注文住宅のLANケーブルのカテゴリ完全ガイド!後悔しない選び方

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注文住宅を建てるという、一生に一度の大きなプロジェクトに胸を膨らませていることでしょう。

しかし、間取りやデザインにばかり気を取られ、意外と見落としがちなのがインターネット環境の基盤となる配線設備です。

特に、注文住宅のlanケーブルのカテゴリ選びは、これからの暮らしの快適性を大きく左右するにもかかわらず、専門的で分かりにくいと感じる方が少なくありません。

「どのカテゴリを選べばいいのか分からない」「将来的に速度が遅くならないか心配」といった不安から、おすすめのカテゴリを知りたい、Cat6とCat6aの違いを具体的に比較したい、というニーズは非常に高いです。

また、有線LANとWi-Fiの最適な使い分けや、将来性を見据えた選択、さらには具体的な費用感、後悔しないための配線計画、そしてLANコンセントの位置に至るまで、悩みは多岐にわたります。

この記事では、そんなあなたの悩みを解決するために、注文住宅のlanケーブルのカテゴリに関するあらゆる情報を網羅的に解説します。

この記事を読み終える頃には、あなたも自信を持って最適なLAN環境を計画できるようになっているはずです。

この記事でわかること
  • ➤注文住宅におけるLANケーブルのカテゴリの重要性
  • ➤各カテゴリ(Cat5e、Cat6、Cat6a)の速度と性能の違い
  • ➤なぜCat6aが現代の注文住宅におすすめなのか
  • ➤将来性を見据えたLANケーブルの選び方
  • ➤後悔しないための具体的な配線計画とコンセントの設置場所
  • ➤有線LANとWi-Fiを賢く組み合わせる方法
  • ➤LAN配線工事にかかる費用の目安と注意点

 

注文住宅のlanケーブルのカテゴリ選びで後悔しない基礎知識

この章のポイント
  • ➤カテゴリごとの通信速度を比較
  • ➤おすすめのカテゴリはCat6a
  • ➤Cat6とCat6aの性能の違いとは
  • ➤10年後も安心な将来性のある選び方
  • ➤有線LANとWi-Fiの賢い使い分け

カテゴリごとの通信速度を比較

注文住宅のlanケーブルのカテゴリを選ぶ上で、まず理解しておかなければならないのが、カテゴリごとの性能の違いです。

LANケーブルは見た目が似ていても、内部の構造によって通信速度や処理できる情報量が大きく異なります。

これらは「カテゴリ」という規格で分類されており、数字が大きいほど新しい規格で、高性能になります。

ここでは、現在主流となっているカテゴリの性能を比較し、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

この違いを理解することが、あなたの家にとって最適な選択をするための第一歩となります。

主要なLANケーブルカテゴリの性能一覧

まずは、主要なカテゴリである「Cat5e」「Cat6」「Cat6a」の3つに焦点を当てて、その性能を比較してみましょう。

これらのスペックが、実際のインターネットの快適さに直結します。

カテゴリ名 最大通信速度 伝送帯域 特徴
カテゴリ5e (Cat5e) 1Gbps 100MHz 少し前の主流規格。現在の光回線(1Gbps)の速度は出せるが、将来性には不安が残る。
カテゴリ6 (Cat6) 1Gbps (最大10Gbps) 250MHz 現在でも広く使われている。短距離(約55mまで)なら10Gbpsに対応可能だが、ノイズに弱い。
カテゴリ6a (Cat6a) 10Gbps 500MHz 現在の注文住宅で最も推奨される規格。安定して10Gbpsの高速通信が可能で、将来性が高い。

この表から分かるように、カテゴリ5eは現在の一般的な光回線の速度である1Gbpsに対応できますが、伝送帯域が100MHzと狭いため、多くの機器を同時に接続すると速度が不安定になる可能性があります。

言うなれば、道路の幅が狭い状態です。

一方、カテゴリ6は伝送帯域が250MHzに広がり、より安定した通信が期待できます。

しかし、10Gbpsの通信は条件下でのみ可能であり、ケーブル長が55mを超えると性能が低下します。

最も注目すべきはカテゴリ6aです。

最大通信速度は10Gbps、伝送帯域は500MHzと、カテゴリ6の2倍の広さを誇ります。

これは、広い多車線道路のようなもので、多くのデータがスムーズに行き交うことができます。

将来的に10Gbpsのインターネットサービスが主流になったとしても、余裕をもって対応できる性能を持っています。

通信速度(Gbps)と伝送帯域(MHz)とは何か

ここで、少し専門的な用語である「通信速度」と「伝送帯域」について簡単に解説します。

この2つを車の流れに例えると分かりやすいでしょう。

  • 通信速度 (Gbps): これは「道路の最高速度」に例えられます。数値が大きいほど、速くデータを転送できます。1Gbpsは1秒間に1ギガビットのデータを送れることを意味します。
  • 伝送帯域 (MHz): これは「道路の車線数」に例えられます。数値が大きいほど、一度に多くのデータを同時に送ることができます。帯域が広いと、家族が同時に動画視聴やオンラインゲームをしても、混雑しにくくなります。

