に相談するのが基本です。
「もし可能であれば、礼金を少しご相談させていただけないでしょうか」といった丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
また、自分の属性(安定した職業に就いている、長く住む意思があるなど)をアピールし、「優良な入居者である」ことを伝えるのも有効な手段です。
新築物件だからと諦めずに、これらの交渉術を試すことで、お得に新生活をスタートできる可能性が広がります。
入居前にチェックすべきカビ対策
「新築アパートはきれいだから、カビの心配はない」と考えているとしたら、それは大きな間違いです。
実は、近年の住宅は気密性・断熱性が向上したことにより、むしろ湿気がこもりやすく、カビが発生しやすい環境になっていると言われています。
特に、コンクリートが完全に乾ききっていない新築の建物は、最初の1〜2年はコンクリート自体から水分が放出されるため、湿度が高くなりがちです。
入居してからカビに悩まされるという後悔をしないために、契約前、そして入居前にしっかりとカビ対策の視点で物件をチェックすることが重要です。
物件選びの段階でチェックするポイント
内見が可能な物件であれば、以下の点を必ず確認しましょう。
建築中の物件であっても、設計図や仕様書から確認できる情報もあります。
- 換気システムの性能
2003年以降に建てられた建物には24時間換気システムの設置が義務付けられています。このシステムが正しく機能するか、給気口と排気口が効率的な空気の流れを生むように配置されているかを確認しましょう。 - 窓の数と配置
風通しの良さは、湿気対策の基本です。部屋の対角線上に窓があると、効率的に空気を入れ替えることができます。窓が一つしかない部屋や、窓の開かないFIX窓が多い部屋は注意が必要です。 - 浴室乾燥機の有無
浴室は最もカビが発生しやすい場所の一つです。浴室乾燥機があれば、入浴後に素早く湿気を取り除くことができ、カビの発生を強力に防ぎます。 - 収納内部の換気
クローゼットや押し入れの内部は空気が滞留しやすく、カビの温床になりがちです。内部に換気用のスリットや小窓が設けられているか、壁に調湿効果のある建材が使われているかなども確認できると理想的です。
入居後にできるカビ対策
どんなに優れた物件でも、住み方次第でカビは発生します。
入居後は以下のことを習慣づけましょう。
特に重要なのは、家具の配置です。壁から5cm程度離して置くことで、空気の通り道ができ、壁との間に湿気がこもるのを防げます。
また、定期的な換気はもちろんのこと、除湿機やサーキュレーターを活用して、室内の湿度を常に60%以下に保つことを心がけましょう。
新築のきれいな状態を長く保つためにも、カビ対策は入居前から意識しておくべき重要なポイントなのです。
虫の発生源と効果的な駆除方法
新築アパートなら虫は出ないだろう、と期待するのは自然なことです。
しかし、残念ながら、建物の新しさと虫の発生は必ずしも関係ありません。
虫は、ほんのわずかな隙間からでも侵入してきます。
新築のアパートはやめとけ、とまでは言いませんが、虫が苦手な方は、そのリスクと対策について正しく理解しておく必要があります。
虫はどこからやってくるのか
主な侵入経路は以下の通りです。
- 窓やドアの隙間:網戸をしていても、サッシのわずかな隙間から小さな虫は侵入します。
- 換気扇や通気口:フィルターが設置されていても、経年劣化や隙間から侵入することがあります。
- 排水口:キッチンやお風呂、洗濯機の排水口を伝って、下水からゴキブリなどが上がってくることがあります。
- エアコンのドレンホース:室外機につながるホースの先端から虫が侵入し、室内に出てくるケースです。
- 宅配便の段ボールや観葉植物:外部から持ち込む荷物や植物に、虫やその卵が付着していることも少なくありません。
このように、虫の侵入経路は多岐にわたります。
新築工事中、資材置き場などに虫が潜み、建物が完成すると同時に内部に侵入しているというケースも考えられます。
入居前にできる虫対策
後悔しないためには、入居前の何もない状態の時に、先手を打っておくことが最も効果的です。
1. くん煙剤を焚く