つまり、快適なインターネット環境を求めるなら、通信速度だけでなく、伝送帯域も非常に重要な要素となるのです。

注文住宅のように、一度配線すると変更が難しい環境では、両方の数値が高いカテゴリを選ぶことが賢明な判断と言えるでしょう。

特に、これから10年、20年と住み続ける家だからこそ、現在の基準だけでなく、未来の基準を見据えた選択が後悔を防ぎます。

おすすめのカテゴリはCat6a

数あるLANケーブルのカテゴリの中で、これから注文住宅を建てるあなたに最も強くおすすめしたいのが「カテゴリ6a(Cat6a)」です。

なぜなら、Cat6aは現在の技術水準と将来の発展を見据えた際に、最もコストパフォーマンスと性能のバランスが取れた選択肢だからです。

ここでは、なぜCat6aが最適なのか、その理由を多角的に掘り下げていきます。

将来の高速通信時代への備え

最大の理由は、その「将来性」にあります。

現在、家庭向けの光回線サービスは1Gbpsが主流ですが、都市部を中心に5Gbpsや10Gbpsといった超高速プランが既に提供され始めています。

インターネットの進化は非常に速く、10年後には10Gbpsが標準になっている可能性も十分に考えられます。

その時、家の壁の中に配線されているLANケーブルが1Gbpsまでしか対応できないCat5eやCat6(長距離の場合)だったらどうなるでしょうか。

せっかく高速な回線を契約しても、家の中のインフラがボトルネックとなり、その性能を全く活かせないという事態に陥ってしまいます。

Cat6aは安定して10Gbpsの通信速度をサポートしているため、将来的なインターネット環境のアップグレードにも余裕で対応できます。

一度壁の中に埋めてしまうと交換が非常に困難な先行配線だからこそ、数年先ではなく、10年、20年先を見据えた投資が不可欠です。

増え続ける通信機器とデータ量への対応力

現代の家庭では、パソコンやスマートフォンだけでなく、スマートTV、AIスピーカー、ネットワークカメラ、IoT家電など、インターネットに接続する機器が爆発的に増えています。

家族それぞれがスマートフォンを持ち、リビングでは4Kや8Kの動画ストリーミングを楽しみ、子供部屋ではオンラインゲームに熱中する、といった光景はもはや日常です。

これらの通信はすべて、LANケーブルを介して行われます。

Cat6aが持つ500MHzという広い伝送帯域は、こうした複数の同時通信が発生した際にも、データの渋滞を起こしにくく、安定した通信を維持する力があります。

Cat6の250MHzと比較して2倍の帯域幅は、例えるなら片側2車線の道路が4車線になるようなものです。

交通量が増えてもスムーズに流れることができるため、家族全員がストレスなくインターネットを利用できる環境が実現します。

ノイズへの強さがもたらす安定性

Cat6aのもう一つの大きなメリットは、ノイズに対する耐性が高いことです。

家庭内には、電子レンジやエアコン、モーターを内蔵した家電など、電磁波(ノイズ)を発生させるものが数多く存在します。

これらのノイズがLANケーブルに干渉すると、通信エラーが発生し、速度低下や接続の瞬断といった問題を引き起こすことがあります。

Cat6aのケーブルは、Cat6以前の規格に比べて、ノイズを防ぐための構造(シールド処理など)が強化されています。

これにより、他の電気配線と近接して敷設されることが多い壁内配線においても、外部からのノイズの影響を受けにくく、非常に安定した通信品質を保つことができます。

特に、画質や応答速度が重要になる高画質動画の視聴やオンライン会議、対戦型のオンラインゲームなどでは、この安定性が大きな差となって現れるでしょう。

以上の理由から、初期費用がCat6に比べて多少高くなったとしても、長期的な視点で見ればCat6aを選ぶメリットは計り知れません。

注文住宅という最高の舞台に、最高のネットワーク環境を整えるために、Cat6aはまさに最適な選択と言えるのです。

Cat6とCat6aの性能の違いとは

「Cat6aがおすすめなのは分かったけれど、具体的にCat6と何が違うの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。

確かに、両者は名前も似ており、一見すると大きな違いがないように感じるかもしれません。

しかし、この二つの規格の間には、将来の快適性を左右する明確な性能差が存在します。

ここでは、Cat6とCat6aの技術的な違いを深掘りし、それが実際の使用感にどう影響するのかを解説します。

決定的な違いは「周波数帯域」と「10GBASE-Tへの対応力」

Cat6とCat6aの最も大きな違いは、前述の通り「伝送帯域(周波数)」と、それによってもたらされる「10Gbps通信(10GBASE-T)の安定性」です。

  1. カテゴリ6 (Cat6):
    • 伝送帯域: 250MHz
    • 10Gbps通信: 対応可能だが、ケーブル長が約37m~55mまでという制限付き。さらに、周囲のケーブルからのノイズ(エイリアンクロストーク)の影響を受けやすく、性能を完全に発揮できない場合がある。
  2. カテゴリ6a (Cat6a):
    • 伝送帯域: 500MHz (Cat6の2倍)
    • 10Gbps通信: ケーブル長100mまで安定して対応可能。エイリアンクロストークへの耐性も規格として定められており、非常に高い信頼性を持つ。

この違いは、技術的に見ると非常に重要です。

Cat6の10Gbps対応は、いわば「限定的な条件下での特別性能」であり、一般的な住宅の配線でその性能を保証するのは難しい側面があります。

一方で、Cat6aは初めから「10Gbpsでの安定通信」を前提に設計されています。

注文住宅では、配線ハブから各部屋までの距離が数十メートルに及ぶことも珍しくありません。

そうした場合、Cat6では10Gbpsの通信が不安定になるリスクがありますが、Cat6aなら家のどの部屋でも安定した10Gbpsの恩恵を受けることができるのです。

物理的な構造の違い:ノイズ耐性とケーブルの太さ

性能差は、ケーブルの物理的な構造にも現れています。

Cat6aは、Cat6に比べて外部からのノイズや他のケーブルからの干渉(エイリアンクロストーク)を防ぐための対策が強化されています。

具体的には、ケーブル内部の芯線ペアの「より」が細かくなっていたり、ケーブルの外周にシールド(アルミ箔など)が施されている製品(STPケーブル)が一般的です。

項目 カテゴリ6 (Cat6) カテゴリ6a (Cat6a)
ノイズ耐性 標準的。ただしエイリアンクロストークへの規定はない。 高い。エイリアンクロストークへの耐性が規格化されている。
ケーブルの太さ 比較的細く、取り回しやすい。 シールド等のため太くなる傾向があり、曲げにくい。
施工性 比較的容易。 太さや硬さから、施工には技術やスペースが必要になる場合がある。

この構造の違いにより、Cat6aは非常に高い安定性を誇りますが、その反面、ケーブル自体が太く、硬くなるという物理的な特性があります。

これは施工面で考慮が必要な点で、配管(CD管)の径を十分に確保したり、曲げ半径に注意したりする必要があります。

しかし、これはプロの施工業者が対応すべき領域であり、適切に施工されれば利用者にとってデメリットにはなりません。

むしろ、その物理的な堅牢さが、長期にわたる信頼性の証とも言えるでしょう。

コストの比較

一般的に、ケーブル自体の価格や施工費用は、Cat6に比べてCat6aの方が1.5倍から2倍程度高くなる傾向があります。

しかし、家全体の建築費用から見れば、その差額はごくわずかです。

例えば、家全体でLAN配線費用が10万円だったとして、Cat6aにアップグレードすることで5万円の追加費用がかかったとします。

この5万円を惜しんだ結果、10年後に「ネットが遅い」「新しいサービスに対応できない」と後悔し、壁を剥がして配線をやり直すことになれば、数十万円以上の費用と多大な手間がかかります。

そう考えると、新築時にCat6aを選択することは、極めて合理的な「未来への投資」と言えるのではないでしょうか。

10年後も安心な将来性のある選び方

注文住宅は、多くの人にとって人生で最も長く過ごす場所です。

だからこそ、設備選びは「今、快適か」だけでなく、「10年後、20年後も快適であり続けられるか」という視点が欠かせません。

ことインターネット環境においては、技術の進歩が著しいため、この「将来性」という観点が極めて重要になります。

ここでは、10年後も「この家にして良かった」と思えるような、将来性を見据えた注文住宅のlanケーブルのカテゴリの選び方について考えていきます。

なぜ「将来性」が重要なのか?