入居前に一度、部屋全体を殺虫成分で満たすくん煙剤を使用することで、室内に潜んでいる可能性のある虫を一掃できます。火災報知器にカバーをかけるのを忘れないようにしましょう。
2. 侵入経路を塞ぐ
エアコンのドレンホースの先端に専用のキャップを取り付けたり、排水口にフィルターを設置したりして、物理的に侵入経路を断ちます。換気口用の防虫フィルターなども市販されています。
3. 毒餌剤を設置する
ゴキブリ対策として、ブラックキャップなどの毒餌剤を、キッチンの隅や冷蔵庫の下、洗面所といった、虫が好みそうな場所に複数設置しておきます。
物件選びの視点
物件選びの段階で、虫対策を意識することも可能です。
一般的に、虫は高層階まで飛んでくることが難しいため、3階以上の部屋を選ぶと、侵入のリスクを減らすことができます。
また、アパートの周りに飲食店やゴミ屋敷、公園や雑木林など、虫が発生しやすい環境がないかどうかも、内見時にチェックしておきたいポイントです。
建物の新しさだけに頼らず、こうした具体的な対策を講じることで、虫に悩まされる可能性を大幅に下げることができます。
新築のアパートはやめとけという意見も参考に賢く選ぼう
この記事では、「新築のアパートはやめとけ」と言われる多くの理由と、それに対する具体的な対策について解説してきました。
家賃の高さ、内見できないリスク、シックハウス症候群の懸念、そして予期せぬ隣人トラブルなど、新築物件には確かに見過ごせないデメリットが存在します。
しかし、これは「新築物件が絶対的に悪い」ということを意味するわけではありません。
重要なのは、これらのリスクを正しく理解し、メリットとデメリットを天秤にかけた上で、自分自身の価値観に合った選択をすることです。
誰も使っていない最新の設備が整った空間で生活を始められるという魅力は、何物にも代えがたいと感じる人もいるでしょう。
もしあなたが新築物件を選ぶのであれば、完成前に契約するリスクを十分に認識し、図面や仕様書を細かくチェックする必要があります。
そして、シックハウス症候群やカビ、虫といった問題に対して、入居前から意識的に対策を講じることが不可欠です。
一方で、よりコストパフォーマンスや確実性を重視するのであれば、新築にこだわらず「築5年以内の築浅物件」を視野に入れることを強くお勧めします。
築浅物件であれば、新築のメリットを享受しつつ、家賃の高さや内見不可といった大きなデメリットを回避することができます。
最終的に、あなたにとっての「良い物件」とは、単に新しいかどうかではなく、あなたのライフスタイルや価値観、そして予算に合っているかどうかで決まります。
「新築のアパートはやめとけ」という言葉は、一つの警鐘として心に留めておくべき有益なアドバイスです。
しかし、それを鵜呑みにして思考停止に陥るのではなく、賢い消費者として情報を取捨選択し、後悔のない決断を下すための知識として活用してください。
本記事で紹介した物件選びのコツや交渉術、各種対策が、あなたの理想の住まい探しの一助となれば幸いです。
多くの情報を集め、慎重に比較検討し、納得のいく新生活をスタートさせてください。
- ➤新築アパートは周辺相場より家賃が割高な傾向がある
- ➤「新築プレミアム」分の価値があるか冷静な判断が必要
- ➤建築中の物件は内見できず図面だけで契約するリスクを伴う
- ➤日当たりや眺望、騒音など現地でしか確認できない点が多い
- ➤建材から放散される化学物質によるシックハウス症候群の懸念
- ➤新築は入居者が一斉スタートのため隣人が選べない
- ➤木造や軽量鉄骨造は生活音が響きやすく騒音トラブルに注意
- ➤入居した瞬間から資産価値は下がるが家賃は下がりにくい
- ➤対策として築5年以内の「築浅物件」を狙うのが賢い選択
- ➤物件の遮音性を左右する建物の構造チェックは必須
- ➤家賃本体でなく礼金やフリーレントの交渉が有効な場合も
- ➤高気密な現代の住宅は新築でもカビ対策が重要になる
- ➤虫はわずかな隙間から侵入するため入居前の対策が効果的
- ➤「新築のアパートはやめとけ」はリスクを理解するための警鐘
- ➤情報を元にメリットとデメリットを比較し自分に合う物件を選ぶことが最重要