インターネットの世界で10年前を振り返ってみてください。

スマートフォンはまだ普及し始め、動画ストリーミングサービスも今ほど一般的ではありませんでした。

家庭のインターネット回線もADSLや100Mbpsの光回線が主流でした。

それが今や、誰もが手元で高画質の動画を楽しみ、オンラインで世界中の人と繋がり、家中の家電がインターネットに接続される時代です。

この変化のスピードは、今後さらに加速していくと予想されます。

  • コンテンツの大容量化: 4Kから8Kへ、VRやAR、メタバースといったリッチコンテンツの普及により、必要とされるデータ量は飛躍的に増大します。
  • IoTデバイスの爆発的増加: 照明、エアコン、冷蔵庫、セキュリティカメラなど、ありとあらゆるモノがインターネットに繋がる「スマートホーム」が当たり前になります。
  • 新しい働き方・暮らし方の定着: 高品質な映像が求められるリモートワークやオンライン学習、遠隔医療などがさらに一般的になります。

これらの未来のライフスタイルを支えるのが、家の隅々にまで張り巡らされたネットワークインフラ、すなわちLANケーブルなのです。

将来、これらのサービスをストレスなく利用するためには、現在のオーバースペックとも思える性能が、未来のスタンダードになることを見越しておく必要があります。

将来を見据えた具体的な選択基準

では、具体的にどのような基準で選べば良いのでしょうか。

ポイントは以下の3つです。

  1. カテゴリは「Cat6a」以上を選択する
    これは繰り返しになりますが、最も重要なポイントです。10Gbpsに標準対応するCat6aは、今後10年以上の間、家庭内ネットワークの性能的なボトルネックになる可能性は極めて低いでしょう。予算が許すのであれば、さらにその上のCat7やCat8も視野に入りますが、現時点ではコネクタ形状の違いやコスト面から、Cat6aが最も現実的でバランスの取れた選択です。
  2. 「空配管(CD管)」を必ず設置する
    これが将来性確保の「保険」となります。空配管とは、ケーブルを通すためだけの空っぽの管を壁内や天井裏に予め設置しておくことです。万が一、将来的にLANケーブルが断線してしまったり、あるいはCat6aをも超えるような新しい規格のケーブル(例えば光ファイバーなど)に交換したくなった際に、壁を壊すことなく容易にケーブルの入れ替えが可能になります。費用はかかりますが、後から工事するより遥かに安価です。全てのLAN配線ルートに空配管を設置することをおすすめします。
  3. 配線は「スター型配線」で集中的に管理する
    各部屋へのLANケーブルを、途中で分岐させる「デイジーチェーン型」ではなく、一箇所に設けた「情報分電盤(マルチメディアポート)」から各部屋へ放射状に配線する「スター型配線」を採用します。これにより、メンテナンス性が向上し、トラブル時の原因特定も容易になります。また、将来的に新しい機器を追加する際も、この情報分電盤で集中管理できます。

これらの選択は、目先のコストだけを見ると無駄に思えるかもしれません。

しかし、10年後、あなたの家が時代の変化にしなやかに対応し、変わらぬ快適さを提供し続けてくれることを考えれば、それは決して無駄な投資ではないはずです。

家の価値を長期的に維持するという観点からも、ネットワークの将来性確保は極めて重要なのです。

有線LANとWi-Fiの賢い使い分け

現代の家庭において、快適なインターネット環境を構築するためには、有線LANとWi-Fi(無線LAN)のどちらか一方だけでは不十分です。

それぞれに得意なこと、不得意なことがあり、両者の特性を理解して適切に使い分ける「ハイブリッドな環境」こそが、理想的なネットワークを実現する鍵となります。

注文住宅のlanケーブルのカテゴリを考えることは、このハイブリッド環境の土台作りそのものです。

有線LANのメリット・デメリット

まずは、壁のコンセントにLANケーブルを挿して使う「有線LAN」の特徴を見てみましょう。

【メリット】

  1. 高速かつ安定した通信: これが最大のメリットです。Wi-Fiのように電波状況に左右されることがないため、契約している回線の速度を最大限に引き出すことができます。通信が途切れたり、遅延(ラグ)が発生したりすることが極めて少ないです。
  2. 高いセキュリティ: 物理的にケーブルで接続されているため、Wi-Fiのように電波を傍受されるリスクがありません。セキュリティ面で非常に優れています。
  3. 接続設定が簡単: 基本的にケーブルを挿すだけで接続が完了するため、複雑なパスワード入力などが不要です。

【デメリット】

  • 場所の制約: LANコンセントがある場所でしか利用できず、ケーブルが届く範囲に機器を設置する必要があります。
  • ケーブルの煩わしさ: 機器が増えると配線がごちゃごちゃし、見た目が悪くなることがあります。

Wi-Fi(無線LAN)のメリット・デメリット

次に、今や家庭に欠かせない存在となった「Wi-Fi」の特徴です。

【メリット】

  1. 自由な場所で使える利便性: ケーブルがないため、家中どこでも(電波が届けば)インターネットに接続できます。ソファでくつろぎながら、ベッドに寝転がりながらでも利用可能です。
  2. 複数デバイスの同時接続: スマートフォンやタブレット、スマートスピーカーなど、多くのデバイスを同時に接続できます。
  3. 配線がすっきりする: 物理的なケーブルが不要なため、部屋の見た目をきれいに保てます。

【デメリット】

  • 通信の不安定さ: 壁や床、家具などの障害物、電子レンジなどの家電からの電波干渉によって、通信速度が低下したり、接続が途切れたりすることがあります。
  • 有線に劣る速度: 理論上の最大速度は向上していますが、実効速度では有線LANに及ばないケースがほとんどです。
  • セキュリティリスク: 電波を飛ばしているため、パスワードの設定が甘いと不正にアクセスされるリスクが有線LANよりも高くなります。

最適なハイブリッド環境の構築プラン

これらの特性を踏まえると、理想的な使い分けが見えてきます。

それは「動かない機器は有線LAN、動き回る機器はWi-Fi」という基本原則です。

接続方法 おすすめの機器 理由
有線LAN デスクトップPC、スマートTV、レコーダー、家庭用ゲーム機、NAS(ネットワークHDD) 高速・安定した通信が求められ、一度設置するとあまり動かさない機器。特に大容量のデータ通信(動画視聴、ゲーム)を行うものに最適。
Wi-Fi (無線LAN) スマートフォン、タブレット、ノートPC、AIスピーカー、IoT家電 携帯性や利便性が重視され、家の中を移動しながら使うことが多い機器。

この環境を注文住宅で実現するためには、各部屋に有線LANのコンセントを設置することが大前提となります。

そして、家の中心や各階に、Wi-Fiルーターやアクセスポイントを設置するためのLANコンセントを用意しておくのです。

特に、Wi-Fiの電波を家中に効率よく届けるためには、各階の天井にWi-Fiアクセスポイント専用のLANコンセントを設置する「天井配線」が非常に有効です。

強力な有線LANという「幹」を家中に張り巡らせ、そこからWi-Fiという「枝葉」を広げるイメージを持つと良いでしょう。

これにより、それぞれのメリットを最大限に活かし、デメリットを補い合う、真に快適なネットワーク環境が完成します。

 

注文住宅のlanケーブルのカテゴリを活かすための配線計画

この章のポイント
  • ➤快適なネット環境のための配線計画
  • ➤LANコンセントの最適な設置場所
  • ➤配線工事にかかる費用の目安
  • ➤よくある失敗例と後悔しないポイント
  • ➤最適な注文住宅のlanケーブルのカテゴリで快適な暮らしを

快適なネット環境のための配線計画

最高の性能を持つCat6aケーブルを選んだとしても、その性能を最大限に引き出すためには、練り上げられた「配線計画」が不可欠です。

配線計画とは、家のどこに、どのようにLANケーブルを張り巡らせるかという設計図のことです。

これを設計段階でしっかり行っておくか否かで、将来の快適性や拡張性が天と地ほど変わってきます。

ここでは、後悔しないための配線計画の要点について解説します。

基本は「スター配線」と「情報分電盤」

現代の住宅におけるLAN配線の基本は、「スター配線」と呼ばれる方式です。

これは、家のどこか一箇所に「情報分電盤(マルチメディアポートとも呼ばれる)」という集約拠点を設け、そこから各部屋のLANコンセントへ向けて、それぞれ独立したケーブルを放射状に配線する方法です。

【スター配線のメリット】

  1. 安定した通信品質: 各部屋へのケーブルが独立しているため、ある部屋での通信が他の部屋に影響を与えることがありません。
  2. 高いメンテナンス性: もしどこかの部屋で断線などのトラブルが発生しても、原因の切り分けが容易です。故障箇所がその部屋のケーブルだけに限定されます。
  3. 優れた拡張性: 将来、新しい部屋にLANコンセントを増設したくなった場合も、情報分電盤からケーブルを一本追加するだけで対応できます。

この中心となる情報分電盤は、クローゼットの中や納戸、階段下収納など、普段目立たない場所に設置するのが一般的です。

この中には、外部から引き込まれた光回線の終端装置(ONU)やルーター、各部屋への配線を分岐させるスイッチングハブなどを収納します。

熱がこもりやすいため、ある程度のスペースと、可能であれば換気できるような配慮があるとより良いでしょう。

この情報分電盤をネットワークの「心臓部」として計画することが、全ての基本となります。

将来の交換を見越した「空配管(CD管)」の活用

配線計画におけるもう一つの重要な要素が、「空配管(からはいかん)」の設置です。

空配管とは、ケーブルを通すための合成樹脂製の蛇腹状のパイプ(CD管やPF管)のことです。

LANケーブルを直接壁の中に埋め込むのではなく、このパイプの中に通しておきます。

なぜこれが必要なのでしょうか。

主な理由は「将来のメンテナンス性とアップグレードのため」です。

  • ケーブルの交換が容易になる: 万が一、LANケーブルが断線したり、性能が劣化した際に、壁を壊すことなく新しいケーブルに引き直すことができます。
  • 将来の技術革新への対応: 今後、Cat6aを超える新しい規格のケーブル(例えば光ファイバーケーブル)が一般家庭に普及した際にも、この配管を利用して簡単に入れ替えることができます。

空配管の設置には追加の費用がかかりますが、将来、壁を剥がして配線をやり直す大工事になるリスクを考えれば、これは非常に価値のある「保険」です。

特に、情報分電盤から各部屋のコンセントまで、すべてのLANケーブルの経路に空配管を設置しておくことを強く推奨します。

また、配管の太さも重要です。

Cat6aケーブルは比較的太いため、将来的な交換も考慮して、余裕を持った内径の配管(例えば内径22mmや28mmなど)を選ぶとより安心です。

この計画を、家の設計段階で建築士やハウスメーカーの担当者、電気工事業者としっかりと打ち合わせすることが、後悔しない家づくりに繋がります。

LANコンセントの最適な設置場所

緻密な配線計画を立て、高性能なCat6aケーブルを用意しても、最後の出口である「LANコンセント」の設置場所を間違えてしまうと、その価値は半減してしまいます。

「ここにコンセントがあれば良かったのに…」という後悔は、注文住宅の失敗談として非常によく聞かれる話です。

生活動線や家具の配置を具体的にイメージしながら、将来のライフスタイルの変化にも対応できるような場所に、過不足なく設置することが重要です。

「各部屋に最低1箇所(2ポート以上)」が基本

まず大原則として、「各部屋に最低1箇所、できれば2ポート以上のLANコンセントを設置する」と考えましょう。

「この部屋はWi-Fiで十分だろう」と安易に判断してしまうと、後で電波が届きにくいことが判明したり、安定した有線接続が必要な機器を置きたくなったりした際に、手遅れになります。

新築時に設置するコストは比較的安いので、迷ったら付けておくのが正解です。

【具体的な設置場所の提案】

  1. リビング: テレビを置く壁面に最低でも2~4ポート。スマートTV、レコーダー、ゲーム機、サウンドバーなど、接続したい機器は多数あります。また、ソファの近くなど、ノートPCを使う可能性のある場所にもあると便利です。
  2. ダイニング・キッチン: カウンター付近に1箇所あると、PC作業やタブレットでのレシピ検索に役立ちます。最近ではネットワーク対応の冷蔵庫などもあります。
  3. 寝室・子ども部屋: 各部屋に最低1箇所(2ポート)。デスクを置く場所やベッドサイドが候補です。将来的に子どもがオンライン学習やゲームをする可能性を考慮しましょう。
  4. 書斎・ワークスペース: ここは最も重要な場所の一つです。デスクトップPC、プリンター、NASなどを接続するため、4ポート以上あると安心です。
  5. 玄関: ネットワークカメラやスマートロックの設置を考えるなら、玄関付近にも1箇所あると将来的に役立つ可能性があります。

見落としがちな「天井」という選択肢

快適なWi-Fi環境を構築する上で、非常に有効でありながら見落とされがちなのが「天井へのLANコンセント設置」です。

Wi-Fiの電波は、ルーターから円状に広がります。

そのため、機器を床や棚の上に置くよりも、部屋やフロアの中心付近の天井に設置する方が、電波を遮るものが少なく、家中を効率的にカバーできます。

これは「アクセスポイント(AP)」と呼ばれる、Wi-Fiの電波を発信することに特化した機器を設置するためのものです。

特に2階建て以上の住宅では、各階の廊下やホールの天井にAP用のLANコンセントを設置しておくことを強く推奨します。

これにより、1台の高性能ルーターだけで家全体をカバーしようとして電波の死角が生まれる、といった問題を解決し、どこにいても安定したWi-Fi環境を実現できます。

コンセントの高さと家具配置の考慮

LANコンセントを設置する際には、その「高さ」も重要です。

一般的な電気コンセントと同じ床から25cm程度の高さでも問題ありませんが、使い方によっては不便なこともあります。

  • デスク周り: 机の上にコンセントがあった方が、抜き差しがしやすく便利です。床から100cm程度の高さに設置すると良いでしょう。
  • テレビボードの裏: テレビボードで隠れる位置に、少し高めに設置すると、配線がすっきりと隠せます。

また、コンセントを計画する際には、必ず家具の配置を考慮してください。

せっかく設置したのに、大きなクローゼットや本棚の裏に隠れてしまい、全く使えない「死にコンセント」になってしまうケースは後を絶ちません。

設計図面に家具のレイアウトを書き込みながら、建築士や担当者と相談することが失敗を防ぐための鍵です。

配線工事にかかる費用の目安

注文住宅のlanケーブルのカテゴリを考え、理想的な配線計画を立てたところで、次に気になるのは「一体いくらかかるのか?」という費用面でしょう。

LAN配線工事の費用は、選択するケーブルのカテゴリ、配線する箇所の数、工事の難易度、そして依頼するハウスメーカーや工務店によって大きく変動します。

ここでは、一般的な費用の目安と、コストを考える上での注意点について解説します。

LAN配線工事の費用内訳

LAN配線工事の費用は、主に以下の要素で構成されます。

  1. ケーブル代: LANケーブルそのものの価格です。Cat6aはCat6に比べて高価になります。メーター単位で計算されます。
  2. 部材費: LANコンセント(モジュラージャック)、コンセントプレート、情報分電盤(マルチメディアポート)、空配管(CD管)などの部材の費用です。
  3. 工事費(技術料): 電気工事士が配線やコンセントの取り付け作業を行うための人件費です。配線箇所1箇所あたりで設定されていることが多いです。

これらの費用は、ハウスメーカーや工務店によっては、個別の項目で見積もりが出る場合と、「LAN配線一式」としてまとめて提示される場合があります。

一般的な費用相場

あくまで一般的な目安ですが、費用の相場観を掴んでおきましょう。

【項目別のおおよその目安】

項目 費用目安 備考
LANコンセント1箇所の増設 10,000円 ~ 20,000円 ケーブル、部材、工事費込み。Cat6aの場合、少し高くなる傾向。
情報分電盤(ハブ等含む)の設置 50,000円 ~ 150,000円 収納する機器の数や性能によって大きく変動。
空配管の設置 5,000円 ~ 15,000円 / 箇所 配管の長さや経路によって変動。

例えば、リビングに4ポート、各個室3部屋に2ポートずつ、天井に1ポート、合計で11ポートのLANコンセントを設置する場合を考えてみましょう。

仮に1箇所あたり15,000円とすると、コンセント設置だけで165,000円。

それに情報分電盤の設置費用が100,000円加わると、合計で265,000円程度が一つの目安となります。

もちろんこれは単純計算であり、実際には家の構造や配線ルートによって変わってきますので、必ず複数の業者から詳細な見積もりを取るようにしてください。

コストを抑えるポイントと注意点

最も重要なことは、「新築時にまとめて工事を行うこと」です。

家が完成した後で、「やっぱりあそこにもLANコンセントが欲しい」となると、壁に穴を開けたり、天井裏にアクセスしたりと、大掛かりな工事が必要になります。

その結果、新築時であれば1箇所15,000円で済んだ工事が、5万円以上かかることも珍しくありません。

初期費用を多少削ったとしても、後からの追加工事は遥かに高くつきます。

したがって、将来少しでも使う可能性がある場所には、先行投資としてコンセントを設置しておくことが、結果的にトータルコストを抑えることに繋がるのです。

また、ハウスメーカーによっては、LAN配線が標準仕様に含まれている場合や、お得なパッケージプランが用意されていることもあります。

最初の段階で、標準仕様の内容(ケーブルのカテゴリやコンセントの数など)をしっかりと確認し、不足分をオプションとして追加していく形で計画を進めると、予算管理がしやすくなります。

費用と将来の利便性を天秤にかけ、賢い投資判断をすることが求められます。

よくある失敗例と後悔しないポイント

せっかくの注文住宅、隅々までこだわって建てたはずなのに、住み始めてから「ああしておけば良かった…」と後悔するのは避けたいものです。

特にLAN配線は、壁の中に隠れてしまうため、後からの修正が難しい部分。

ここでは、先輩たちが実際に経験したLAN配線にまつわる失敗例を学び、同じ轍を踏まないためのポイントを押さえていきましょう。

【失敗例1】コンセントの数が足りない・場所が悪い

これは最も多い失敗例です。

「Wi-Fiがあれば有線は要らないと思ったけど、オンライン会議で通信が不安定。書斎にLANコンセントを作れば良かった…」

「テレビ周りに2ポートしか作らなかったら、TV、レコーダー、ゲーム機、サウンドシステムで全部埋まってしまい、新しく買った機器が繋げない…」

「家具のレイアウトを変えたら、唯一のLANコンセントがタンスの裏に隠れてしまった…」

【後悔しないためのポイント】

  1. 「とりあえず各部屋に」の精神で: 使うか分からない部屋でも、とりあえず1箇所(2ポート)は設置しておく。後付けより遥かに安価です。
  2. 主要な場所は多めに: テレビ周りや書斎など、多くの機器を置くことが予想される場所は、4ポート以上を検討しましょう。
  3. 複数の可能性を考慮する: 部屋の両端の壁に設置しておくなど、将来の模様替えにも対応できるような配置を考えます。

【失敗例2】ケーブルのカテゴリが古かった

「建築当時はCat5eが主流で、コストも安いからと選んでしまった。今、10Gbpsの光回線を契約したのに、家の中がボトルネックで全く速度が出ない…」

これは、数年経ってからじわじわと効いてくる後悔です。

建築時の目先のコストを優先した結果、インターネットの進化に取り残されてしまいます。

【後悔しないためのポイント】

これはもう結論が出ています。2024年現在、新築するなら「Cat6a」一択です。

もし予算を抑えたい場合でも、せめてCat6を選び、Cat5eは絶対に避けましょう。

長期的な視点での投資と考えることが重要です。

【失敗例3】Wi-Fiの電波計画の失敗

「リビングに置いたWi-Fiルーターの電波が、2階の寝室や風呂場まで届かない…」

「家全体を1台でカバーしようと高性能なルーターを買ったけど、鉄骨やコンクリートの壁に阻まれて電波が弱い場所ができてしまった…」

【後悔しないためのポイント】

  • アクセスポイントの活用を前提とする: 1台のルーターに頼るのではなく、複数のアクセスポイントで家全体をカバーする「メッシュWi-Fi」や「分散配置」を計画します。
  • 天井にLANコンセントを: 各階の廊下など、家の中心となる天井にアクセスポイント用のLANコンセントを設置しておくと、効率的に電波を行き渡らせることができます。

【失敗例4】情報分電盤と空配管の未設置

「ルーターやハブの置き場所を考えておらず、結局テレビの裏にごちゃごちゃと置くことになり、熱がこもって不安定…」

「将来ケーブルを交換しようと思ったら、壁に直接埋め込まれていて工事ができないと言われた…」

【後悔しないためのポイント】

これも計画段階での配慮不足が原因です。

  • 情報分電盤は必須: ネットワーク機器を集約する「心臓部」を、収納内などの目立たない場所に必ず計画しましょう。電源の確保も忘れずに。
  • 空配管は未来への投資: すべての配線ルートに空配管を通しておくことで、将来のメンテナンスやアップグレードの道が拓けます。

これらの失敗例は、すべて家を建てる前の「計画段階」で防ぐことが可能です。

自分のライフスタイルを具体的に想像し、少し未来の生活まで見据えて、建築士や工務店の担当者と密にコミュニケーションを取ることが、後悔しない家づくりの最大の秘訣と言えるでしょう。

最適な注文住宅のlanケーブルのカテゴリで快適な暮らしを

これまで、注文住宅のlanケーブルのカテゴリ選びから、具体的な配線計画、そして後悔しないためのポイントまで、多岐にわたる情報をお伝えしてきました。

一見、地味で専門的に思えるLAN配線ですが、これからの時代の家づくりにおいて、快適で豊かな暮らしを実現するための、まさに「神経網」とも言える重要なインフラです。

この記事で解説したポイントをしっかりと押さえることで、あなたの新しい家が、現在だけでなく、10年、20年先もテクノロジーの進化に対応できる、価値ある住まいになることは間違いありません。

最後に、この記事の要点をまとめて、あなたの家づくり計画の最終チェックリストとしてご活用ください。

最適な注文住宅のlanケーブルのカテゴリを選択し、万全の配線計画を立てることで、家族全員がストレスなくインターネットの恩恵を享受できる、素晴らしいスマートホームを実現させましょう。

この記事のまとめ
  • ➤注文住宅のLAN配線は後から変更が難しい重要インフラ
  • ➤LANケーブル選びの基本は「カテゴリ」の理解から
  • ➤現在新築するなら将来性を見据え「Cat6a」が最適解
  • ➤Cat6とCat6aでは10Gbps通信の安定性に大きな差がある
  • ➤有線LANの「安定性」とWi-Fiの「利便性」を使い分けるのが賢い
  • ➤動かない機器は有線LAN、動き回る機器はWi-Fiと覚えよう
  • ➤配線計画の基本は「情報分電盤」への「スター配線」
  • ➤将来の交換に備え「空配管(CD管)」の設置を強く推奨する
  • ➤LANコンセントは「各部屋に最低1箇所2ポート以上」が後悔しないコツ
  • ➤テレビ周りや書斎など機器が多い場所は4ポート以上を検討
  • ➤快適なWi-Fi環境のために「天井」へのLANコンセント設置も有効
  • ➤配線工事は後から行うと高額になるため新築時にまとめて行う
  • ➤コストと将来性を天秤にかけ賢い投資判断をすることが大事
  • ➤家具の配置を考えないと「死にコンセント」が生まれるので注意
  • ➤最適な注文住宅のlanケーブルのカテゴリ選びが未来の快適な暮らしを創る

 

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